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目を背けたい不満やストレス。いざ、解決するために!

OTONA SALONE / 2019年2月9日 20時30分

ジブリの名作『千と千尋の神隠し』。

公開から何年経っても、主題歌『いつも何度でも』を聴くと、美しい世界や感動が蘇る人も多いはず。

そんな、すてきなテーマ曲の作詞をされた覚 和歌子さん。

このコーナーでは、彼女の手がけたタロットカード「ポエタロ」より、カードのテーマに沿って書かれた覚さんのエッセイを一話ずつご紹介しています。

 

今回のエレメントは、「酒」

お酒が飲みたい!と、思うときはどんな時でしょうか。

休日の昼間から飲むお酒はとてもおいしいですが、仕事終わりに、ハードな現実からしばし逃れるために飲んでしまう方は多いはず。

 

覚さんのエッセイの前に、カードの解説文から少し。

 

自分に対する不満は、

あなたの出会う人が持つあなたの苦手な部分として

鏡像のようにあらわれます。

 

人生の苦い部分を、考えたくない、忘れようとお酒の力を借りても、それはしばしの空白の時間。

このカードに出会ってしまったなら、観念しましょう。逃げるのはおしまいです。

 

飲まずにやってられるか!

という気持ちにもなりますが、それでも、お酒の前に少し、あなた自身と話しあう「ひとり会議」の時間を。

 

その日の自分を、客観的に、思い出してみてください。

つらかった。悲しかった。頭にきた。不甲斐なかった。寂しかった。

 

大切なのは、ただの後悔や愚痴で終わらせてしまわないこと。

本当はどうしたかったのか。

わたしは、どんなふうになりたかったのか。

誰かの気持ちや価値観云々はいったん脇において、あなた自身はどう感じていたのか。

何が感情の引き金になったのか。

 

リラックスした心持ちで、けれど冷静に自分の心を観察できたら

仕事でも恋愛でも、あなたらしく次のステージに進むためのぴったりな作戦が

ふっと、思考にとびこんでくるはずです。

 

それでは、覚さんのエッセイをどうぞ。

 

***

 

【酒】へらへらすんな

 

お酒を飲むと訪れる全能感が楽しくて、

二日酔いを通り越し三日酔い四日酔いしていた20代。

 

若い身体はどんなに乱暴にあつかっても大きな不調も起こさずに、

安いアルコールをなみなみと受け入れては

せっせと代謝してくれていた。

 

お酒が見せてくれた、かりそめの理想形の自分。

 

中身も見た目も何ひとつ自信がなくて、

飲むといや増す声の大きさだけをたよりに

かろうじて自分を保っていたことがなつかしい。

 

人並みにウツっぽい時期も経て

「この自分でいいのだ」から

「この自分けっこうかわいい」になって久しく、

今はワイン2杯が限度となった。

 

そして私の夫も、いやになるくらいの酒好きである。

 

冬のさなかには酔っ払って帰って

玄関に倒れこんだそのままのかたちで寝込み、

明け方私に蹴られて起きる。

怒りで青くなっている私に向かって

「あれえ、どーしたの?」とかへらへらして言うでない。

死にたいのか。

 

それほど強くないのに飲まずにはいられないようで、

先だって「仕事とお酒とどっちが好き?」とたずねて、

「酒」と言い切ったときはちょっと引いた。

 

このご時世好きなことで身を立てていられるありがたさの方を知りなさい。

 

出会った頃の私もほんとうに呑み助だったから、

夫はたのもしい飲酒の友として私を買ってくれていたように思う。

 

そんな夫が「仕事精進」をとなえ

最初にポエタロを引いたら「酒」が出た。

 

これがカミサマからのキツイたしなめでなくて何だというのか。

 

 

覚 和歌子

©FUKAHORI mizuho

詩人・作詞家

山梨県生れ/千葉県育ち。早大一文卒。平原綾香、smap、新垣勉、夏川りみ、クミコ、ムーンライダーズなどの作詞で、多くの作品をCD化。NHK全国学校音楽コンクール課題曲、校歌、合唱組曲等の作詞なども多く手がける。01年『千と千尋の神隠し』主題歌『いつも何度でも(曲・歌唱/木村弓)』の作詞でレコード大賞金賞。詩集『ゼロになるからだ』(徳間書店)、『はじまりはひとつのことば』(港の人)、『2馬力』(ナナロク社)など。エッセイ、絵本、翻訳など著作多数。映画監督、脚本、舞台演出、朗読、自らのバンドを率いてのソロライブ、米国ミドルベリー大学日本語学特別講師など。詩作を軸足にマルチな活動を展開。

 

***

 

ポエタロ」とは?

「ポエムタロットカード」を縮めた名前、『ポエタロ』。

47枚のカードにはそれぞれ、美しくやわらかい日本語の詩と、

かわいらしくも不思議な魅力のあるイラストが描かれています。

使い方はいたって簡単。シャッフルしたカードの中から、

その時の直感で1枚、あなた自身のためにカードを引いてみてください。

1日のはじまりにその日の指針を得てもいいし、なにか大きなチャレンジの前、

なかなか超えられない壁に直面しているときに。

そのときの気持ちや環境にリンクした、やさしい詩とメッセージが、

次の1歩を踏み出す勇気や確信を与えてくれる不思議なカードです。

あなたの心強い味方になってくれるはず

 

から

『ポエタロ いのちの車輪をまわす言葉』

覚 和歌子・著 石川 勇一(相模女子教授)・監修 大野 舞(Denali)・画 カード47枚 ガイドブック付き 3,780円(税込)/地湧社

 

≪詩人・作詞家 覚 和歌子さんの他の記事をチェック!≫

 

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