なぜ今さら『ジョジョ』が受賞? 贈賞理由も意味不明な文化庁メディア芸術祭に漂う終末感

おたぽる / 2013年12月15日 12時0分

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 12月5日に発表された第17回文化庁メディア芸術祭の受賞作品。マンガ部門では荒木飛呂彦氏の『ジョジョリオン ―ジョジョの奇妙な冒険 Part8―』(集英社)が、大賞を受賞。ほか4作品が優秀賞を受賞。新人賞の3作品と、審査委員会推薦作品32作品も発表された。しかし、この結果に対し、ネットでは「なぜ今?」「並んでいる作品の今さら感が強い」といった意見が噴出していた。

 文化庁メディア芸術祭は「アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門において優れた作品を顕彰するとともに、受賞作品の鑑賞機会を提供するメディア芸術の総合フェスティバル」というもの。マンガ部門では「クリエーターがクリエーターを選ぶ」ことをコンセプトにして、既存の出版作品と自薦作品から選ばれることになる。1997年の第一回開催から、今回で17回目。毎回、大賞1作品と優秀賞4作品が選考されるので、既に数多くの作品が受賞をしている。

 今回だけに限らず、これまでの受賞作品を含めても目につくのは「マンガをよくわかっている人の読むマンガ」が選ばれていることだ。毎年、年末になると雑誌やムックなどで「本年のマンガベスト○○」という特集は、よく見られる。そうした作品の中では、実際に売れているもの=ユーザーの支持が厚いものを離れて、選者が「オレはマンガのことわかっているんだぜ」という意思が見え隠れするものが多い。

 従来のマンガを対象とした賞にありがちだった出版社の影響を取り除いたこの賞においても、妙な「上から目線」の呪縛からは逃れられていない。

 今回の『ジョジョリオン ―ジョジョの奇妙な冒険 Part8―』に対する贈賞理由を見ても、そうした意識はよくわかる。件の贈賞理由は「人気のエンターテインメント作品であるというだけでなく、マニエリスティックとも評される個性的なヴィジュアル」「人々を魅了し批評的な言説を含む豊かな語りに迎えられてきたシリーズの最新作である」などと書いてある。この時点でなにを言いたいのだか、よくわからない。とりあえず、後付けで学術風なことをいってみて「オレは作品の価値をわかっているぜ!」とでも言いたいのだろうか?

 だが、ここで批判されるべきは、受賞作品はもちろん、作品を選んだ審査委員でもない。審査委員には、マンガ家のすがやみつる氏、みなもと太郎氏も名を連ねている。すがや氏といえば、『ゲームセンターあらし』(小学館)で、荒唐無稽なゲームスタイル(次に使ったら死んでしまう必殺技とか)を考案し、当時の少年たちの心を掴んだ人物。みなもと氏は『風雲児たち』(リイド社)のような歴史マンガを描いたかと思えば、エロマンガにまで挑戦する人物である。どちらも、ジャンルを限定することなく幅広く作品を読む鑑賞眼もあるし、常に読者の目線でものを考えることのできる人物のはずだ。

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