【劇場アニメレビュー】原作へのリスペクトが感じられる丁寧な『ドラえもん』、でもそろそろオリジナルも見たい!? 『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』
おたぽる / 2016年3月5日 18時0分

1980年に第1作『映画ドラえもん のび太の恐竜』を発表してから、早36年。『映画ドラえもん』は日本映画界が誇るべき長寿シリーズとして、もっともっと語られるべき存在だとも思うが、それはさておき、このたび第36作目としてお披露目される『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』は、89年に公開された第10作目『映画ドラえもん のび太の日本誕生』のリメイクとなる。
お話は、それぞれの理由で家出を決心したのび太たちが、タイムマシンで7万年前の日本列島に赴き、やがて時空乱流に取り込まれて現代にやってきた原始人少年ククルの家族らを助けるため、古代中国大陸へ乗り込んでいく……というものだが、これが実に素直なで秀逸なリメイク作品となっており、オリジナルと比較しても見劣りしないどころか、21世紀の今ならではの画と音に裏打ちされた丁寧な作業には感服するばかりだが、これは2006年にスタッフ&キャストを一新した第26作『映画ドラえもん のび太の恐竜2006』以降、どのリメイク作品にも顕著な特徴でもある。
ちょっと興味が出てきたので、89年オリジナル版も久々に見直してみたが、やはり16年版には過剰なアレンジは見当たらず、一方で作画を含む四半世紀以上のアニメーション技術の躍進などを体感させられる。上映時間も104分と、オリジナル版100分より長くなっているものの、だからといって冗長な感は皆無で、そこにも昭和と平成の、映画における映画の時間感覚の相違を感じさせられる。
特にオリジナル版における芝山努監督ら手練れのスタッフ陣による省略の利いた粋の良さや、やんちゃな風情は今の時代に欠けているものかもしれないが、代わりに16年版のスタッフの意気込みからは、先達に対する敬意と共に、それをいかに今の時代に見合った空気感を取り込みながら描出するかに腐心しているさまが感じられるのだ。
現在の『映画ドラえもん』リメイク路線には、どこかしら『宇宙戦艦ヤマト』とそのリメイク『宇宙戦艦ヤマト2199』の関係性に似たものが感じられてならない。即ち、オリジナルを見て育ち、リスペクトする世代が、いかに丁寧に、そして現代的に再生させるか腐心しているか、またそれ自体が私などのようなオリジナルを見て育った世代にとって非常に面白く思えるのである。
今回ハッとさせられたのは、オリジナル版と16年版、どちらも後半の舞台は7万年前の、日本と地続きだった時期の中国大陸なのだが、オリジナル版が公開された89年は、まだ日本と中国の関係が良好な時代であった(ちなみに第2次天安門事件が起きるのは、1989年6月4日。オリジナル版が公開された3月11日から、およそ3カ月後のことである)。
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