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「アホ毛が消えたんだが…?」パナの新ドライヤーが最高傑作なワケ【開発秘話#7】

OTONA SALONE / 2021年9月16日 11時10分

どのメーカーも真摯に丁寧にモノを作っている日本の、ましてやドライヤーという技術的にも安定した分野で、こんなにびっくりすることってもうないかもしれない……?

 

オタクが開発者に「なんでコレ作ったの?」としつこくお聞きするシリーズ、今回は発売前から「完璧なドライヤーが出た」と話題になりまくったパナソニックの新しい高浸透「ナノイー」搭載のドライヤーです。

 

最初に、私が「新製品でもそんなに違わないでしょ」と油断したままデモ機を使い、度肝を抜かれた点を画像2枚でお伝えします。

お見苦しい写真でごめんなさい、ポイントはどちらも「すでにドライ済みの髪をパナソニックの新ドライヤーでブオーっとやっただけ」なところ。なんでこんなことが起きるの????

 

【開発秘話聞いちゃお!#7 

パナソニック ビューティ・パーソナルケア事業部 商品企画部 スタイラー商品企画担当

加藤将弘さん

(以下敬称略)

「美髪鑑定人がOKと言うまで発売できない」パナソニック鉄の掟

--パナソニックが国産ドライヤーの元祖だったとは、知りませんでした。

加藤(開発)・初号機は1937年発売です。技術者からすると、実はドライヤーって安全性が重要な商品です。1200ワットという大きな電気が流れる家電製品を手に直接持って、さらに人に向ける。1200ワットって、もう調理器の世界です。

 

--ドライヤー開発話の最初が「安全」だとは、予期していなかった…

加藤・最初に研究陣とこんな機能を盛り込みたいですと打ち合わせをするのですが、初手から安全性を理由に却下されたりします。安全を守りながら新しい価値機能をつけていくのが私たち開発の腕の見せ所です。

 

--新製品、使ってみたら予想外に髪がまっすぐになりました。正直驚きました。

加藤・実は社内には熟練の目と感覚で髪の美しさを見極めるスペシャリスト「美髪鑑定人」が存在します。この鑑定人がOKと言ってくれないと商品が発売できません。

 

 

 

ナノイーの登場でドライヤーが「美容機器」になった

--パナソニックからはずっとイオンドライヤーが出ていましたよね?

加藤・2005年にナノイー搭載の「ナノケア」が発売されるまでドライヤーはせいぜい数千円の商品でしたが、以降は1万円を越え、市場が毛髪乾燥機から美容機器に変わりました。次の変革は2019年、初代の高浸透「ナノイー」でした。簡単に言うとナノイーは空気中の水を集めて飛ばすのですが、高浸透「ナノイー」ではその水分発生量が18倍と劇的に増えました。

 

--グラフの右肩の上がりっぷりがすごいですね。これが私のアホ毛がまっすぐになった理由…?

加藤・従来のナノイードライヤーも市場から高い評価をいただいていましたが、2019年の新機種はそんな人たちも「まさかこんなに潤うのか?」と驚くぐらい、さらによくしたいと思って開発しました。結果が18倍という水分発生量。開発期間に6年も要した末の発売です。

 

--6年というと、生まれた子どもがもう小学校入学。ずいぶんかかりました。

加藤・どうしても期待する数値が出せなかったんです。これはもうナノイーを発生させる放電の仕組みから変えてみようか、と思ったところが分岐点でした。

 

「風をコントロールする」ことってこんなに難しい!

右側、白いフチのついた部分からイオンが飛んでいる。

--このナノイーの水分が私のアホ毛をなくしてくれたんでしょうか?

