大人だから、欲求に素直に従いたい【40代、50代の性のリアル】#12
OTONA SALONE / 2021年6月19日 21時0分
コロナ禍で、人とのつき合い方や距離感を見直した人は少なくないだろう。気軽に会えなくなったからこそ存在の大きさに気づいた、もしくは、そんなに好きでもない人と無理して会わなくていいので楽になった……。夫や恋人、セックスパートナーとの関係も、例外ではない。
本連載でお話を聞いた女性たちは、その後をどう過ごしているだろうか。コロナ禍で変わったこと、変わらないことはあっただろうか。
多忙で会えなくなった
結婚、二度の出産、別居、離婚を経験し、シングルマザーとなってからマッチングアプリで知り合った男性との交際について語ってくれたチヒロさん(45歳)。
「その後」のお話を聞かせてもらった。はじめてのオーガズムをもたらしてくれた男性、シンゴさんとの関係は、どうなっているのだろう?
「実は、いまは別の方とおつき合いしているんです。年上の彼にも離婚経験があって、独身同士。以前、短い期間ですがおつき合いしていたので、ヨリを戻した形になります」
黒く豊かな髪を揺らしながら、おっとりと話す。この日はリモートでお話をうかがったが、自然光がたっぷり入るカフェでお茶をしながらおしゃべりをしている気分になった。そんな親しみやすさが、チヒロさんにはある。
性への探究心が旺盛なシンゴさんとは、どのような別れを迎えたのだろうか?
「それが、はっきりとお別れしたわけではなくて。彼のお仕事がとても忙しくなり、それでも無理をすれば時間を合わせられなくもなかったのですが、私はせわしなく会うのはあまり好きではなく、だったら会わなくてもいい、と思ってしまうんです」
ゆとりがあるとき愉しむもの
会うなら余裕をもって、ふたりでゆっくりしたい。抱き合う時間も、たっぷりほしい。40代も半ばになったからこそう思えるようになった、とチヒロさんは思っている。
「若ければ、1時間でもいいから顔を見たい! という切羽詰まったような気持ちになるでしょうし、忙しくても疲れていてもなんとか時間を作るエネルギーがあると思うんです。『なんで連絡くれないの?』『もっと逢いたい』と、やきもきしたり。それはそれで恋愛の醍醐味のひとつだと思うのですが、私の場合、いまは恋愛がそんなふうに人生の中心にはならないんです。仕事があって子どももいて、日常が回っている。そのうえで、ゆとりができたときに愉しむもの、という感じです」
シンゴさんは、美穂さんのスタンスを支持してくれた。
「彼はいずれ早期リタイアしたいと思っているそうで、『僕が悠々自適になって、チヒロの子どもが独立したら、ふたりで一緒に暮らそう』と言われているんです。それまでは、私がほかの人と交際しようと何しようと構わない、と。私も現時点ではそんな気持ちになれないけど、先のことはわからない。彼にもそう伝えています。うちの子はいちばん下がまだ小学生なので、10年以上先の話ですしね」
きっぱり別れたわけではない、相手に期待をもたせるわけでもない。これが20代、30代だったら「自分たちはつき合っているのか、いないのか」「将来的に結婚するのか、しないのか」「子どもがほしいから、はっきりさせて」と、白黒つけたかったかもしれない。チヒロさんには今後再婚したいという意思がなく、だから曖昧なままでいい。
イクけど、気持ちよくない
「月に一度はLINEをして、近況を報告し合っています。会わないけど、途切れもしない。元気なのがわかれば、それはそれでうれしい。そんな感じです」
こうしてシンゴさんとは距離ができたが、チヒロさんはその後、自身のセックスライフにおいて彼との出会いがいかに大きなターニングポイントだったかを思い知る。シングルに戻ったのを機に何人かの男性とデートし、セックスをしてみたとこと、決まってオーガズムに達したのだ。
ここで、2年前の記事から一部を引用する。
--イクとは“反射”だと言われている。鼻の穴に細いものを差し込んでくすぐればクシャミが出るように、適切な刺激を与えればほとんどの女性はイケるということで、一度オーガズムを身体が覚えればその後は比較的、絶頂感を体験しやすくなる。
「デートした男性たちとのセックスでも、その“反射”が起きたんです。出会ったばかりで彼らのことがそこまで好きなわけではないのに、身体にクセのようなものがついていて、イッてしまう。初めての相手とのセックスだと女性はだいたい緊張すると思うのですが、私もそうでした。だから、オーガズムはあるのに気持ちよさとリンクしないという、不思議な現象が起きたんです。点数をつけるなら、60点ぐらいかな。なのに相手の男性は、私の反応を見て盛り上がっちゃって」
