おひとりさまは【2000万】より多く貯めるべきなの?半分でいいの?
OTONA SALONE / 2019年6月23日 19時0分
こんにちは、元国税局職員のさんきゅう倉田です。
芸人としてライブに出たり、たまにテレビに出たり、記事を書いたりしています。
さて、先日、金融庁かそれに類似する団体が発表した、老後の資産形成に関する資料を読みました。
そこには、退職金のこと、退職後の収支のバランスのこと、健康寿命のこと、おひとりさまの平均預金額が示されていました。
ぼくはまだ、老後のことを考えていませんでしたが、いつか考える時が来るでしょうし、読者の中にはすでに考えている方もいるでしょう。呼んだ資料の中で、老後を考える上で大切なことを整理しました。
「余生」がだいたい30年以上ある計算
1950年ごろの女性の平均寿命は65歳でしたが、今は、87歳です。そして、現在の60歳の1/4が95歳まで生きるといわれています。ぼくの認識より、みなさん長生きです。ぼくは34歳なので、ぼくがおじいちゃんになるころには、みなさんもっと生きるのでしょうか。
もっと若い世代のみなさんは、多くが95歳まで生き、一部は95歳以上生きることになると考えられます。すると、60歳で退職してから30年以上の余生があります。働かない30年。考えられません。何をすればよいのでしょうか。趣味に没頭するのか、まだ働くのか。
退職金を95歳までで取り崩すと……
65歳を超えてから、年金収入だけでは、毎月の収支はマイナスとなります。統計では、マイナスは月額5万円といわれ、多くの方が預貯金を取り崩して生活することになります。
その預貯金には、退職金が含まれるでしょう。みなさんは、自身の退職金がどれくらいになるかご存知でしょうか。半分以上の方が、その金額を知るのは55歳を超えてからだそうです。
調査によると、退職金をくれる会社は、全体の80%で、退職金の平均額は2000万円です。この件をTwitterに投稿したところ、「東証一部上場企業で21年勤めたけど、316万円でした」というリプライがありました。38年間勤めた場合に、退職金がどれほど伸びるのかは分かりませんが、21年でこの金額は少ないように感じます。
仮に、退職金で2,000万円を受け取ったとして、2000万円を95歳までの35年で割ると、年57万円、月4万7千円となります。平均額2000万円より少ない方の生活は、かなり厳しいものとなります。60歳で定年を迎え、のんびり過ごすというのは難しく、再雇用やフリーランスとして生きていく道を検討する必要がありそうです。
老後のお金は「状況の見える化」でクリアになる
老後のお金の基本的な考え方として、長寿化に伴い、リタイア後に今までの常識より多くのお金が必要であることを認識しなければいけません。そこで、預貯金や退職金の取り崩し期間を、長く設定します。さらに、自身の状況を「見える化」します。子供や配偶者の有無、持ち家かどうか、生活水準はどの程度かを把握しましょう。
多くの方が、年金だけでは望む生活水準に届きません。老後の判断能力の低下も想定し、備える必要があります。
おひとりさまは2000万円よりたくさん必要?老後の貯金と収支
65歳の貯金の平均は、夫婦で2200万円、単身で1500万円です。60歳時点では、3500万円程度は欲しいところです。
ところで、世間が騒いでいる2000万は、「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯」が前提。おひとりさまならいくら必要なの?と質問されます。
実は、おひとりさまでも夫婦でも、僕の試算では3500万円です。生活規模はそれほど変わらないからです。
一見、夫婦の方がお金が必要ですが、60歳以降に共働きの場合もありますし、厚生年金が多い場合もあるでしょう。夫婦でもおひとりさまでも、最低限これくらい必要な金額が3500万なのです。
なお、試算は「夫65歳以上、妻60歳以上」であり、65歳から95歳で2000万円必要なので、60歳から65歳まで働かない場合は5年分を加味して計3500万円くらいという計算です。この5年の間に働く方は、2000万だけで大丈夫ですし、退職金がある方は、その分を差し引いて問題ありません。
60歳を超えても働けます。現在、65〜69歳で働いている女性は34%です。健康寿命の伸びとともに、65歳を超えて働く女性はさらに増えると考えられます。女性の健康寿命は75歳なので、元気なうちは、働くことを想定しても良いかもしれません。
現役と比べ、60代の支出は2割、70代は3割減少すると言われています。それでも、年金収入だけでは、月5万円の赤字なのです。支出と年金収入を比較して、あなたに必要な預貯金を計算しておきましょう。
老後に向けて今からすべきこと
預貯金だけでは不安です。20代から少額でもいいので、ながーくながーく、回数を分けていろいろなものに投資をしましょう。よく分からなければ、投資信託で良いと思います。
さらに、結婚、子育て、住宅購入などの計画も立てます。ライフイベントと合わせて、自分の給与の伸びや預貯金を含めた、お金の動きを把握する必要があります。
もしあなたが“おひとりさま”なら、資産の動きを把握し、人生設計を考えることは比較的容易かもしれません。いざというときも、お金があれば安心です。若いうちから、退職までに必要な預貯金を計算し、月額の貯金額を設定し、計画的に貯めていきましょう。余裕があれば、NISAやīDeCoを利用することをおすすめします。
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