“原発問題と食の安全性“をリアルタイムで描いたもう一つの小学館マンガ『そばもん』のアプローチとは?

おたぽる / 2014年5月25日 12時0分

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 原発事故後の福島県を取材に訪れた主人公たちが揃って"鼻血"を出す描写をめぐって炎上し、国内外に波紋を広げた「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載のグルメマンガ『美味しんぼ』(共に小学館)。5月19日発売の同誌に編集部が公式コメント(http://spi-net.jp/spi20140519/index.html)を掲載して騒動はひと段落したかに思えたが、23日になって専門家らが「鼻血には医学的根拠がある」と『美味しんぼ』支持の反論会見を開くなど、いまだメディアを賑わせ続けている。

 そんな中、同じ小学館の「ビッグコミック」で連載中の『そばもん』が、"原発と食の安全性"について異なったアプローチで描いて密かに話題となっているのをご存じだろうか。「ビッグコミック」は「ビッグコミックスピリッツ」の兄弟誌ともいえる存在。『ゴルゴ13』の掲載誌といえばイメージしやすいかもしれない。『そばもん ニッポン蕎麦行脚』(作:山本おさむ 名誉監修:藤村和夫)は同誌で5年以上にわたり連載されている"そば"に特化した珍しいグルメマンガだ。

 同作の主人公である矢代稜はガタイの良い青年で、名人と謳われた祖父から江戸そばの技術を受け継いだ職人。自由にそばを打ちたいという思いから店を持たず、クルマ1台で全国を巡りながら各地の"そば打ち会"で練達の技を見せる。おせっかい&トラブル体質なのは『美味しんぼ』主人公の山岡士郎と共通で、そばにまつわるトラブル・誤解・偏見にあちこちで遭遇。それを稜は圧倒的なそばの知識と技量で解決に導いていく。

 この『そばもん』は2014年5月現在、奇しくも『美味しんぼ』とまったく同じタイミングで主人公が福島を訪れ、取材ライターや現地のガイドとともに"なぜ消費者は福島産の食品を避けるのだろうか?"を探っている。だがマンガとしての描写法・アプローチはさまざまな点で『美味しんぼ』とは異なる。

 5月10日発売の「ビッグコミック」第10号掲載話から、作者が主人公を通して語らせた主張を簡潔にまとめると以下のようになる。

・人々が福島の食品を避ける背景には「福島産=放射能」という単純な図式があるのではないか。

・震災から3年、そろそろ単純なイメージから脱却して"数値に基づいた選択"をしてほしい。

・国土を汚した原発事故を許すつもりはないし、放射能は怖い。だが"福島産をその恐怖のスケープゴートにすべきではない"。

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