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医療は「解決」のためにある。どうか更年期の不調に苦しまず、医療に頼って【山田ノジル後編】

OTONA SALONE / 2019年2月26日 11時1分

書籍『前編では「真面目な更年期世代の女性ほどうっかり信じやすいトンデモ健康法」の概要とその特徴を聞きました。後編では「どうして私たちはトンデモに惑わされるのか」を伺います。

 

【100人の更年期 #5 山田ノジルさん後編】

医療は「共感」ベースではなく「解決」ベース。塩対応されてもへこまないで

前編で話した科学的根拠のないトンデモ健康法は、私たちの「漠然とした不安」に寄り添ってくれるのもまたイヤなところです。

 

身体の苦痛があるとき、具体的な解決策より「つらいね、しんどいね」という共感を欲しいという心理は多くの人が抱える気持ちでしょうが、トンデモ健康法は時に高額ゆえか、そこにじっくり寄り添ってくれるものが多くみられます。

 

何かと人手不足と言われる医療の現場ではケアしきれないメンタル的な部分をカバーしてくれる側面は確かにありますが、その結果トンデモ療法を指導されたり高額な商品を勧められるのが困りものです。

 

さらにSNSが発達していることで同じトンデモ健康法を実践する人たちのコミュニティができやすい。お互いの励ましで癒やされあい、登録メンバー限定のサロンなどに囲い込まれ、人間関係が出来上がると足抜けしにくくなり……と、ワナがあるのも、問題点です。

 

無難な対策としては、普段から自分の話しに耳を傾けてくれる、金銭のやり取りが発生しない家族や友人の存在を一定数確保するこことでしょうか。ネット上の、「ツイ友」などでもかまいません。自分の話を聞いてくれる相手をいろんなジャンルに作っておくほうが、いろんな意見を見聞きするので客観的に物事を判断できるかと。

 

特に更年期障害は個人差が大きいようですから、「そんなのあなただけよ」とか「私は全然大丈夫だよ」といったマウンティングはスルーするに限ります。

 

また、医師もいまいち合わないと感じたら、そのまま惰性で通わず、積極的にいろいろなところにかかってみてはどうでしょう。最近は、昔みたいに高圧的な、神さまのごとくふるまう、もしくは頑固親父風の医師はずいぶん減ったようですが、医師はもともと医療という手段で苦痛を取り除くのが仕事。「共感」は得られなくても、仕方ないくらいにかまえておくと、気持ちにゆとりが生まれます。

 

もちろん親身になってくれる医師もたくさん存在しますが、「塩対応をされても普通」くらいに考え、暖かい寄り添いは別のところに求めてはどうでしょう。もしくは、心の問題は心の専門医へ頼る。

 

体調が悪く、メンタルも弱っているときですから、余計追い打ちをかけられイラッとくることもあるかもしれませんが、期待値を上げすぎないことです。すべての不調が、医療で科学的に解決できないこともありますので。つい、魔法のようにスッキリ不調を取り除いてほしい! なんて思ってしまうのですがね。

 

適切な医療との出会いでドンピシャ治るケースも

そもそも医師との相性以前に、適切な医療にたどり着くのが難しいという話もよく聞きます。

知人のケースでは、40歳くらいで抑うつが出て、精神科をはじめいろいろな病院をさんざん回って真っ暗な3~4年を過ごしました。腰痛も酷くなりマッサージにも多額を投じるうち、周囲に更年期障害が出始め、私ももしかして?と婦人科に行ってみたらドンピシャ。ホルモン補充療法を受けたら一発で治ったという話しです。こういうケースを知ると、40代で何かしら不調があるならとりあえず1回ホルモン値は測ってもらったほうがいいかもしれません。

 

どこの科に行けばいいかわからないという場合、まず通える範囲の産婦人科に行ってみてはどうでしょう。その診察内容に「更年期障害」と入っているなら、ベター。また、いちど電話をかけて、受付の人に「こういう症状なんですが」と相談してみるのもおススメです。ネットの口コミは、書きこんだ人の状況が見えないので、良し悪しでしょう。

 

私たちでさえ、自分自身の医療には迷うものです

私は取材という名目で、医師に話を聞くことができる機会に比較的恵まれていますが、それでも自分がいざ婦人科に通いたいとなると、どこに行けばいいかと迷っています。情報ツウの編集者たちなど、聞ける人がたくさんいるのにもかかわらずです。

 

この1~2年、私は自分で勝手に更年期障害だなと思っているので、一度ぜひホルモン値を測りたいですね。私の場合は、イライラが出るほか、頭痛もひどい。昔はまったくなかった生理前の不調も感じています。だるい、眠い、頭が痛い……などの症状が40歳を過ぎてから出てきて、ここしばらくは本当に強いです。

 

逆に、冷えは最近治まりました。昔はものすごい寒がりだったんですけどね。そんなふうに体調や身体の状態は結構変わるんだということを、日々実感しています。

 

「このくらいで病院に行っていいの?」は、どんどん行きましょう

40代女性は育児、仕事、家事などいろいろなことに振り回され、自分のことがあとまわしですよね。日常生活がなんとか送れる範囲の不調はスルーして、どうしても身体に対する優先度が低くなってしまう。私も仕事が優先になるもので、病院に対する優先順位がとっても低いんです。幸い今のところ更年期症状は日常生活に支障があるほどでもなく、緊急性が低いというのもあります。

 

私の知り合いに、外見はきれいにしているのになぜか歯医者だけ何年も行かない人がいて、最終的には30代で差し歯になったと聞いています。それは極端なズボラとしても、「これくらいで病院に行ったら、医師に迷惑なのでは」というような不安もあると思います。生理痛などについても、ついそう思いがちですよね。ですが、怒られることなんて、そうそうありません。「このくらいで?」と思っても、動けるうちにどんどん病院に行ったほうがいいでしょう。

 

日本は自己責任論が強く、自分でなんとかするのが偉い、この程度のことで忙しいお医者様にご迷惑をおかけしてはいけないというような雰囲気もありますが、そういった精神論と医療の問題は全くの別物。健康問題は、専門家の手を借りるべきです。

 

ただし「セラピスト」や「カウンセラー」「アドバイザー」「療法士」、といった専門家風の肩書には要注意です。単なる自称だったり民間資格の肩書だったりするケースも多く、そこにはトンデモ健康法が待ち受けていたりしますので。

 

トンデモ健康法は一般に、壮大なものに結び付けられています。膣や子宮を大切にしたら金運もよくなり、仕事でも大きなプロジェクト任せられ、彼氏もできてと……金運財布みたいですね(笑)。それに騙されてしまう人たちは、基本的にとってもまじめ。

 

根拠のない健康法を実践して効果が得られなくても、そこに「気づき」を無理やり探して自分で納得してしまったり、「努力が足りないからだ」と自分のせいにしたりします。

 

もし、あなたの更年期障害は「○○をしてこなかった『せい』」と脅されるようなものを目にしても、これは新しい自己啓発商材のプロモーションくらいに扱い、真にうけないことです。不調は医師に相談し、快適な更年期を送りたいですね。

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この記事の前編『「私、マジメだから」と自覚してたら要注意?更年期対策のワナ』はこちら!

 

 

 

≪OTONA SALONE編集部 井一美穂さんの他の記事をチェック!≫

 

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