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カンタンでユニークな打楽器「プロパノータ」の優しい音色に癒やされる

おたくま経済新聞 / 2021年11月22日 18時0分

写真

外部のモーターが作動して、ボールは駒のように回っていきます。

 「スリットドラム」という楽器をご存知でしょうか。

 「ドラム」という名称なので、太鼓のような打楽器を連想する方が多いのでは。そこから、打面上に音が出る切り込みが入り、さらに音階も付けられたものがスリットドラム。主に木で作られた箱型と、金属で作られた円盤型が存在します。

 そんなスリットドラムの演奏動画がTwitterで反響を集めました。

「『演奏したい』というよりも『音を聞いていたい』という方が割と多いので。
本当は重度障害があり上手く音を鳴らせない子に音を届けられないかと思っていましてね。
修正点はあるものの現時点でのたたき台。『何となく見入っちゃう』要素も重要。
週末のデザフェスにてご意見伺いたく候!」

 Twitter上で、冒頭のスリットドラムの演奏動画を投稿したのは、東京都葛飾区にある工房「スガイ打楽器製作所」を営む菅井肇さん(以下、菅井さん)。

 約40秒の動画では、楽器の先端に紐づけたワイヤーらしきもので括りつけたスーパーボールで、モーターを取り付けたスリットドラム「プロパノータ」を叩いています。

投稿動画に映っていたのは、打楽器にワイヤーで取り付けられたスーパーボール。

 その姿は、「まな板の鯉」ならぬ「プロパノータのスーパーボール」。モーター作動により、プロパノータ中央の穴あき部分にある駒らしきものが回っていくたびに、取り付けられたスーパーボールが、プロパノータの上を叩きながら回転。これにより音が発生するという「自動演奏」。

楽器に軽く触れると、心地よい音色が。ずっと聞いているとウトウトしちゃいそう。

 それにしても心地よい音色。ボールが金属にあたり「ポンポンポーン」と鳴る音は、ずっと聴いているとウトウトしまいそうです。この「癒やし動画」は、20万回を超える再生回数を記録しています。

 「ここまで大きな反応をいただいて驚いています。私は製作に没頭すると、ついSNSや宣伝が疎かになってしまうので、『この反響を上手く生かせるかどうか疑わしいなあ』というのが率直な心境ですね(笑)」

 ユーモアを交えつつ、一連の反響を振り返る菅井さん。今回投稿した作品は、11月13日・14日に東京ビッグサイトで開催された「デザインフェスタvol.54」で展示されました。

軽く触れる程度で優しい音を奏でる楽器「プロパノータ」が話題。

 菅井さんが打楽器に打ち込むようになったのは20代のころ。海外で打楽器にハマって以来、「打楽器愛好家」として楽しまれているそうです。そして「『スガイ打楽器製作所』は、金属製のスリットドラムを製作する個人工房なんです」と工房の特徴についても教えてくれました。

 スガイ打楽器製作所では「カンタン・ユニーク」をテーマにしつつ、「誰でもすぐに楽しめて、加えて、どこかユニークな視点を入れることを意識した楽器製作に励んでいます」とのこと。今回のプロパノータの他にも、様々な打楽器を製作販売されています。

元花火職人という異色の経歴の持ち主な菅井さん。

 今回Twitterで紹介した「スガイ打楽器製作所版スリットドラム」である「プロパノータ」は、菅井さんのモットーである「カンタン・ユニーク」を色濃く反映させた打楽器。自身が生み出した「オリジナル」とのこと。

 「『プロパノータ』というのは私が作った造語なんです。プロパンボンベの『プロパン』と、スペイン語で『音』を意味する『ノータ』から組み合わせています。実は素材には、廃棄処分されるガスボンベを再加工して作っています。ただし、いきなり解体するのは非常に危険ですので、専門業者に依頼したものを仕入れています」

 また菅井さんは、前職は花火職人として、約10年間花火の製造や打ち上げに携わっていた異色の経歴の持ち主。

 「私自身、金属加工経験はないんですが、ものつくり自体は好きなんです。それと、花火職人時代に、花火大会で小型のガスボンベを使用することも多く、身近な存在だったことも大きかったですね」

 そんな「プロパノータ」の特徴は、投稿のリプライ(返信)欄でも多く寄せられた「音色」。スーパーボールが軽く触れる程度で響きだす音色は、音出しのための練習が不要。また、音階を気にせず自由に音色を出せ、初心者でも手に取りやすい構造がウリ。

 「でも、現状のスリットドラム(プロパノータ)は、大半の方が見たことない楽器だと思います。最近は、通販サイトに廉価版のものが出回って、少しずつ愛好家が出始めている段階ですね」

 菅井さんによると、「プロパノータ」は、その音の特性から、ヨガ・瞑想などでの利用者が多いそうです。その上で、今回音を届けたのは、より多くの方へ知ってもらいたかったこともあったそう。

 「プロパノータは、『誰かと一緒に楽しむ』ことを目指した楽器です。なので一人で楽しむだけでなく、他の人とも一緒に楽しんでもらい、様々な使い方や工夫を取り入れてもらえれば何よりですね」

「演奏したい」というよりも「音を聞いていたい」という方が割と多いので。
本当は重度障害があり上手く音を鳴らせない子に音を届けられないかと思っていましてね。

修正点はあるものの現時点でのたたき台。
「何となく見入っちゃう」要素も重要。

週末のデザフェスにてご意見伺いたく候! pic.twitter.com/jNdBnbzgJJ

— スガイ打楽器製作所 (@propanota) November 12, 2021

<記事化協力>
菅井肇さん(@propanota)
スガイ打楽器製作所

(向山純平)

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