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不倫にはスリルと快楽と愉悦、私が持っていないものが全部あった

OTONA SALONE / 2021年3月16日 22時1分

子どもの習い事に足繁く我が子を送る母親たち。その胸の中は? インストラクターとついに一線を越えたHさんだが…。

不倫にはスリルがある。中毒してしまうような

子どもが通う学校でも、夫の会社の関係でもないスポーツ教室での出会いは、Hさんにとって新鮮で手放したくないスリルになっただろう。

 

会うのは教室のない平日の午後や夜。

 

ほかの生徒やその親に見られないように十分気をつけ、郊外のコンビニで待ち合わせ、ホテルに行く時間が、それからのHさんにとって一番の幸せになった。

 

「窮屈なのよね、私は既婚者だし、彼は何年もそこで教室を開いている人だし、とにかくバレたらやばいって。

でも、子どもを連れて教室に行くと彼は平然と私に挨拶するし、子どもたちも楽しそうで。

そういうのを見てるとドキドキして、ああこれがスリルなんだなって」

 

「窮屈でも幸せ」と話すHさんだったが、いざ彼と不倫関係になってからも気が休まらないことは多々あった。

 

「やっぱりほかの女性がさ、彼に近づくじゃない。

たまに私みたいにLINE交換してって言う奥さんもいて、ハッとするんだけど、彼は断ってくれるのよね。

そういうのがすごく幸せで」

 

“彼にとって私がいま一番なのだ”という実感が、Hさんをさらに関係にのめり込ませていった。

 

そんな逢瀬も情勢の変化で一変してしまう

ところが、コロナが流行しはじめてから、状況が一変した。

 

外出規制、ソーシャルディスタンスの徹底、密を避ける生活様式などが推奨されてから、彼の教室からは生徒が遠のき、レッスンの回数も減った。急激に運営が難しい状態へ追い込まれていったのだ。

 

最初は「会う回数が増えてうれしい」とのんびり構えていたHさんも、

「教室を続けるのは厳しい」

と言われ、金策に奔走する彼からデートを断られるようになると、

「これから私たちはどうなるのだろう」

という不安ばかり抱えるようになった。

 

Hさんが彼にできることなど何もなく、ただ見守るしかない状態もそうだが、教室のレッスンが減ったことを知った夫からは

「こんな状態で、無理に子どもたちを通わせる必要はないだろう。

落ち着いたら別の教室を探せばいいのだし」

と退会するように言われた。それがさらにHさんを追い詰めた。

 

実際に、教室で知り合ったほかの母親たちはすでに退会を決めていた。

 

自分だけが彼のいる教室に固執している現実を見れば、この流れに逆らうのが危険であることは、Hさんもよくわかっていた。

 

生活がかかっている彼と、ただひたすら恋をしたい彼女

「でも、仕方ないよね、密を避けてのレッスンは難しいと思うし、子を通わせる親としてはやっぱり不安だし」

二週間ほど前に電話でその話を聞いたときはそう答えたが、Hさんは

「それはわかってるの。

でも、教室がなくなったら彼はどうするのだろう。

今までのようには会えなくなるよね?」

と、彼と自分の関係だけを気にしていた。

 

彼からの連絡は減る一方で、電話があっても「何とかしなければ」が口ぐせになっている彼に会ってとはとても言えない。

自分のことをどう思っているのかも、関係を続けるのかどうするのかも、Hさんから尋ねることができない状況だった。

 

「本当に続けたいなら、何とか方法を考えるでしょ」

何となく別れの予感を覚えながら、それは言わずにHさんに返すと、

「先が見えない、って怖いね……」

スマートフォンの奥でぽつりとつぶやく彼女の声は、心細さがにじんでいた。

 

いつまで続けられるのか、先の見えない関係

一方で、Hさんは変わってしまった自分の生活にもストレスを抱えていた。

 

今までは子どもたちの習い事で家を空けることがあったのに、レッスンが減ってから子どもたちは家で過ごす時間が多くなり、また在宅勤務となった夫の食事の用意などもHさんの負担となった。

 

Hさんの仕事は相変わらず出社が続いていたが、慌ただしく帰宅して家事や子どもたちの相手をする日々は、彼との逢瀬がなくなってからいっそうHさんの心身をすり減らすことになった。行き場のない鬱屈ばかりが溜まる。

 

「せめて、彼から“待っていてほしい”とか、そんな言葉があれば……」

Hさんから届くLINEのメッセージは置いてけぼりにする彼への恋心と恨み言が増え、今や週に一度連絡が会えるかどうかの状態は、彼女にとってつらいことがよくわかった。

 

それでもHさんは彼を信じ、やっと都合をつけてくれた彼のために、いつもきれいに着飾って出かけるのを忘れなかった。

「こんなときに、そんなおしゃれして何処に行くんだ」

という夫の渋い声も、ほとんど上の空で聞き流していた。

 

中途半端で終わっても文句は言えないのが不倫

「ああ、春からどうしよう……」

カフェオレを半分ほど飲んで、またHさんがつぶやく。

 

教室が閉鎖されることは、半ば予想できたことであり、今の世情では仕方がないといえる。

だが、彼女の関心はそこにはない。教室を閉めることを伝えた彼から今後のふたりについて何も説明がない。

 

「閉めるのはいいけど、私たちのことはどうするの?

それを聞きたいけど、最近は忙しいからって電話もすぐに切ろうとするの」

と、彼の態度に苦しんでいるのだった。

 

「私はこの恋を続けたいと、伝え続けるしかないよ」

本当に、それしか言いようがなかった。

 

そもそも不倫は後ろ指をさされる関係であり、いつ何が起こって終わりになるのかは誰にもわからない。

Hさんは「不誠実じゃない?」と彼をなじるが、彼の気持ちを考えれば、大切な教室の運営で頭がいっぱいのときに不倫相手のことまで考える余裕があるのかどうか、はなはだ疑問だった。

 

中途半端でも終わりを簡単に選べるのが不倫であり、これで音信不通になっても、Hさんが彼を責めることはできない。

だから、自分は「待つ側」にしか立てないのだと、それが不倫の現実なのだと、口に出かかったが、やめた。

 

Hさんは、いずれ出る結末を受け入れることしかできないのだと、気がつくことを願って。

 

 

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