加藤・高浸透「ナノイー」だけでなく、亜鉛を含む電極ユニットから発生するマイナスイオン「ミネラルマイナスイオン」も関連しています。

 

--もう1つユニットがあるんですね。

加藤・高浸透「ナノイー」で髪に水分を与えたあと、ミネラルマイナスイオンでキューティクルを密着させて、与えた水分を毛髪内にとどめます。開いたものを閉じるこの仕組みが白髪染めの退色抑制効果も生んでいます。今回はこの2つのユニットを1つにしました。

イオンデバイス部分のサンプル。よく見ると変更点が読めるものも。

--なぜこの小さなユニットをわざわざまとめたんですか?

加藤・風量アップのためです。本体後部から吸い込んだ風を筐体の中で効率的に流せるよう、流体解析を重点的に行いました。これまでは本体内部で風が渦を巻いてしまい、ヒーターなどの内部部品に当たることで風が弱まっていたのですが、この渦を低減させることで風量をアップしました。

中が見えるよう透明部品で作成した流体の検討用モック。

--車とか飛行機なんかだと風洞実験でやってるアレですね。難しそう。

加藤・いかに風がきれいにスーッと気持ちよく流れるか、シミュレーション上でじゅうぶんに検討し、これがよさそうだという設計で試作機を作ります。でも、実際やってみるとやっぱりダメだった……来る日も来る日も、細かい調整を何度も何度も繰り返していきます。

速乾ノズル部分のサンプル。思いつく限りの形状を試しているのがわかる。

 

 

風の温め方こそベテランの開発者が必要。メーカーの力量が出る

--ドライヤーって風が出ればOKかと思ってましたが、こんなにたくさん要素があるんですね。

加藤・風づくりの点でもう一つご注目いただきたいのが、風口からも見えているヒーターです。これは電熱線を巻いたものですが、試作は手で巻きます。

 

--えっ?手で巻く?コイルをですか?

加藤・もちろん量産されれば機械で巻きますが、試作段階では手巻きです。ヒーター開発は要素が複合的で、経験を積み上げた設計者のノウハウが必要です。調理器具ならばコイルを巻いて配置すれば熱をかける装置そのものは完成なのですが、ドライヤーは風という流体を温める要素が極めて難しく、このヒーター部分をいかにカスタムできるかでメーカーの腕がわかります。ドライヤーに於いてはモーターだけでなくヒーターも重要です。

 

--なるほど、強い風をドカンと出せば乾くというものではないと。

加藤・風はドライヤー尖端から筒のように出てきますが、その筒状の風の中の温度をどう設計するかという点も重要です。たとえば、中心が熱くて周囲はやわらかい温度になるようになど、出方も考えて設計しています。

 

--ごめんなさい、お話が高度すぎて全然わかんない。風を2層にしているということ?

加藤・美容師さんは髪をドライするとき、温風で毛流れを整えた後に、冷風で固定させます。これをお手本に、温風の周りに冷風を流すことで、動かして使えば自然に温風の後に冷風が当たるように設計しました。

 

--それをオートで実現してるんですね? ここまで聞くと、それはアホ毛も消えるわという感じです。

加藤・かなりこだわった技術なので宣伝してなかったのですが、美容師さんに商品を使っていただいたら、何も説明していないのに「この風って熱い部分と冷たい部分が出ていますね。髪がすごいキレイに仕上がりますね」って言っていただけました。プロには通じました(笑)。

 

--10年に1回の進化を遂げたという感じですね。全部入りの1台です。

加藤・プラスして、スキンモードも搭載しています。お風呂上がり、髪が乾いたら、ぜひ仕上げにスキンモードの風をお肌に1分ほど当ててみてください。

 

--スキンモード、使ってびっくりしました。美容液ともまた違う、全体に水分を感じる仕上がり。ヒジやかかとにも使えそうでした。

加藤・年齢、性別を問わず、スカルプケア、白髪染め退色抑制、スキンケアなど、あらゆるニーズに対応できる自信の一台です。

 

 

ヘアードライヤー ナノケア EH-NA0G オープン価格(編集部調べ店頭価格3万6000円前後)/パナソニック

 

 

 

 

≪OTONA SALONE編集部 井一美穂さんの他の記事をチェック!≫

 

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