手塚治虫の遺志を継ぎ『森の伝説』第二楽章完成! 第15回広島国際アニメーションフェスティバルでワールドプレミア

おたぽる / 2014年8月30日 9時0分

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 手塚治虫は『鉄腕アトム』を始めとして、数々の自身の作品で日本の"Anime"を牽引してきた。その一方で、海外の"Animation"にも興味を示して作品を数多く制作していたことでも知られている。とりわけ生前に「第一楽章」と「第四楽章」を完成させていた『森の伝説』は、"Anime"と"Animation"を織り交ぜた意欲作だ。

 第15回広島国際アニメーションフェスティバル会期初日の8月21日、その『森の伝説』の「第二楽章」がワールドプレミア(世界初公開)上映された。第12回(2008年)の際に、実息の手塚眞さんが「第二楽章」と「第三楽章」を補完すると宣言していたものだが、それから6年を経て、「第二楽章」の完成にこぎ着けた。

 上映は、プログラム「歴代受賞作品特集1」内にて、第1回(1985年)でグランプリを受賞した手塚治虫の短編『おんぼろフィルム』の上映後に行われた。挨拶では手塚眞さんが「(当フェスティバルの)30周年で上映となったことを光栄に思う」と感謝を表した。

 続いて作品の制作についても触れられた。「第二楽章」は、「自然・命・アニメーションに捧げる讃歌である」との生前に残されていたメモに基いて制作されている。それは『ピノキオ』や『バンビ』のような、最盛期のディズニーの技法の再現であると解釈して、敢えて古典的なスタイルに合わせたという。

 日本においてアニメは単にアニメーションの略称ではなく、アニメがリミテッド、アニメーションがフルと、秒間の作画枚数の差でも認識されてきた側面がある。『森の伝説』においても、それらが反映されている(ところが海外ではアニソンやコスプレの隆盛を背景に、日本の作品は押し並べてローマ字の"Anime"で通じているため、リミテッドとフルの認識とは大きく乖離してしまっている)。

 手塚眞さんの言う古典的なスタイルには、上記フルアニメーションの意味合いも含まれている。但し絵に関しては生前のメモに残されていなかったため、新規に描き起こす必要があり、登場キャラクターを出崎統監督でもお馴染みの杉野昭夫さんにお願いしたことを明らかにした。それによりキャラ絵では「手塚治虫ともディズニーとも異なった新しいものとなっているのではないか」と見どころを話した。ちなみに劇伴は「第一楽章」および「第四楽章」と同一の音源を使用しているとのこと。

 第12回での制作発表当時は、次回第13回(10年)でお披露目したいとしていたが、作り直しや東日本大震災で制作に影響が出たことも原因としていた。このほかスタッフが『風立ちぬ』、『かぐや姫の物語』、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の制作にも携わっていたため、その完成も待っていたのもあるが、「(期せずして)30周年になったのはそのお陰だと思っている」とスタッフを労った。合わせて商業的な作品のスタジオで、実験的な作品を手がけることの難しさにも言及した。

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