いくつになっても、また絶叫するような歓びを味わいたい【性のリアル】
OTONA SALONE / 2021年7月17日 20時1分
【40代、50代の性のリアル #15 後編】
自分が夫とセックスするということが、もう考えられないかも
夫からの気遣いも日々、感じる。病状が悪化していたとき、夫の前でひどく取り乱したことがあった。本人もショックを受けたのか、それ以降は強い感情をぶつけてこなくなった。マチコさんが、強い言葉や大きな声を苦手としているからだ。
「穏やかに過ごせること自体は、ありがたいと思います。でも夫は仕事の愚痴も少なく、イライラを家に持ち帰らないようにしているみたいで、それはそれでストレスがたまらないかと思って心配になります」
思いやりから、セックスが遠のくこともある。けれど夫婦仲はいい。今後セックスが復活する可能性はゼロではないのでは?
「マッサージするなどスキンシップは欠かしていませし、いちゃいちゃしたい気持ちはあります。でもセックスとなると……怯んじゃうかも。私から茶化して、バタバタッと場をごまかして、セックスには至らないようにすると思います」
「ソロ活」「セルフプレジャー」、女性の性は大らかになってきている
薬が変更されて以降は、マチコさんの性的欲求も復活した。たまに性的な夢を見る、そのときの相手はいつも夫だ。でも、リアルな夫を性の対象として見ることは、もうない。
「いまは、ソロ活でいいかなと思っています。プレジャーグッズを買って使ってみたら、自分でするのとはぜんぜん違うなと思いました。自分の指だと力加減をしてしまうけど、グッズは思いもよらない動きで快感をもたらしてくれます。もうひとつあってもいいなぁと思って、狙っているグッズもあるんですよ」
ソロ活、セルフプレジャー……新しい言葉が出てきて、女性にとっても”当たり前”の行為と認識されるようになった。
もういちど、あの絶叫するような喜びを味わいたい
そんなマチコさんが「50代のうちに、女性用風俗を利用してみたい」と願うのはどうしてだろう?
「ソロ活では、中でイッたことがないんです。一度挿入してみたら私の粘膜が弱かったのか、角度が悪かったのか、出血してしまい……。なのでいまは、外への刺激だけで満足しています。でも、女性として生まれたからにはもう一度、あの死ぬほどの気持ちさを味わってみたいんです」
そのために婚外セックスを検討したこともある。けれど、好きになってはいけない人を好きになってしまうクセがあり、つらい別れを何度か経験したため、「お金でプロに頼むのが、きっとよい」という結論に至った。どんなお店があるんだろうと、調べたこともある。サービス内容や料金、利用した人からの評判などをつぶさにチェックした。
生涯最高の体験…深夜ドライブで「手だけの長い長い愛撫」が忘れられない
“あの”死ぬほどの気持ちよさをもう一度、というマチコさんには、忘れられない思い出がある。現在の夫と知り合ったのは、バイト先。当時は別に彼氏がいたが、別れたかった。その一方で夫のことが気になり、想いが高まった末、彼氏とは別れることにした。
「私からの告白でつき合うことになったその日、深夜のドライブに出かけたんです。車のなかで抱き合ったのですが、コンドームがなくて最後まではできませんでした。でもそのとき彼が手で長い時間、愛撫してくれたのが、強烈に気持ちよくて忘れられません。あのときを超える快感は今後も体験できないだろうと思うくらい」
その思い出があるから、マチコさんは行動できるのではないか、「女性用風俗を利用してみたい」と自分の欲望を発露させる場を決められるのではないか。自分はいいセックスを知っている、気持ちよくなれるというのは、ひとつの自信で、それがあるのとないのとでは、大きな違いになる。
50歳になる前に死んでいたかもしれなかった。この歓びをもう一度
マチコさんは現在、目標実現に向けて貯金に励んでいる。
「私は専業主婦なので、いますぐ利用しようとなると、夫の稼いだお金を使うことになって、それは違うと思うんです。生活をやりくりして自分で貯めたお金なら、堂々と行ける気がしています。病気のこともあって、50代になる前に死んでてもおかしくなかったと自分でも思うんです。ここまで生き延びたんだから、自分にご褒美をあげたい。それが私にとっては、女性用風俗なんです」
その目標を達成したあかつきには、ぜひもう一度お話を聞かせてほしい。
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