ICOMAの「タタメルバイク」は畳めるバイク 収納性ヨシの近未来型電動バイク
おたくま経済新聞 / 2021年10月8日 15時0分
収納性ヨシ! 折り畳める電動バイクが話題。
プロダクトデザイナーの生駒タカミツ(崇光)さん(以下、生駒さん)が、Twitterに投稿した2枚のバイク写真が大きな反響を集めています。
生駒さんが「新機体、初お披露目です!!私、生駒が自分でデザインし起業して作った駐車場要らずの“タタメルバイク”です。試乗ではバイク乗りの方々からも好評でした!!市販化目指して開発してますのでぜひお見知りおきを」と紹介した写真。
1枚目には車両全体の外観が写っています。全体的にコンパクトで、かつ四角い形状の風貌には、往年の名車「ホンダ モトコンポ」を連想する方も多いのでは。
このバイクは生駒さんが開発した電動バイクとのことですが、2枚目の画像では、何と車両が折り畳まれた姿を披露。
「タタメル」は「畳める」を意味していたのか!ただでさえコンパクトな車両がさらにコンパクトになっています。すき間なく収納された前後輪とハンドルに、四角い見た目もあって、その姿はまるでスーツケース。
どことなくクラシカルで、それでいて近未来的ないで立ちには、国内外のTwitterユーザーが注目。1万を超えるいいねが寄せられています。
筆者もまた、生駒さんの「タタメルバイク」に目を奪われたひとり。開発経緯などの詳細を聞くべく、生駒さんに取材を申し込むことに。
■ 「変形の美学」から着想した「箱型電動バイク」現在は株式会社ICOMAのCEO兼プロダクトデザイナーの生駒さん。
もともとは、玩具メーカー「タカラトミー」にて、玩具試作やトランスフォーマーの海外事業を担当。後に、スタートアップ企業数社で製品のプロダクトデザインを担当し、家庭用ペット型ロボット「LOVOT」を展開しているGROOVE X在籍時には、LOVOTの開発にも関わるなど、トイデザインや実製品のロボットデザインを専門としています。
そんな開発のプロである生駒さんが、今回Twitterで紹介した「タタメルバイク」は、個人活動として取り組んでいたプロジェクト。
「開発の数年前に、海外から電動バイクが輸入されてきたんですが、それを見たときに、『折り畳みに意味がある箱型の電動バイクを作ってみたい!』という思いが芽生え、それが活動のはじまりでした」
また自身が「変形玩具デザイナー」の一面を持つことから、「『変形の美学』というものが自分の中にありまして、それを具現化したいという考えもありましたね」とも語っています。
■ 「変形に実用性を持たせる」ちなみに生駒さん、以前に3DCADを用いて、12分の1スケールのタタメルバイクのミニチュアを製作しています。その際は、「トランクケースサイズから変形する電動バイク」「デスクの下にパーキング」というコンセプトや、その個性的なフォルムのデザイン画像がSNS上で話題となりました。
しかしながら、玩具と違い、実車になると「実用性」も伴わないといけません。モックアップしていく際には、様々な試行錯誤が行われました。
「もっとも苦労したのが、『シンプルな機構で変形し、かつ形や機能性にも優れたデザインにすること』でした。『変形する』ということが、実用性に繋がってくることを考えて、箱型だと67センチ×67センチ×26センチ程度の空間容積になるスペックにしています。これにより、玄関先や机の下に駐車できるような乗り物としました。駐車スペースの確保が難しい都心部でも活用できることを想定しています」
また、生駒さんはタタメルバイクにインテリア要素も付与。デザインに関しては、今回Twitterで紹介した木目調以外にも様々な配色も用意。
さらにソーラーパネルやデジタルサイネージといった、機能的要素の実装も今後考えているそうです。過去の投稿では、液晶パネルを搭載したタイプの車両も紹介しています。
■ 夢は市販化!新たな移動手段に!タタメルバイクは、先に紹介したとおり「モーターを動力とした電動バイク」。
一方、定格出力は600Wとのことで、分類としては原付一種に相当します。これは、普通自動車免許を取得すれば使用可能という敷居の低さに加えて、生駒さん自身のある“野望”もあってのものだそう。
「将来的には、MaaS(Mobility as a Service:移動手段を使ったサービス事業)としても活用していきたいと考えているんです。持ち運びや収納が容易という特徴は、非常時の移動手段やバッテリーとしても活用できる利点があると考えています」
昨今のコロナ禍により、実はバイクや自転車の需要が世界的に高まっています。同時に、「電動モビリティ」と呼ばれる新たな移動手段も続々と登場。ここ日本でも、電動キックボードなどが自治体とタッグを組みサービスを開始しています。
そんな時流において、構想から5年の歳月をかけて産声をあげた生駒さんの「タタメルバイク」。ただ現状は、先日ようやくナンバープレート取得が叶ったいわばワンオフマシン。今後量産していくためには、さらなる利便性の向上や軽量化を目指していくとのこと。また、今年(2021年)3月には、「ICOMA Inc.(株式会社ICOMA)」として法人化(起業)も行いました。
「今後は、来年春の市販化に向けて、バイク部品や板金工場のパートナーさんや、自動車やロボット業界出身のエンジニアと鋭意開発していきます。何とか市販化に漕ぎつけて、『ICOMAのタタメルバイク』で、多くの方に安全で楽しい『バイクライフ』を送ってもらえれば何よりですね」
新機体、初お披露目です!!
私生駒が自分でデザインし起業して作った駐車場要らずの“タタメルバイク”です。
試乗ではバイク乗りの方々からも好評でした!!市販化目指して開発してますのでぜひお見知りおきを。#ICOMA #ハコベル #HAKOBELL pic.twitter.com/FGS9iAmjIS
— 生駒タカミツ/ICOMA Inc. (@takamityu) October 3, 2021
<記事化協力>
生駒タカミツ(崇光)さん(@takamityu)
ICOMA Inc.
(向山純平)
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