【今月の不健全図書レビュー】叔母46歳との3Pに青少年が興奮するかよ！ 『人妻たち 隠された性体験を暴露！』

――東京都をはじめ、地方自治体の「青少年・治安対策本部」では、毎月“不健全図書”を挙げ、自主規制団体らと共に審議を行っている。この審議結果は毎回公表されるものの、審査過程での自主規制団体の声が顧みられることはほぼない。エロにせよ何にせよ、どこか尖った作品を大の大人が色々な立場から評価するという、そんな貴重な意見が無視されるなんてもったいない！　このコーナーでは、“不健全図書”に指定されたマンガなどを自主規制団体の声と共に紹介していきたい。つまり、クラウド・ファンディング（群衆による資金調達）ならぬ“不健全図書”クラウド・レビュー（群衆による批評）、はじまり、はじまり～！

【今月の指定図書】
　今月の指定数は1冊。

　ちょっと驚きました。だいたい少なくても2冊は指定される時期が続いていたというのに。

　長い歴史を持つ、東京都の不健全図書指定制度ですが指定数そのものは減少する傾向にありました。かつては毎月5冊指定という時期もあったりしたのですが、最近は2～3冊。それがついに1冊になるとは。

　これは、出版業界の自主規制の成果だとも思う反面、エロ本市場が縮小している結果とも思えてしまうのです。

　さて、そんな一冊のタイトルは『人妻たち　隠された性体験を暴露！』（一水社）です。

　いわゆる再録誌。さまざまな既存の原稿を集めて、新しくテーマ設定をして編んだ廉価本です。全386ページ22作品が掲載されて、お値段は639円＋税。実用に使うならば、結構お得です。いや、お得ですけど……今どきの青少年が富田茂氏・セニョール大悦氏・みずしま聖氏などのエロ劇画で興奮するものなんでしょうか？　収録作の一篇、冬陣そら『風味絶佳・叔母サンド』は、夫の浮気に怒って家出してきた双子の叔母との3Pを描く作品ですが、叔母の年齢は46歳！　とても、青少年に訴求力があるとは思えません。

　そんな作品に対して、どんな意見が寄せられているのか……。

（以下、別記のない限り、【】内は「自主規制団体からの聴き取り結果」より引用）

　今回、自主規制団体からの聴取では指定該当8・保留2・指定非該当4と意見が分かれています。だいたい、それぞれが属性で最初から結論ありきの意見を述べていると推測できます。要は所属している団体や役職上、こういう意見を述べておいたほうが無難という意志の下で発言しているわけです。

　ですので、とりわけありきたりなのが指定該当の意見。【修正はされているものの、性的描写が多い】というヤツです。【一部、父と娘、母と息子などの設定も問題あり】など近親相姦描写を問題にしている意見も2件ありますが、指定にあたっては、その点は取り入れられていません。