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「世帯年収が半減」しても貧困ではない?これからの日本に起きること

OTONA SALONE / 2020年9月1日 16時30分

2020年は、その当初から「新型コロナ COVID-19」(以下「コロナ」)に振り回されてきました。そして、2020年の後半になっても、コロナは、いまだ収束する気配を見せていません。

「いつまで続くのか?」

そんな問いかけさえ、無意味と思える状況です。そしていま、我々の眼前に顕在化してきたのが、「コロナ倒産」、コロナ禍を原因とする企業倒産です。*1

コロナ倒産には3つのパターンがある

私は、外国人経営者・労働者と多く接するイミグレーション専門の行政書士として「コロナ倒産」の現状を間近で感じる立場にあります。

 

なぜなら、日本社会において外国人経営者・労働者というのは、経営基盤、雇用環境などの立場が弱く、真っ先に経済的負の影響を受けやすいからです。

 

彼らは、様々な要因により追い詰められています。

 

当然ながら、この彼らの現状は、すぐに日本人にも波及していきます。 外国人は、経済的影響が顕在化するのが早いだけで、同じことが日本人に起きます。

 

そして、2020年4−6月期の実質GDP(国内総生産)成長率は、年率換算で▲27.8%(季節調整済み)と、戦後最悪の結果となっています。

 

「コロナ倒産」は、現在進行中の事象であることから、確定的な見解もデータもありません。しかしながら、私は「コロナ倒産」には、以下の三つの類型があると考えています。

 

①「どちらにせよ倒産していた」企業

名目的コロナ倒産(2020年3-5月)

コロナ禍以前から業績が悪化していた企業が、コロナ禍を契機として廃業する場合です。

つまり、実際は、コロナ禍がなくとも近い将来、廃業の可能性があった企業ということです。

 

②「コロナに対応する体力がなかった」企業

自主的コロナ倒産(2020年6月-8月)

コロナ禍によるα)インバウンド需要凍結β)ソーシャルディスタンス等の新たな社会規範定立により、従来の業態の転換を迫られた企業が、それを自らの意思で拒否し廃業する場合です。これは、業態転換に伴う、新たなビジネススキームの構築と追加投資(融資)に対して、企業経営者の気力がついていけなくなったということです。*2

 

③「体力はあったがコロナが上回った」企業

実質的コロナ倒産(2020年9月-)

コロナ禍によって悪化した業績に対して、企業経営者が業態転換や追加投資(融資)を試みるも経営破綻した場合です。

 

4月から6月にかけて、政府が用意したコロナ関連融資(国民生活金融公庫「新型コロナウィルス感染症特別融資」等)を受けて、α)インバウンド需要凍結、β)新たな社会規範定立に対応した業態転換を試みたが「結果」が伴わず倒産したということです。

 

結局は、融資にしろ持続化給付金にしろ、“一時しのぎ”にしかならず、根本的な解決にはならないことが多いということです。

 

これから20年末にかけて加速度的に倒産が増えていく

これら①から③のうち、①と②については、企業側にある程度の余裕、予測可能性があったことから、社会的影響はそれほど高くないでしょう。

 

深刻なのは③です。

 

中小企業を中心として圧倒的に③が増加し、その当然の結果として、多くの失業者が生み出されます。

 

しかも、企業継続をギリギリまで試みた結果の破綻であることから、その従業員達は、突然“放り出された“状態になります。

 

責任感が強い企業経営者ほど「なんとかしなくては!」と、再起に必要な”種銭及び信用“までスリ潰してギリギリまで頑張って、その結果として全てを失ってしまう。

 

このような悪循環が、多く発生していくでしょう。

 

ウィズコロナ世界でかつてない「失業」が我々を襲う理由

8月9日、安倍総理は、長崎市内において記者会見し「リーマン・ショック時には100万人を超える失業者が発生した。雇用や暮らしに与える影響を考えれば、感染をコントロールしながら、できる限り再宣言を避けなければならない」とコロナ禍による失業者に対して危機感を表明しました。

 

この安倍総理の発言の前提として「政府の緊急事態宣言を受けて、2020年4-6月期の実質GDPは前期比年率▲24.1%とリーマン・ショック後の2009年1-3月期(同▲17.8%)を超えるマイナス成長となることが予想される」とのニッセイ基礎研究所の発表があります。*3

 

実店舗で商品を購入する場合と通販を比較すれば、前者より後者の方が人工(ニンク:必要労働者数)が少ないのは明らかです。

 

