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「40歳、老後資金って本当はいくら必要なんですか?」和泉昭子編【オトナLab.】vol.6

OTONA SALONE / 2021年11月20日 21時0分

短期連載、【オトナLab.】vol.6です!

オトナ世代特有の多岐に渡るお悩みを、テレビや雑誌などで活躍するエキスパートたちが答えてくれるリレー連載。

多数の質問の中から、エキスパートが自らお答えするものをセレクトしました。

vol.6にお答えいただくのは、生活経済ジャーナリストの和泉昭子さんです。

 

老後資金2000万円と言われますが、全然足りません。実際にいくら必要ですか?

 

(質問者/40歳・会社員・東京都)

私は独身一人暮らし、東京在住です。大学卒業後に新卒で入社した会社から32歳で現在の電機メーカーに転職、現在課長クラスのポジション。年収は額面約800万円、貯蓄は約1000万円です。今後結婚の予定はなく、60歳までは働こうと思っています。

 

定年まではまだ20年ありますが、コロナ禍で人生観も変わり、ちょっと早めに資産運用のことを考え始めました。よく「老後資金2000万円」と言われますが、実際には老後資金って60歳までにいくらくらい貯めるのがベターでしょうか?
なお、両親は東京から電車で1時間圏内に住んでおり、70代に入ったところで今のところ健康です。

 

残念ながら「いまはリッチだけど老後は貧乏になる」パターンです

 

老後資金の必要額は、その方がどのくらいの生活水準を考えているかに左右されるため、一般論は意味がありません。実際どのような老後生活を送るかによりますが、いただいた情報から類推すると、いまはリッチだけど老後は貧乏になるリスクをはらんでいます。

 

理由を説明しますね。

 

まずは現在の収入の精査から。ご相談者は額面800万円と高収入ですが、税金と社会保険料をひいた実質的な手取り収入は約600万円です。どんな立場の人も額面と手取りの年収はギャップがありますが、特にシングルは扶養控除を受けられないため、同じ年収のパパさんよりもたくさんの税金を払うことになり、手取りが減るのです。

 

次に、現在の支出について考えてみましょう。細かいことはわかりませんが、約20年働いて貯蓄額が1000万円ということは、1年に均すと50万円ずつ貯蓄してきたということになります。仮に現在、年間で100万円貯めていると仮定しても、残りの500万円(月40万円強)はすべて使っていることになります。

 

一般的に老後の生活費は、現役時代の7割程度と言われますから、老後もこの水準を保つとなると月28万円必要になる計算です。

 

生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(2019年)」によれば、夫婦2人の老後の最低日常生活費は月約22万円、ゆとりある老後生活費は約36万円となっています。単身の場合は夫婦世帯の7〜8割でみますから、最低で約15~18万円、ゆとりある老後には約25~29万円必要となりますね。みなさんもこのようにしてご自分の老後の生活費を試算してください。

 

年金支給額平均は15万5000円。高収入でも月8万円の不足

 

老後の収入について考えましょう。仮に平均標準報酬額が50万円だとすると、年金は月17万円前後です。老後の支出を月25万円とすれば、毎月8万円、年約100万円の赤字になります。年金支給額の平均値は月15万5000円ですが、加入期間や現役時代の収入によって異なるので、誕生月に届く「ねんきん定期便」や年金機構の「ねんきんネット」 で試算してみてください。

 

女性の場合、約半数が90歳まで生きるので、65歳から最低でも25年分の生活費を準備しておきたいものです。年100万円の赤字を25年補填するならば、総額2500万円必要になります。

 

さらに、考えておくべきはリタイア時期。この世代の年金支給開始は65歳なので、60歳でリタイアするつもりなら、年金開始までの5年間で1500万円(月25万円×12ヶ月×5年)追加で必要になります。つまり、90歳までのトータルで4000万円必要になるというわけです。

 

ただし、この計算には退職金や企業年金を見込んでいないため、勤務先に制度があるならば、その分差し引くことができます。また、老後の支出をもう少し控えめにみつもれば、必要な老後資金は圧縮できます。

 

具体的な「老後資金の貯め方」とは?意外にシンプルなポイント

 

40歳なら老後までまだ20年以上ありますから、悲観することはありません。時間を味方にして、今から少しずつ資産を育てていけばよいのです。

 

まずは、将来にまわす積立額を増やしましょう。仮に、現在も50万円しか貯蓄していないとしたら、貯蓄割合は手取りの1割未満となります。しかしシングルは家族のために使うお金が不要なぶん、もっとたくさんの貯蓄ができるはず。家計を見直して、手取りの2~3割を目指しましょう。

 

老後資金の積み立てなら、iDeCoを活用するのがよいでしょう。NISAやつみたてNISAも運用益は非課税になりますが、iDeCoは掛け金そのものが所得控除の対象になり、事実上、税率分の利回りが稼げるからです。途中でお金を引き出せないのがネックですが、老後資金として考えるなら、かえって確実に資金を準備できます。

 

もう一つ大切なのは、長く働くことです。年金開始年齢から考えると原則65歳まで、いま20代30代の人たちは70歳まで働くことも視野に入れたほうが良いでしょう。他の先進国は年金開始年齢を67〜68歳に引き上げていて、日本もさらなる引き上げの可能性があるからです。

 

こうした事態に備えるためには、楽しく仕事をすることが大切です。日々、仕事をしていて楽しいと思える工夫をしましょう。また、専門性も磨いておきましょう。最近は副業を認める会社も増えていますし、将来フリーランスとなって教える側に回ることも可能です。個々人の専門性を紹介するサイトもあります。月に2~3万円程度の収入があるだけで、老後の生活は断然ラクになるでしょう。

 

また、住居について考えておくことも必要です。年金生活になってから15〜16万円の家賃を払っていくのは現実的ではありません。リタイアしたら実家に戻るつもりかもしれませんが、古い家ならリフォームが必要になるかもしれません。兄弟がいるなら、介護や相続について早いうちから相談をしておくといいですね。

 

他のお悩みを読む▶【オトナLab.】のページはコチラ

 

≪生活経済ジャーナリスト 和泉昭子さんの他の記事をチェック!≫

 

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