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恋愛経験ゼロ男との不倫、よほど身体がよくない限り得るものなくない?

OTONA SALONE / 2021年5月4日 22時1分

後ろ指をさされる関係とわかっていても、やめられない不毛なつながり。

不倫を選ぶ女性たちの背景には何があるのか、またこれからどうするのか、垣間見えた胸の内をご紹介します。

【不倫の精算#29後編】

その独身男性はどうしてわざわざ不倫を選んだのか?

好きな女性が結婚していたら、その時点で諦めるという独身男性のほうが多いのではないだろうか。

酔った勢いで告白するだけなら切羽詰まった気持ちも理解できるが、そこから先、どんな思いで不倫まで進むのか。

 

この点について尋ねたとき、Lさんは特に考える様子もなく答えた。

「私が拒否しなかったからよ」

 

そのままLさんはこう続けた。

「結婚はしているけど、彼が好きになってくれたことはうれしかったしね。

不倫……って言葉は出なかった気がするけど、結婚している人と付き合う意味はさすがに理解できるだろうし、それでいいならって言ったの。

彼はすぐOKしたわよ」

 

好意を受け止めてくれるのなら、不倫でもいいから付き合いたい。

最初から、関係を「許された側」なのが独身の彼だった。

だから受け身が当然なのだ。

 

恋愛経験が少ないことがモラルの低下につながるとは決めつけられない。

だが、「好きな人と交際する」一点だけを見てしまう幼さは、彼女が告げる彼の態度から伝わった。

 

「こっちが好きと言えば『俺も』と返す」

「ホテルに誘えば時間があまりないときでも断らない」

「夫との関係について何も言わない」

 

これらはすべて、「彼女が自分のことを好きかどうか」に集中していることの現れだった。

 

「愛情の試し行為」が始まったら、二人の関係はもう終わる

いざ付き合いはじめたものの、愛情表現も少なく自分から求めてこない独身の彼に、Lさんは執着していった。

 

「最近はね、夫の話をすると不機嫌になるのね、あからさまに。

前は何とも思ってませんって顔をしていたのにね。

そういうのを見るとホッとするというか、やっと“好かれている”って思えるの」

 

Lさんは嫉妬されない焦りから彼を試すような言動が増え、それがかえってふたりの関係を悪化させているように思えた。

 

「そういうの、自分がされたらイヤじゃない?」

そう言うと、Lさんはぷいと横を向いた。

「だって、自分から告白しておいて、付き合ってあげているのに好きも言わない男なんて」

「別れたらいいじゃない」

「イヤよ」

 

不倫なんて、こんな後ろ暗い思いを持って続けるような関係ではない。

 

それでも、おそらくはじめて夫以外の男性から恋心を打ち明けられたLさんにとって、彼との交際は大きな刺激だったのかもしれない。

彼を理解したいという思いが歪んで形を変えていく過程を、どうすることもできなかった。

 

ついに口にしてしまった「禁句」、そして訪れたのは

Lさんと独身の彼との不倫を聞いていると、「まるで学生だな」と思う瞬間が多かった。

 

腹の底を探り合い、愛情の確認に躍起になる。

別の異性を持ち出して嫉妬心を煽る。

でも欲をぶつけることはやめられない。

 

幼稚で、未熟で、不倫でなくても“大人の恋”とは到底呼べなかった。

 

そんな関係でも、当人にとっては手放したくないものだったのだ。

 

しばらく連絡が遠ざかっていたLさんから電話がかかってきたとき、“何かあったな”とすぐ思った。

間が空いていたことが、かえって思いつめていたことを知らせるからだ。

 

「夫とは離婚するって言ったの」

開口一番にこう言われたとき、Lさんがここまで思いつめていたいたことに衝撃を受けた。

 

「もちろん嘘よね?」

まず確認したのは、Lさんの気持ちを現実に戻すためだった。

 

不倫相手が独身の場合、こんな“脅し文句”で愛情をねだる既婚者の姿は、それまでも見てきた。

離婚してほしい、ではない。

“配偶者とは別れてもいいほどあなたを求めている”という、執着の底が見える言葉なのだ。

 

最初から最後まで「何一つ通い合うものがなかった」不倫

だが、こちらの予想に反してLさんの声は落ち着いていた。

 

 

「もちろん嘘よ。

決まっているでしょ」

「……」

よかった、という言葉を飲み込んで、彼女が続けるのを待った。

 

 

「彼とは終わったわよ。

夫と別れるって言ったら、なんて返したと思う?

『慰謝料の相場って300万円だっけ?』

『俺、もう会社にいられないな』

って、とんちんかんなことばっかり。

もうね、すーって冷めた」

 

 

彼女がほしかった、「好き」「愛してる」の言葉は、最後まで耳にできなかった。

渾身の切り札を出しても、独身の彼はやはり自分の世界でしか関係を見ていなかった。

 

 

「うわ、最低だね」

「ほんと別れて正解」

こちらの口からはぺらぺらと出る彼を非難する言葉が出た。

彼女の言うことがどうか本当であってほしいと、本心であってくれと願うからだった。

 

きっとこちらの“思惑”に気づいたであろう彼女から出たのは、不毛な関係から抜け出したことを告げる言葉だった。

「大丈夫よ、目が覚めたから。

夫と本当に離婚してまで手に入れたいような男じゃなかった。

やっと気がついたわ」

 

その言葉が嘘偽りのない真実であることを願いたい。

 

 

≪恋愛相談家 ひろたかおりさんの他の記事をチェック!≫

 

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