編集者批判から金銭事情の暴露まで...ブログやツイッターの出現で変化するマンガ家と編集者の“力関係“

おたぽる / 2014年2月4日 22時0分

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「今思い出しても地獄の日々です。」「これは、作家としての誇りの戦いなのです。」――今年1月下旬、『ふしぎ遊戯』などのヒット作をもつマンガ家・渡瀬悠宇さんが自身のブログで、『アラタカンガタリ~革神語~』を連載している「少年サンデー」(すべて小学館)の編集部員に対し、激しい不満を表明して話題となった。『アラタカンガタリ』において、当初の編集者だった"Iさん"なる人物が作家の意向を無視し、自分勝手なストーリー展開を押し付けたため意気消沈。一時はマンガ家をやめようと考えるほどまで追い詰められた様子が克明に語られていた(※現在、当該ブログ記事は削除されている)。

 出版社とマンガ家のトラブルといえば、2008年に『金色のガッシュ!!』カラー原稿紛失について作者・雷句誠さんが小学館を提訴した話が有名だろう。本人の旧ブログには当時の記事がまだ残されている。何人かのマンガ家が雷句さんに同調し、新條まゆさんもブログ中で同社の傲慢なやり方へ不満を述べた。

 出版社がマンガ家を抑圧し、ときには消耗品のように扱う――そんな風潮は昔からあったはずだが、一般読者にまで広く伝わるようになった背景には、ブログやSNSといった"ITツール"の普及が無視できない。マンガ家たちが出版社のフィルターを通さず、読者にナマの声を届けられる時代になったのだ。

 これまでマンガ家がネットで直接暴露したエピソードをみると、不満の形には大きく2つある。

【1】作家が意図しない形で編集部が介入してくる

 上述した渡瀬悠宇さんや新條まゆさんをはじめ、編集者の独断によりストーリー・セリフ・キャラクター名・設定までさまざまな改変をされた不満をネットで吐露する漫画家は多い。"勝手な改変"とは少し違うかもしれないが、『銃夢』で知られる木城ゆきとさんなどは、数カ所のセリフ表記で編集部と折り合いつかず、集英社から講談社へ移籍する事態にまで発展した。また、大ヒット作『テルマエ・ロマエ』のヤマザキマリさんも、中盤以降に出てきたヒロインキャラについて、編集長との意見の相違をやんわりとブログ上で回想している。ヤマザキさんといえば、2013年に『テルマエ』映画化の原作使用料に対する説明不備などでエンターブレインの姿勢を批判したことでも有名だが、それ以前にも作品の方向性でいろいろ思うところがあったのだろうと推察できる。

【2】金銭的に冷遇される

 デリケートな問題のためか、マンガ家が直接不満を述べた例はネット上を調べてもあまり多くない。アニメ化もされた『神のみぞ知るセカイ』(小学館)がヒットする前の若木民喜さんが"貯金残高が1万円を切った"とブログにつづったケースや、『戦勇。』(集英社)で知られる春原ロビンソンさんが(報酬額が振込手数料を下回ったため)マイナス金額になった報酬明細の画像をツイッター上で公開したケースなど散発的。しかしこれらは編集部批判ではなく、自虐的なニュアンスが強い。例外なのは権利関係の暴露話で、2011年に『海猿』(小学館)の作者である佐藤秀峰さんが「映画の2作目が公開された時、もらったお金は250万円くらいだった。」と明かしたツイートは話題を呼び、出版業界の搾取体質に一般読者の関心を引きつけるきっかけとなった。

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