35歳以上の中高年が「オタ活」を楽しむための秘訣とは?『「若者」をやめて、「大人」を始める』レビュー

おたぽる / 2019年5月21日 20時0分

■『ヒプノシスマイク』で精神が直結でカスタマイズされ空っぽおばさん爆誕の実例

 私自身土台がゆらぎ「空っぽ」になった経験がある。昨年末、声優ラッププロジェクト『ヒプノシスマイク』が、それまでの曲やキャラクターや声優のすばらしさとは一変、“トンデモコミカライズ”をはじめてしまったときだった。あのとき私はいい大人なのに真剣に数カ月落ち込んだ。熊代氏が指摘するところの空っぽおばさんの爆誕だ。

 そしてこのとき心を慰めたのも「昔の推したち」であり、本格回復を遂げたのも「新しい推したち」の存在が大きかった。つまり、アイデンティティの大半が「オタク」だとオタクで生じた損失を、オタクでしか埋められなくなるのだ。

(参考リンク:『ヒプノシスマイク』コミカライズに傷心のオタクはどう立ち直ればいいのか?~心理学の名著を読み解く~)

 今後、またオタク部分の土台がクライシス状態に陥った時、数カ月廃人状態で過ごさずに済むような「オタク以外の私」を構築しておかねばと痛感している。肉親や友人やペットの死は悲しむ価値のあることだと思うが、私は「トンチキ脚本」でそこまで心を乱されたくない。

 そのためにはやはり、アイデンティティの円グラフの改革が必要になる。まったく新しいことをはじめるという手もあるが、ここでは「オタク」と「その他」の「その他」の部分に着目したい。

「その他」トップを占めるのは私の場合「仕事」で、仕事は好きだ。しかし仕事上でヤバいことをしでかしたとき「オタク」で癒やされ慰められ明日の活力を得たことがあっても、先の「ヒプマイ事変」のように「オタク」界隈がクライシスになったとき残念ながら「仕事」はそこまで私を救わなかった。今後は二大政党とまではいかずとも「仕事」がもっと自身の支えになるようにしていきたい。

 そして本書では、中高年の先輩たちを観察し、いいところを取り入れることを薦めている。優しい言葉を綴ってくれた雨宮まみさんは亡くなってしまったが、それでも年齢が上の知人の「イケているところ」はたくさんある。中高年という若者のころよりずっとハードモードになった人生を先に生きている人達の姿の中にこそヒントがあるのだから、ここはもっと今後注目していきたい。反面教師にだってヒントはあるのだ。

 そして「若年層が多いジャンルのイベント気後れしちゃう問題」も、次回はいっそオンラインのみにするか、獣神サンダー・ライガーのマスクをかぶるなど、前回のようなただ気後れするだけのようなヘタは打たないようにしたい。VRを駆使し「仮想サークル主」姿で参加できるようになればとも思うので、技術の進化にも期待だ。

 現状私はオタクをやめようとはまったく思わないが、オタクでいることがつらくなってきたのなら活動を控えたり、やめたっていいのだし、それで寂しくなったらしれっと出戻ってくればいいのだ。

 オタ活はとんでもなく楽しいし、オタクでなかったら自分の人生は灰色だっただろう。それゆえオタクは「オタクとして生きる」になりがちだが「よりよく生きる」ためにオタク活動があるという順序は間違えないようにしたい。

(文/石徹白未亜 [https://itoshiromia.com/])

◆石徹白未亜の過去記事はこちら(【おたぽる】【日刊サイゾー】)から◆

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