さらに言えば、利便性の良い場所に高い家賃を支払って店舗も借りる必要もありません。 コロナ以前は、通販に消極的だった人も、ウィズコロナ世界では、ソーシャルディスタンスを順守するために態度を180度変える必要があります。

 

また、飲食店も、ソーシャルディスタンスでは、コロナ以前の座席稼働率を維持することは許されず、その損失分をテイクアウト等で補填しようとしています。 テイクアウトが中心となれば、店舗内飲食よりも人工が必要ありません。

 

さらに、現在「コロナ禍」の影響がない、もしくは、追い風となっているIT等の業界でも、「儲かる!」と思われれば、他分野からの参入が加速することから、従来通りのオペレーションを維持しているだけは落ちていきます。

 

ウィズコロナの世界では、労働集約性が薄れていくことから、求人も少なくなっていきます。 特に、単純労働と言われる労働集約型業種は、景気の最前線であることから大きく影響を受けるでしょう。 この点、単純労働は、「働きたいときにすぐに稼ぐことができる」ことから、セーフティネットの性質を有するものです。

 

だからこそ、日本人の雇用を守るために、外国人労働者に対して単純労働を全面的に解禁していないのです。

 

企業経営者が、ウィズコロナ世界に対応すればするほど、従来求人減少傾向が進み、失業者は増加します。

そして、

 

コロナ禍を理由とするリストラや廃業は、一面からみれば「進化」といえます。

 

この「進化」の流れに抗うことはできません。

 

ウィズコロナという新たな環境に適応する「進化」ができた者だけが、生き残ることができる。現在、我々は、この覚悟が求められています。

 

世帯年収500万→300万の時代にどう備えればいいのか

収入が減少すれば、消費も減少します。

もっとも、個人生活に必要なものは、従来通り消費されていくでしょう。 ただ、“余分”と見做されれば、個人消費対象から外されます。

では、“余分”なものとは何か?

 

「都心の住居」

 

これが、”余分“の最たるものでしょう。

 

テレワーク等で通勤の必要性が低下すれば、わざわざ高い家賃を支払わなければならない都心に住む必要はありません。

 

住居を都心から郊外に移すだけで、生活固定費が格段に下がります(例:10万円→5万円)。

 

それに伴い、その他の生活固定費等も下がっていくでしょう。

 

都心まで1時間ぐらいの郊外であれば、考えているよりも家賃が低いところもあります(例えば、埼玉県坂戸市等)。そして、 その場所には、生活に必要なインフラは全て整っていて住みやすいです。

 

当然、生活固定費が減少すれば、従来と同額を稼がなくても大丈夫です。

 

ウィズコロナ世界における「労働観」(労働とは?)は、確実に変化していきます。

 

コロナ以前の世帯年収500万円が、ウィズコロナ世界における世帯年収300万円と同じキャッシュフローといえます。

 

もちろん、世帯年収300万円は、世帯年収500万円よりも「選択肢」は少なくなりますが、移動及び消費の必要性が減少することから、結果的には同じレベルの生活を維持できます。

 

この点、「選択肢」において最重要といえる教育機会も、現在多くの大学等でオンラインのみで単位取得が可能となっています。

 

実際、オンライン対応が成功している大学ほど「もはやリアルなキャンパスに通学する意味があるのか」という声が出てきています。

 

これは、コロナ禍が契機となっているとはいえ、郊外にいながらにして、日本だけでなく世界中の一流大学を卒業できる可能性を見せてくれています。

 

世帯年収300万円時代に備える。

 

貧困ではなく、 移動及び消費を抑制することによる収入の低下。

これもウィズコロナ世界の一つの形です。

 

*1新型コロナウイルスの感染拡大でインバウンド需要の消失、外出自粛などの影響を大きく受けた宿泊業や飲食業が含まれるサービス業他が1,295件(前年同期比3.8%増)と最多」(東京商工リサーチ「全国企業倒産状況」)

*2 2020年7月の産業別件数は、10産業のうち、5産業で前年同月を上回った。最多は、インバウンド需要の消失、外出自粛など、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けた飲食業を含むサービス業他が283件(前年同月比16.9%増)で、2カ月連続で前年同月を上回り、今年最多を更新。〉(東京商工リサーチ「全国企業倒産状況」)

*3 経済研究部 経済調査部長 斎藤太郎『2020・2021年度経済見通し(20年5月)』

 

≪特定行政書士・フエ科学大学特任教授 近藤秀将さんの他の記事をチェック!≫

 

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