世帯年収900万夫婦、コロナ自粛で離婚危機「そりゃそうだ」の内実は
OTONA SALONE / 2020年10月25日 11時30分
自粛生活で収入が変わらなかったのは公務員や会社員、いわゆるお給料をもらう生活をしている人でした。
コロナ禍に入り、FPである私への相談は2パターンに別れました。
フリーランスや自営業など売り上げや仕事の有無がダイレクトに収入に関わる人は収入・節約面でのご相談がメイン、いっぽう、「収入が減らない組」からは家族関係と今後のライフプラン相談が多かったです。
今回は共働き子どもなし高田さんご夫婦(仮名)がともにリモートワーク生活を過ごした約2カ月で起きた離婚危機のお話を紹介します。
■相談者のプロフィール
高田真一さん 45歳(公務員) 年収600万円(貯金 ?円)
早記さん 43歳(税理士事務所事務員)年収300万円(貯金 80万円)
コロナの影響が大きかった札幌在住、賃貸住宅
■早記さんからのご相談内容
妊活を5年してきたが、2019年末で卒業。二人での将来設計をあらためて計画していた矢先にコロナウイルスで仕事がリモートワークになりました。
今まで子どもを授かることが2人の目標で、力を合わせてきたが、共通の夢がなくなってしまいました。
定時に帰ることができる私(早記さん)が家事全般をこなすのが暗黙のルールになっていましたが、自粛生活で夫も家にいるのに家事をしようとしません。
夫がいると動悸がして、頭痛に襲われ、仕事がなかなか進みません。妊活で貯金はあまりないのですが、離婚も考えています。これからどうしたらいいでしょう?
■カウンセリング①家計の確認を
共働きにありがちな「なあなあ家計」で、貯金はお互いにしているはずと認識しているため真一さんの貯金がいくらあるかわからないとのこと。
家計分担はそれぞれの家庭で違っていてよいのですが、老後一緒に生活していくのでわれば夫婦として老後いくら必要か話し合い貯めていくことも必要です。
年収から考えると、真一さんの年金は月16万円、早記さんは12万円ほどと予想されます。夫婦2人で合算すれば生活できそうですが、今のままお互いの収入はそれぞれで使うという家計管理では難しくなる可能性があります。
今は、公務員なので住宅手当があり家賃8万円のところ負担は実質5万3000円です。退職後も同じくらいの住宅に住むとすると、月8万円の家賃負担、そして水道光熱費、食費、雑費。どう感じますでしょうか。
2人で生活していくために住まいはどうするか、年金での生活が難しければ不足額の準備はどのようにしていくか。一緒に具体的に考えていきましょう。
■カウンセリング②体は大切に
FP: 出勤を伴う仕事だった時は家事のほとんどを早記さんがしていたのですね。これから早記さんはどうしたいですか?
早記さん: できれば離婚はせず、家事を手伝ってほしいです。
FP: 2人で生活しているのですから、手伝うのではなく、役割として一緒にしてもらっていく方法を考えてみましょう。家事負担について真一さんに相談したことはありますか?
早記さん: 今まで私が100%してきたので…。当たり前のようになっていて…。
FP: 一度、このことは担当してほしいと話してみませんか?
そう伝え、いま早記さんが一人で負担している家事を整理し、一覧表を作ってお渡ししました。もちろん、この他に「名もない家事」が大量に挙がるのですが、意思を伝えるこの段階ではシンプルな一覧から始めます。
女性から見ると男性は「察して気配りする力」が弱いこともありますが、こうしてロジカルに視覚で提示すると感情的にならず、冷静に話し合える傾向があります。
■買い物 毎日
■朝食準備・片付け 毎日
■(休日)昼食準備・片付け 土日
■夕食準備・片付け 毎日
■風呂沸かし 毎日
■掃除機かけ 毎日
■リビング整頓 毎日
■キッチン回り 毎日
■浴室掃除 毎日
■ゴミ捨て 週2回
■洗濯 毎日
■布団干し 週2回
■トイレ掃除 毎日
■カウンセリングの結果
早記さんは単独で2回カウンセリングにきました。そして、なんと2ヶ月後の3回めは真一さんと一緒に老後資産形成の相談にやってきました。
今まで収入はそれぞれが管理し、家賃と光熱費は真一さん、食費や雑費は早記さんと担当制にしていました。その流れは同じにするとして、手取りの2割は夫婦で貯めるお金として管理することに。貯め方は、iDeCo、つみたてNISA、保険など具体的に組み立てていきました。
最後に、離婚問題の発端となった家事負担について聞いてみると、真一さんはすることを拒んでいたわけではなく、ただ「何からしていいかわからなかった」ことが判明しました。早記さんから一覧表とともにつらい気持ちを打ち明けられ、はじめてことの重大さに気づいて大変に狼狽したそうです。この2ヶ月で、自分ができそうな掃除や洗濯はすることにしましたと夫婦で恥ずかしそうに報告してくれました。
もともと、妊活という同じ夢を追いかけていたので、二人の気持ちの根底は繋がっていました。コロナという異常事態で、ほんの少しのすれ違いがどんどん距離を遠ざけてしまいましたが、改めてきちんと思いを話すこと、その気持ちを第三者に伝えて整理してもらうことで、お互いが夫の存在の大切さ、妻に思いやる気持ちを再確認できたそうです。
■まとめ
早記さんのように慣れない自粛生活で離婚危機に陥った方のご相談が増えました。
お金のやりくりは、夫婦それぞれ。これが正しいというルールはありません。大事なことは夫婦で話し合い、家族としてのお金のルールを作ることです。なあなあなままにせず、家族でお金会議をしてみてください。
≪ファイナンシャルプランナー(CFP🄬) 稲村優貴子さんの他の記事をチェック!≫
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