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「テレワークしんどい」それノートPCのせいかも…?新レッツノートの秘策って【開発秘話#2】

OTONA SALONE / 2021年6月30日 11時0分

こんにちは、よくいるタイプのわかりやすいアキバ系オタクことオトナサローネ編集部井一です。得意技は早口です。

 

開発や企画、デザインなど「ものを作った側」の人々に、「なんでコレ作ったの?」とオタクが感涙しながらしつこくお聞きするシリーズ、今回は「軽い・頑丈・電池長持ち」で有名なパナソニックのノートPC「レッツノート」。

 

たまたま新製品発表会を聞いたところ、私がテレワークで持ってる悩みが全部解消されていて驚愕しました。私はオンライン会議がすごく苦手だと思っていたんですが、実はそれって私のせいじゃなくてPCのせいだった……?

【開発秘話聞いちゃお!#2】

お話/パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社 モバイルソリューションズ事業部 開発センター プロジェクトリーダー 白神(しらが)和弘さん

 

同社 モバイルソリューションズ事業部 マーケティングセンター 商品企画部 主務 佐藤 敬太郎さん

 

コロナ禍でスタートしたノートPC開発。全国から続々と集まるSOSとは?

 

--今回は「開発」と「商品企画」のお二人にご登場いただきます。お仕事の分担はどんな感じなんでしょうか?

 

(企画)佐藤・こういう商品がいいというニーズを探って、計画を立てる役割が商品企画の私です。

 

(開発)白神・その内容を実際に形にする、具体的な商品づくりが開発の私の担当です。レッツノートの開発には社内でも数十人が関わります。

 

--レッツノートは登場から25周年と長い歴史がありますが、コロナ前の市場の推移はどうだったのでしょうか?

 

(企画)佐藤・ノートPCの市場は「とても軽い」「とても頑丈」など、何か1つの機能が突出した製品が人気を集めていました。そこに2000年代、レッツノートが始めて「軽量・長時間・頑丈」全部を兼ね備えた機種を出し、以降不動の地位です。長い間しっかり使っていただきたいよね、その使用期間の間に不満が出ないものがいいよねという思いが原点です。

 

--ある意味安定した市場だったんですね。コロナ禍であらゆる市場が激変しましたが、ノートPCの開発の現場も大混乱したのでは?

 

佐藤・まさに大混乱でした。我々も突然会社から「くるな」と通達がきて、リモートが始まりました。同時に、ユーザーの皆様からは、会社支給のパソコンは大きすぎる、在宅にそぐわないという声が続々と寄せられます。それまで、ノートPCのニーズははっきり別れていたんです。あちこち持ち運ぶ人はB5 相当の12インチ。いっぽう、普段は机に置いたままの人はA4相当の14インチ。

 

--私もデスクに置きっぱなしの重たい14インチでした。持って帰るのが本当に大変だった……。

 

佐藤・どれだけその悲鳴を聞いたか(笑)画面は大きいほうが見やすいので、14インチで持ち運べればはそれに越したことはありません。ですが、大きすぎてバッグに入らないし、重い。場所もとる。こうしたご不満はコロナ前からすでに見え隠れしていました。

 

--そこにコロナ禍がやってきたんですね。新機種の企画は、発売のどれくらい前に始まるんですか?

 

(企画)佐藤・発売1年前には始まります。今回の新機種、FV1の企画はコロナ禍より前にすでに走っていました。そもそもレッツノートにとって「持ち運べる大画面ノートPC」が提供できていないことは解決すべき課題だったので、コロナ前から「持ち運べる大画面」で商品コンセプトを固め、開発に取り組んでいました。そこにコロナ禍でニーズが急増したという流れです。市場ニーズをしっかり把握して開発できていたなと思います。

 

このオンライン取材が「異常なまでにやりやすい」秘密とは?

