麻雀やらなきゃ殺されるってどんなクソ設定だよ...と思いきや超一級サスペンスにマジでビビった『雀獄島』

おたぽる / 2013年12月13日 11時44分

写真

 小説やマンガでは孤島を舞台にした物語が多々ある。例えば小説では綾辻行人氏のデビュー作『十角館の殺人』、マンガでは森恒二氏の『自殺島』などが挙げられる。サスペンスやソリッドシチュエーションスリラー系では鉄板、悪く言えばベタ中のベタの舞台設定だ。

 ある意味使いづらいこの舞台設定に果敢に挑んだ作品が、『雀獄島』(じゃんごくとう)だ。この設定を使用した物語はかなりの数で、目新しくはなく、サスペンス系を好む読者を唸らせるには、よっぽど新しい要素を含ませなければならない。

 そこで『雀獄島』で採用されている付加要素が、作品タイトルで匂わせているように「麻雀」だ。「麻雀? 麻雀マンガなんてたくさんあるじゃん」と思う方も多いかと思われるが、単行本の帯には麻雀ミステリーとうたわれている。麻雀マンガと言えば、対局に重きを置いた『アカギ 〜闇に降り立った天才〜』『哲也~雀聖と呼ばれた男』などたくさんあるが、『雀獄島』での麻雀の扱いはあくまで謎を解き明かしていく1つの要素でしかない。物語のあらすじは以下のようなものだ。

 主人公・小野寺達也の運転する車がある男を轢いて事故を起こしてしまう。車は電柱に突き刺さり、自らも重症を負う。
 次に小野寺が目を覚ました場所は、麻雀卓が設置された地下牢だった。そこには2人の男と1人の女。天井には監視カメラ。何者かが企画したゲームに巻き込まれ、死にたくなければ麻雀を打つしかないと教えられる。しかし小野寺は麻雀を打ったことがなかった。ルールも知らないので参加なんてできるはずがないと反発するも、あえなく参加を余儀なくされる。
 ところが参加してみると、小野寺は麻雀のルールを知っていた。いつどこで覚えたのか全く自分でも覚えていない。やがて激しい頭痛に襲われ、記憶にない記憶がフラッシュバックされるようになる。その記憶の中の自分は、手を真っ赤な血で染めていた。自分の体内に別の誰かが潜んでいるような違和感に襲われ始める。
 なぜ自分は地下牢に閉じ込められているのか? なぜ麻雀が打てるのか? 記憶にない記憶がなぜあるのか? 小野寺が轢き殺した男は誰だったのか? このゲームの首謀者は誰なのか?  全ての理由が明らかになったとき、対局の裏に隠されていた壮絶な復讐劇と悲劇が明らかになる――。

『雀獄島』のすごいところは、次々と明らかになっていく真実が、二転、三転どころか四転五転して予想を裏切り続け、読者を物語に引っ張り込んでいく点だ。全9話の1巻完結なので、展開もむだのないジェットコースターばりの突進力を見せる。散りばめられた伏線が回収されてはひっくり返される様は、お見事につきる。

  • 前のページ
    • 1
    • 2
  • 次のページ
おたぽる

トピックスRSS

ランキング