まさかの「変化」に、チヒロさんは>>>
関係を築くためのコスト
オーガズム=100点満点、と思っている男性は多い。彼らもそうだったのだろう。性科学の世界では、オーガズムとサティスファクション(満足感)を分けて考える。イッたからといって必ずしも心身が満たされるわけではない。逆に、イカなくてもたっぷりの満足感に浸れるセックスもある。
「私はまさに、サティスファクションが得られていない状態。60点がダメというわけではないんです。はじめての相手だと緊張もあって、100点になることは滅多にないと思います。でも、このときは相手だけテンションが上がり、『俺たち相性がいいね』『次いつ会おう?』とひとりで先走っている。温度差が大きすぎて、実は60点なんです、なんて言えるわけなかったです。説明してわかってもらえるとも思えなくて、サーッと冷静になってしまいました」
温度差を埋めるため言葉を尽くして説明するには、時間と労力を費やさなければならない。そうしてでも関係をつづけたいと思える相手でないと、そのコストを払う気にはなれないだろう。チヒロさんはこれに懲りて、つき合おうかどうかまだあやふやな段階の男性とはセックスしないと決めた。
業務連絡のようなやり取り
そして1年ほど前から交際しているのが、キヨシさんだ。コロナ禍でも、月に二度ほどのペースで会いつづけてきた。連絡を取るのは、会う日程を調整するときのみ。
「彼は人とのコミュニケーションがあまり得意でなく、本当に業務連絡のようなやり取りです。私は私で、会っていないとき相手が何をしているかにぜんぜん興味がないから、それでいいんです。相手の行動が気になるのって、自分の思い描く行動をとってほしいからだと思うんです。でもたとえば、自分以外の女性と食事をしたって浮気しない人はしないし、お食事の機会がないまま浮気をする人もいる。わからないことをずっと考えてイライラするより、私は自分の家でアイスを食べているほうが楽しいって思います」
ふだんのやり取りが淡白なのとは裏腹に、会っているときは濃厚な時間を過ごす。
「私は彼との時間を、”三大欲求が満たされる時間”と呼んでいます」
チヒロさんは、ふんわりと口角を上げて言う。
自分は何を求めているのか?
「一緒にご飯を食べて、セックスをして、そのままふたりで裸のままグーッと眠る。すごく贅沢だと思うんです。年齢を重ねるごとに、欲というものを自覚する機会が減ってきたと感じます。アレしたい! 次はコレ! という素直な欲求が日々の抑圧によって出せなくなっている。特に女性は抑圧が多いですよね。小さな女の子のときからお利口さんになって、どう振る舞うべきか、何を選ぶべきかを考え、自分がどうしたいかより周りにどう思われるか、どう評価されるかで物ごとを選んできたと思うんです。私は『あなたはどうしたいのか』と問われたとき、絶対コレと主張するのが得意ではないタイプでしたが、彼にそのことを話したら『どうしたいかなんて、自分のことなんだからすぐわかるじゃん!』と返ってきたんです」
そんなキヨシさんだから、自分がしたいことに素直に従う一方で、相手のしたいことを尊重する。自分が思う女性らしさや、“こうあるべき”といったものを求めてこない。だからチヒロさんも、「私がしたいこと」にフォーカスできる。
そのチヒロさんを突き動かす背景とは?>>>
抑圧から解放される悦び
「大人になると、食事ひとつとっても『健康に気を遣わないと』『今夜は会食があるから、昼はセーブしなきゃ』と欲求よりも頭で考えることを優先しがちだと思うんです。眠いときにいつでも寝れるわけじゃないですし。人間のなかで一番シンプルな三大欲求に従うって、実はけっこうむずかしい。でも彼といるときは、それがすべてになるんです。デートのようなこともしないわけではないのですが、そこに割く時間があるなら、三大欲求を満たすために使いたい。彼とのセックスはとても満足していますが、そのあと一緒にお昼寝をする、までがセット。お昼寝する時間がないなら会わなくてもいい、と思っているぐらいです」
チヒロさんは、優先順位がはっきりしている。人生においても優先順位があり、男性と会っているときにも優先順位がある。誰からも慕われそうな親しみやすさを漂わせているが、それはチヒロさんがいつも自分を心地よい状態においていて、心身に余裕があるからに違いないと思わされた。
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