FV1試作機(右)と一緒に、別のPCにもイヤホンを接続。この取材音声の品質レベルを別のPCのイヤホンを通じてレビューしている開発・白神さん。

--とはいえコロナ禍で急に新しく何かが判明しても、その段階から設計はやり直せないですよね? ここからは開発の白神さんに伺います。

 

(開発)白神・はい、筐体の設計には時間がかかるので、半年そこらでは反映できません。いっぽうで、私たちはコロナ前から開発拠点をつなぐオンライン会議を日常的に行い、リアルな実体験を持っていました。痛感していたのは、オンライン会議では音声品質がとても重要だということ。なので、そもそも新機種ではマイク、AIノイズ除去、スピーカーの高品質化など、音声の強化を予定していました。ちなみに、いまこの取材も脇にもう1台置いたFV1からイヤフォンで聞き、自分自身で発音をクリアに聞き取れるか、品質レビューをしながら受けています。

 

--先ほどからこのオンライン取材のやりとりが未だかつてないレベルでラクなのですが、もしかしてこれはそれらの機能のおかげですか?

 

白神・音声に遅延がない点ですか? それはお使いの通信回線がいいからでは……?

 

--ここで「はい、もちろん新製品だからです」と自慢しないのが日本のメーカーさんらしいです(笑)

 

白神・(笑)。機能には自信がありますが、確かに自慢は苦手かもしれません。

 

--「音声品質が高いとオンライン会議のストレスがゼロに近づく」、これはコロナ禍では重要なポイントですよね。

 

白神・はい、それは間違いありません。従来機種のLVもスピーカーの音圧はそこそこありましたが、一気に世間がリモートワークに切り替わり、オンライン会議が日常化するとなると、もっと音量が欲しい。ほかにも、たとえば、救急車のサイレン音をマイクが拾って会議が中断しますが、ああいうノイズも何とかしてほしい。自分たちの実体験から解消してほしい悩みがわかりました。

 

--確かに、例えば家族がキッチンでお皿を洗い始めるとマイクがカチャカチャ音を異様に拾いますが、コロナ前はそんな音の存在すら知りませんでした。

 

白神・家族のオンライン会議が始まると家の中で息をひそめて音を立てないように気をつけるなんて声もありますよね。なので、発売までもう残り半年少しでしたが、この時点でソフトウエア上の信号処理を追加し、AI処理でノイズ除去機能をプラスしました。

 

残り半年で「ノイズ除去」の追加を決めたが……

担当者同士の場所のぶんどり合いと、それをそっと見守る白神さん(再現)

--えっ、いま恐ろしくサラリと「プラスしました」と言いましたが、それはサラリとできる程度に簡単なんですか?

 

(開発)白神・そんなわけない(笑)、大変ですよ。ハードウエアの設計変更に比べれば、できなくはないというレベルです。

 

--ああ、そういうレベルなんだ。ということは、何かもっと難しいことがあった……?

 

白神・ハード面で、もともと開発していた「筐体を壊れにくくする設計」がとにかく大変でした。液晶というものはとにかく割れやすいんです。あちこち持ち運んで使うためには液晶のフチの額縁部分に強さが必要ですが、硬ければいいというものでもない。今回はA4サイズ相当に小型化するために、額縁を狭くする開発に挑んだのですが、液晶が割れないよう、かかる力が局部に集中しないよう分散させる設計をしないとなりません。この応力分散はとても、とても難しい。

 

--液晶の割れっぷりについては、スマホを落としたときにみんな実感していると思います。ものすごく大変なんですね?

 

白神・はい、ものすごく大変です。それだけではなく、そもそもノートPCは小さいところに機能てんこ盛りなので、設計自体が場所のぶんどり合いの喧嘩なんです。

 

--ぶんどり合いの喧嘩。

 

白神・いろんなパーツにそれぞれ担当者がいます。冷却ファンの担当者が、いやウチはこれだけ体積が必要だから基板削ってくださいよと言うと、基板設計の人は動作安定性上困るよ譲れないよと言い、電池やアンテナの担当も小さくするなんて無理に決まってるだろと応戦すると

 

--レッツノートはどれもUSBやLANなどのポートがたくさんついてます、あれも地味に場所を取りますね。

 

白神・はい、なので、毎日担当者が集まっては、CADの画面を見ながら言い合いをしている。CAD編集にも時間がかかりますから、編集が終わるとみんなで囲んで喧嘩です。で、このサイズに入らないので大きくしていいですか?と聞かれて、責任者の私がダメーって言うと。

 

--ひどい(笑)

 

白神・FV1はボックス型スピーカーという、小さな箱の中にスピーカーを埋め込み、スピーカーの背面から音が漏れて低周波音が打ち消されることを防ぐ密閉型のスピーカーを採用しています。これにも体積が必要なので、場所の取り合いがいっそう激化します。この場所の収めどころこそが我々、モバイルPC開発者たちの腕の見せどころなので、何十と案を挙げて心ゆくまで喧嘩をします。

 

--なるほど、よく悪い意味で設計図通りという言い方をしますが、とんでもない、設計図を決めるまでが恐ろしく大変なのだと。

 

白神・はい、その通り。そして場所の取り合いが一段落してから、何か足りないということになりました。

 

--えっ、そんなに喧嘩して落ち着いたのに?ひっくり返すんですか?

