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敬語の3大間違い「させていただく」「よろしかったでしょうか」あと1つは?

OTONA SALONE / 2017年11月27日 11時30分

敬語の3大間違い「させていただく」「よろしかったでしょうか」あと1つは?

敬語に自信がある人はそういません。でも、スマートに使えたら、どんなにいいか!
今日は、不安から来る「させていただく症候群」「よろしかったでしょうか症候群」「二重敬語症候群」についてズバリ解決します。そして、敬意が足りないと感じた場合、何で補ったらよいのでしょうか?

 

させていただく症候群

先日、とある会議に出席すると、司会の方が、冒頭たった3分のあいだに、「させていただく」を10回も言いました。

  • 本日司会を務めさせていただきます、〇〇と申します。
  • お手元の資料について、ご説明させていただきます。
  • 添付の書類について、ご紹介させていただきます。
  • 追加させていただく資料などが発生いたしましたら、座席後方にて配布させていただきますので、ぜひ、お声かけいただけますよう、ご案内申し上げさせていただきます。

ここまで行くとさすがに失笑モノでしたが、本人は全く気にしていない様子。

気になってからカウントしたものなので、実際にはもう少し多かったに違いありません。
おそらく、「させていただく」と言っておくだけで、彼女なりに何かをクリアしている心境なのでしょう。

この「させていただく」について、文化庁の見解があります。

  1. 相手側、または第三者の許可を受けて行う場合

  2. そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合

この2つの条件がある場合だけ「させていただく」が適切だとしています。
文化庁 文化審議会答申より

「させていただく」が適切だとする例として、例えば、相手が持っている資料のコピーを取らせてほしいと、許可を求める場合です。

  • その資料、コピーを取らせていただけますか?

これはOKです。これはしっかりと納得できますよね。

では冒頭に書いた、そしてみなさんが本当によく使うこの言い回しはどうでしょう?

  • 本日司会を務めさせていただきます、〇〇と申します。

あまりによく耳にするフレーズなので、聞き流してしまうほど。
しかし、この言い方、実はやや冗長な言い方なのです。
この言い方の場合

1 相手側、または第三者の許可を受けて行う場合
2 そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合

の条件で考えると、1については、「あなたが司会を務めてよろしい」と誰かが許可を下したことを臭わせています。
確かに、立候補したのでなければ、当然、誰かが許可か推薦をしたのでしょう。
しかし、この司会業がどんなに大役でも、許可か申請をしたのは、所詮「身内」です。
そして2については、大役であればあるほど、それこそ「恩恵を受ける」のは司会をするあなたであり、そんなことは聞き手が知らなくても良い情報です。
ですから、このような場合は、シンプルに

  • 本日司会を務めます、〇〇と申します。

で十分なのです。

逆に、1と2の条件が分かるように、思い切り言葉で臭わせて、会場の同情を得るような、例えば、大物芸能人同士の結婚式の司会をする場合などは、この言い方でも良いかも知れませんね。

他にも「本日休業させていただきます」や「私は〇〇会社に勤めさせていただいております」もこのルールで「言い過ぎた敬語」であることが分かると思います。「誰かが許可をした」ということを強調したい場合にだけ、適していると考えれば良いのですね。

 

よろしかったでしょうか症候群

こちらも、ビジネスシーンのみならず、一般的にも聞かれるフレーズです。

  • この方向でまとめて、よろしかったでしょうか。
  • 私どもの方でご用意する形でよろしかったでしょうか。
  • ご注文は、〇〇でよろしかったでしょうか。

この「よろしかったでしょうか」は、相手に配慮をし、自分の行動が正しいかどうか再確認する意味があります。
そして、適切に使えば「誤用」とは言えません。
ただし、バイト敬語とされているきらいがあり、日常で敬語を使う機会もなく社会人になり、便利なので、そのままこのフレーズだけを型にはめて使っている人が多いようです。
「よろしかった」かどうか伺うということは、再確認の意味がありますので、あまりに多用すると

「聞いていなかったの?」

と思われても仕方がないのです。
このような場合は、思い切って言いきるのが良いでしょう。

  • この方向でまとめて、よろしいでしょうか。
  • 私どもの方でご用意する形でよろしいでしょうか。
  • ご注文は、〇〇でよろしいでしょうか。

ね。ちっとも、違和感がありませんよね。むしろ、聞いている方の不安感が綺麗に消えます。
つまり、「よろしかった」という過去形の言い方を「よろしい」に直せば良いのです。
敬語表現をしたつもりが、不安になっては元も子もありませんよね。
ここでもシンプルが一番です。

 

二重敬語症候群

次に、不安で不安で敬語を重ねてしまい、結果的におかしな言い方になっている例です。

  • 〇〇様は、お帰りになられました。
  • 〇〇様が、このようにおっしゃられています。
  • 〇時に、伺わせていただきます。

これらのフレーズも、日常でよく耳にします。

「お~になる」+「~になられる」
「おっしゃる(言うの敬語)」+「られる」
「伺う(行くの敬語)」+「~いただく」
と、敬語表現が二重になっている為、文法的にも誤りとされている言い方です。

しかし、こちらの二重敬語では、あまりに使われすぎて、文法的には間違っているけれど、認められつつある言い方もあります。

  • お召し上がりになる

もその一つです。
本来は「召し上がる」+「お~になる」という二重敬語なのです。

そうなると、どれが良くてどれが悪いのか、不安になると思いますが、ここでもシンプルイズベストのルールが適用されます。

  • 〇〇様は、お帰りになりました。
  • 〇〇様が、このようにおっしゃっています。
  • 〇時に、伺います。

ね。しっかりした日本語ですし、聞いていて潔い、自信にあふれた感じがしますよね。

 

心もとない言葉を何で補う?

それでも、私の敬語は足りないのではないか?と不安に思う人もいるでしょう。
その場合は、敬語表現を付け足して「盛る」のではなく、尊敬の念を持った態度で話すと良いでしょう。

例に挙げた

  • 本日司会を務めます、〇〇と申します。

の例。これで「敬意が足りているかどうか不安」なのであれば、言葉を付け足して盛るのではなく、しっかりした相手を尊敬する態度を付け足せば良いのです。
皆さんのために、自分の役目を堂々と果たすつもりだと背筋を伸ばして、しっかり頭を下げて、堂々と挨拶をすれば、もう言葉は不要ですよね。

 

≪国語教師・文章コンサルタント・文章力養成コーチ 松嶋有香さんの他の記事をチェック!≫

 

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