50歳、セックス以外は「女同士の感覚」ゲイの彼との日々
OTONA SALONE / 2021年8月28日 20時1分
50代に入ったシノブさんは、新宿二丁目のゲイバーでミキトさんと運命的な出会いを果たす。
ほどなく乳がんが発見され、闘病することになったシノブさん。
もうお別れかな?と思っていたシノブさんに、それでも寄り添ってくれるミキトさん……。
ところで、ゲイのミキトさん、ストレートのシノブさん、二人の夜って?
【40代、50代の性のリアル #18後編】
夫でも不倫でも感じることがなかったのに
だからシノブさんにあらかじめ、「もしそうなっても、あなたに問題があるからではない。最後までできなかったら、ごめんね」と伝えてくれた。
「ところが、できちゃったんです。私もゲイの方とのセックスは経験がないので勝手がわからず、おそるおそる始めてみました。でも、それがよかったのかもしれません。”男と女はこんなふうにセックスするものだ”という考えからいったん離れて、お互いのことだけを考えてセックスできたから」
“男に戻る”ことはなかった。お互い、一個人として相手を好きになり、セックスをしているということなのだろう。
シノブさんはこれまでの人生、セックスがまったく好きではなかったという。夫とは継続的にセックスしていた。でも、一度も気持ちいいと思ったことはなかった。過去に二度不倫したこともある。どちらの相手とも、まったく感じなかった。
「私たちの世代では、セックスって男性のためにあるもので、女性が積極的に愉しむものではないという意識が根強いと思うんです。私も、そう思っていました。だから抱かれているあいだは我慢の時間だし、夫のことは嫌いではないけどやらないで済むならやりたくない、という年月だったんです。それも40代の前半には本当にイヤになってしまい、求められても断っていました。しばらくつづけているうちに、夫のほうもフェイドアウトしていきました」
下着も一緒! 「女性同士」の関係の心地よさ
セックスとはこういうもの、という長年の思い込みをほぐしてくれたのが、ミキトさんだった。
「性生活以外での場面では、女性同士で楽しく暮らしたり遊んだりしている感覚です。私たちは下着も、サイズ違いでおそろいのブラジャーを着けているし、連れ立って洋服を買いにいくこともあります。恋人であると同時に、女友だちでもある、と感じます」
ふたりでいると、ジェンダーにもセックスにも年齢にも、縛られなくなる。シノブさんにとって、どこまでも心地よい時間だった。そうなると、自分を”縛る”最大のものを解消しようと考えるのは、しごく当然の流れだろう。
シノブさんはしばらく前に、夫に離婚を申し入れた。毎年、検診を受けて再発していないという結果が出るたびに、「1年生きてこられた、また次の1年を生きよう」と思う。悔いは残したくない。
何歳までセックスできるんだろう?
「もとをたどれば50歳の誕生日に、このさきは自分が楽しいと思うことだけして生きよう、と思ったのがはじまりでした。子どもたちも社会人になった、孫もできた、親としての責任は果たした。仕事をするにしてもあと15年。女としての自分の先が見えてしまっている……だからめちゃくちゃ遊ぼうと思ったんです。いま思えば、虫の知らせのようなものがあったのかも。がんになってからは一層、自分の気持ちに素直に生きようと思いました。そんな私に共感してそばにいてくれる人がいるので、心強いです」
夫からの返答はまだないが、ひとりでできる準備は進めている。一方のミキトさんは、シノブさんが家を出ることには賛成でも、いまのところ結婚は考えていないという。シノブさんは、それでもいいと思っている。先のことはわからない、それでも”将来”の話はする。
「私たち何歳までセックスできるんだろう? と聞くと、『シノブが70歳になるくらいまではイケるかな』っていうんですよ。それまで元気で生きなきゃですね」
この話の前編は>>>乳がんの私。寄り添ってくれたのはゲイの彼だった
【編集部より】
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