 

白神・さすがにひっくり返しはせずに(笑)、新しくソフトウェア上でハンズフリーでの会議に特化した信号処理を追加しました。これが最初に話に出た「追加のノイズ除去」です。人の声には聞き取りやすい帯域があるので、そこにぎゅっと調整しています。このチューニングは極めて特徴的です。これもみんなで会議しながら、何度も何度も確認レビューを繰り返しました。

 

製品開発に苦労の少ない部分はない。だからこそ、製品には絶対の自信がある

--コロナ禍の開発は大変でした、というようなお話を伺うつもりでしたが、コロナは特に関係なく、普段から大変だったんですね。

 

(開発)白神・はい、この製品が仕上がるまでに流した涙の量はバケツ一杯じゃ足りません。製品ですから、私たちにも締め切りがあります。たとえば試作が上がって2週間でGOしないとならないところに、1週間目でトラブルが出ることだってザラにあります。そうするとGOできない。迫る納期、解消されないトラブル、そうなるともう責任者の私はご飯が喉を通りません。

 

--この話を聞きながら「ウチもだよ……」と全国で開発担当者の皆さんが肩を叩きあっているのではと思います。

 

白神・本当に、どんなメーカーさんの、どんなものであれ、製品開発において苦労の少ない部分はないですよね。ドラマの「24」のようにすべてのメンバーがリアルタイムに動き、さまざまな問題を抱えながら、最後に全体として1つの商品になる。その点ではメンバーの数だけ秘話があります。

 

--ドラマですね……。パナソニックともなれば涼しい顔でスマートに開発をしていそうですが、そんなことないんですね。

 

白神・はい、今はこうして涼しい顔をしていますが、「24」だってそうですよね、映っていない水面下では全員が白鳥の足のように必死で水を掻いてます。すべてはよい商品を届けたいという、その思いです。

 

コロナ禍で女性も「使い勝手のいいノートPC」を積極的に探し始めた?

同社 モバイルソリューションズ事業部 マーケティングセンター マーケティング部 主務 片瀬浩子さん

--従来、パソコンはどうしても男性のガジェットで、女性はよくわからないからお任せしますというアイテムでした。

 

(広報)片瀬・ここからは広報の私がリサーチで浮かび上がったことをお話します。実はリモートワークが始まると同時に、「持ち運べる大画面」を選ぶ女性ユーザーが大幅に増えました。

 

--ですよね? PCの性能でお仕事のはかどり具合は相当変わりますよね、重いと出社日に持っていくのも辛い。私たちもそれに気づいてしまいました。

 

片瀬・レッツノートはパナソニックストアでも販売していますが、そこでのユーザーの女性比率がコロナ前との比較で増加しました。

 

--わかる、私も選べるならテレカンがラクになる機種を選びたい。そもそもPC側でAIでノイズ処理できたとは……。

 

片瀬・女性比率の増加の理由が本当にリモートワークなのか詳しい点は今後の調査で解明しますが、フルリモートでも月に何度かは出勤する必要がありそうです。すると、PCが自分の通勤バッグに入らない、重すぎるなどのトラブルに直面しやすいのは女性かもと。ですから、「軽量・頑丈」なレッツノートを女性のほうが感度高く調べてくださったのかもしれません。

 

--他にもいろいろアピールポイントがあると思いますが、女性にこそ手にとってもらいたいノートPCですね。

 

片瀬・ぜひお近くの電気店で、まずは手にとった後に持ち上げてみてください。きっと「大画面なのにコンパクト」なサイズ感と、1kgを切った自慢の軽さがおわかりいただけると思います!

 

レッツノート CF-FV1 オープン価格(編集部調べ・店頭価格約24万2,000円~・10%税込)/パナソニック

 

 

 

≪OTONA SALONE編集部 井一美穂さんの他の記事をチェック!≫

 

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