フーディー?モックネック?難解なファッション用語を元アパレル店長が解説
おたくま経済新聞 / 2022年11月20日 12時0分
フーディー?モックネック?難解なファッション用語を元アパレル店長が解説
ファッションの流行は特に目まぐるしく変化するもの。久しぶりにファッション誌やファッション系YouTuberの動画などに目を通すと、知らないカタカナ言葉であふれかえっていた……なんて経験に覚えがある方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は元アパレル店長の筆者が、近年よく耳にするようになった基本的なファッション用語について解説します。知ればきっと家族や知人に教えたくなることでしょう。
記事では大きく「アイテム編」「生地、素材編」「シルエット、丈編」の3つに分けて解説します。
■ 難解なファッション用語 アイテム編カットソー:直訳すると裁断(cut)・縫製(sew)を組み合わせた言葉。つまり「裁断し、縫製したもの」を広く意味しますが、ざっくり「Tシャツ」のことを指していると考えればOKです。「半袖カットソー」「長袖カットソー」といった使い方をします。
プルオーバー:直訳すると「引っ張ってかぶるもの」。前後に開きがなく、頭からかぶって着る服の総称です。「カットソーとどう違うの?」という声が聞こえてきそうですが、厳密に言うとカットソーは製造方法、プルオーバーはデザインを指します。「シャツプルオーバー」「ニットプルオーバー」といった言葉が出てきたら、「ボタンが付いておらず頭からガボッと被るもの」と考えてください。
モックネック:こちらは首周りの形状。クルーネック(丸首)や、タートルネックなどと同列の言葉です。襟の高さとしては、ハイネックよりもやや低いもの、という位置付けです。タートルネック>ハイネック>モックネック>クルーネックの順で襟の高さが低くなっていきます。印象としてはややカジュアル寄りですが、ちょっとだけクリーンなイメージにしたい、と言う時はモックネックを選ぶと良いでしょう。
フーディー:一般的に「パーカー」と呼ばれているものです。「フード付きスウェット」は正しくはフーディーと呼びます。ちなみにパーカーとは本来ダウンを始めとする防寒着としてのフード付きアウターを指す言葉です。海外で買い物をする際は両者の違いに注意しましょう。最近はこの呼び方が少しずつ浸透しつつあるようです。
ボトムス:直訳では「下部、底」を意味し、ファッション用語では「ズボン」「パンツ」「スカート」など、下半身に履く物の総称です。使う時はいわゆるパンツタイプの「二つの穴に両足を通して履く物」を指す、と認識しておけば良いでしょう。もちろん装甲騎兵のことではありません。
トラウザー:言葉の意味としてはイギリス英語でドレッシーなボトムスのことを指しますが、ファッション用語として用いる場合は「スラックス」と同義語という認識で問題ありません。洋服屋さんで「トラウザーを探しています」と店員さんに伝えたら「おっ」と一目置かれる……かもしれません。
■ 難解なファッション用語 生地、素材編ベロア:主に秋冬に用いられる、光沢があってふんわりとした毛羽を持つ滑らかな生地です。「ベルベット」や「別珍」とよく似ていますが、ベロアは伸縮性に優れていることが特徴で、カジュアルアイテムからルームウェアにまで幅広く用いられます。
コーデュロイ:こちらも主に秋冬に使われる厚手の生地。光沢があり、暖かみのある素材ですが、最大の特徴は畝(うね)が縦に走っていること。ボトムスやキャップに用いられることが多くカジュアルな印象ですが、ジャケットにも用いられるなど、ドレスカジュアルな着こなしにオススメです。
リネン:こちらは主に夏に用いられることが多い、いわゆる「麻」素材です。シャツやワンピース、ストールなど幅広いアイテムに使われ、取り入れればすぐに涼しげな印象に早変わり。ホテルや病院には「リネン室」という寝具を保管する部屋がありますが、これはシーツやタオルなどの多くがもともとは麻製だったことに由来しているのだとか。
ジャージー:メリヤス編みという緩めの編み方で伸縮性を持たせた素材です。ポリエステル繊維が用いられており、ハリのある光沢感が特徴。スポーツシーンで着用する「ジャージ」名称で馴染みがありますが、その機能性の高さから近年ではジャケットの素材にも用いられることも多くなっています。
メランジ:2色以上の色を混ぜた生地を指し、「杢(もく)」「霜降り」などと呼ばれることもあります。単色では表現できない色の深みが出せることで、こなれ感やおしゃれな印象を演出します。
■ 難解なファッション用語 シルエット、丈編テーパード:主に細身のシルエットのボトムスに用いられます。直訳で「先が次第に細くなること」を指し、太ももから裾に向かって細くなっていく形状が特徴です。最近では「ワイドシルエットのひざ下テーパード」といったちょっとややこしい使われ方が主流になりつつあります。
ジョガー:「ゆっくり走る」を意味する「jog」+「~er」をつけて「走る人」、つまりランニング用のボトムスを意味していましたが、近年スポーツミックススタイルの台頭によりカジュアル着として定着しました。裾やリブがゴムで絞られていることが特徴です。
アンクル:「アンクル(ankle)」は「くるぶし」や「足首」を指し、その名通りくるぶしが見える丈を指します。叔父 を意味する「uncle」 と同音意義であり、販売員時代に聞いた「おじさんが履くズボンかと思っていた」というエピソードには驚いたものです。
クロップド:「アンクル」同様に丈の長さを指す言葉ですが、こちらは「切り取られた」という意味で、ボトムスの場合は七分丈程度の長さを指すほか、トップスの場合にも、短い丈のものを指す場合に用いられます。「ショート丈」よりは長く、「アンクル丈」よりは短い丈である、と覚えておきましょう。
■ 難解なファッション用語 その他ラグラン:袖のデザインの一種で、襟からわきの下に向かって切り替えの入ったものを指します。スポーツウェアのデザインに用いられることもあり、キャプテン翼の日向小次郎率いる東邦中学のユニフォームもラグランスリーブとなっています。
レイヤード:直訳で「重ねた」という意味で、その通り袖や裾の長さの異なるアイテムを重ね着する見せ方のことを指します。「レイヤードT」といった商品名のアイテムは、初めから重ね着しているように見えるTシャツ、という意味ですね。
〇WAY(〇には数字が入る):これは「〇通りの着方、使い方が出来ますよ」という意味。2WAY(ツーウェイ)コート、3WAY(スリーウェイ)バッグといった使い方を見たことがある方も多いかもしれませんね。1アイテムで複数通りの着こなしが出来るなんて便利!と思って買った服も、結局1WAYでしか使わなかった……というのはファッションあるあるのひとつ。
ワンマイルウェア:「1mile=約1.6km」が意味する通り、「家からちょっとそこまでの範囲で着る服」を指す言葉。部屋着以上、外着未満といったイメージで近所のコンビニやスーパーに行くときの格好、という意味で捉えるようにしましょう。コロナ禍において需要が一気に広まったイメージです。
以上、基本的な用語を抜粋して説明しました。
ファッション業界において「目新しさ」は切っても切り離せない要素ですので、新しい用語が誕生するのは必然と言えば必然かもしれません。これらをすべて把握する必要はありませんが、いざ洋服を買う時に困らないよう、時々でも良いので知識のインプットはしておいたほうが良いでしょう。
とはいえ、日常会話で使うなら相手に伝わってこそ意味があるもの。言葉の取捨選択をしながら用いるとともに、洋服屋さんでは販促物や商品名にこうした用語が多く使われていますので、普段のお買い物にぜひ役立ててみてくださいね。
(山口弘剛)
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