羽海野チカと森薫の知られざる関係まで 意外なエピソードも飛び出した「マンガ大賞2014」授賞式詳報

おたぽる / 2014年4月1日 22時0分

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 3月27日、日本放送イマジンスタジオで「マンガ大賞2014」の授賞式が開催された。大賞に輝いたのは、森薫氏による『乙嫁語り』(エンターブレイン)。19世紀の中央アジアを舞台に、部族間の結婚をめぐるドラマが描かれていく。

 マンガ大賞へ3回目のノミネートとなった同作は、全米図書館協会「10代向けグラフィックノベル・ベスト10 2012」に選ばれ、「アングレーム国際漫画祭2012」(フランス)にて「世代間賞」を贈られるなど、国内外を問わず評価されている。

 授賞式では、大賞の発表がされると盛大な拍手の中を森氏が登壇。和服に慣れた所作も相まって独特の存在感が壇上に生まれた。綿花やブドウのあしらわれた手製のプライズには、「ウズベキスタンなど(作品の舞台となっている)地域の植物をあしらったプライズをいただけてうれしいです。とてもキレイ」と顔をほころばせた。続いて司会者から読み上げられたのは、昨年大賞を受賞した羽海野チカ氏からのメッセージ。森氏の前作『エマ』や受賞作『乙嫁語り』に対するファン目線での祝辞を聞き、森氏は羽海野氏への感謝の意を示した後、「そういえば羽海野チカさんは同じ高校の先輩なんです。直接お会いすることはなかったのですが」と会場を驚かせた。

 今作で19世紀の中央アジアを舞台に選んだ理由を聞かれると、「もともと中央アジアに興味があったのが理由の一つ。そして。前作の『エマ』とはまったく違った設定で、読者の方に新たな世界を感じてほしかったんです」とコメント。さらに「この題材を描くなら月刊誌では難しいと思っていました。そんな時、隔月刊の掲載誌のお話をいただいたので、時間をかけて密度の高い作品を描けるチャンスだと思ったんです」と、これまで中央アジアの作品に着手できなかった経緯を明かした。

 調べ尽くされた世界観や作画を描き続けるのは困難ではないかとの問いには、「これがやりたくてやっているので、大変ということはまったくないです。毎日楽しく描いています」と、名作を世に送り続ける原動力を垣間見せた。資料集めの方法については「中央アジアの研究者として権威の加藤久作さんの本を参考にさせていただいています。ネットで調べれば各種論文もたくさん出てきますし、資料集めには苦労していません」と研究者肌の一面を見せた。描くかどうかは別として、すべてを知り尽くしたいと語る熱意には恐れ入る。

 同作を通して何を伝えたいかと訪ねられると「(読者が)土地に留学したような、住んでみたような気持ちになってもらえるものをめざして描いています」と答えた。しかし現地を訪れたことはないという森氏は、「そこが一番まずいところ」と苦笑。「マンガは大変リアルな嘘がつけます。でもそろそろ行きたい。現地に行けば得るものがあると思うので」と、よりよい作品作りへの意気込みを見せた。

おたぽる

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