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「わろてんか」が最終回へ。笑うのか、泣くのかはたまた……

OTONA SALONE / 2018年3月29日 19時0分

「わろてんか」が最終回へ。笑うのか、泣くのかはたまた……

桜満開のなか、原稿を書いております。この時期、年度末の訪れを実感するのがNHK朝ドラ作品の切り替わり。6ヶ月の放送期間で年度2回のペースで作品が変わっていきます。

 

夏休みになると小学生の頃から祖父母と一緒に見るようになって、軽く四半世紀が過ぎました。見ている理由は面白さを問うのではなくもう仕事、習慣の域ですね。なんだか見なくてはいけない衝動にかられてしまうのです。そしていちいち感動してしまう。でもその感動を引きずらないまま、次の作品がスタートするのです。ロスだのなんだの余韻を一切気にしない潔さが朝ドラの魅力でもあると思います。

 

そしてこの春に終焉を迎えるのは『わろてんか』。どんな展開を迎えるのか想像しながら、この半年間を振り返ってみたいと思います。

 

連続テレビ小説「わろてんか」公式サイトより

松坂桃李と高橋一生、夢の共演に眼福、満福

物語のヒロインは北村てん(葵わかな)。京都の老舗薬種問屋の跡取り娘として生まれながらも、笑いを商売にしたいという北村藤吉(松坂桃李)と恋に落ち、結婚。大阪で『風鳥亭』という寄席から始まり、事業は広がって『北村笑店」という芸人300人を抱える会社に成長。そして藤吉の病死後はてんが社長となって会社を切り盛りし、ふたりが目指した”笑って生きる”人生を歩んでいくはずが、戦争に行く手を阻まれてしまう。

 

いわゆるロミジュリの恋と、仕事の才覚を見せるお嬢様の生き様が物語のメイン。朝ドラの定番である。まず私の印象に残ったのは「だいぶイケメン祭りだったよね……」。その筆頭になるのがてんの旦那役の松坂桃李と、夫婦と公私に渡って支え合うことになる伊能栞役の高橋一生。このふたりが一度に拝める15分間なんて女性がざわつかないはずがない。

 

藤吉と栞は一時期、恋敵であったもののケンカを経て無二の親友になるという、ドラマ好き……いや大映ドラマを知っている世代にはたまらない展開を見せた。加えてスタート時には、てんの兄(病死)役として千葉雄大も登場していたのだ。この3人のスケジュールを抑えているのなら、なんとか時間を駆使してあと一本くらいスピンオフでも撮影しておけばよかったのに。

 

イケメン出演ラッシュは最初だけなのかと思いきや、第18週からはてんの息子役に成田陵も姿が。出演した俳優が後々ブレイクするというのは朝ドラの定説だけど、現役の人気俳優を揃えるとはさすが朝ドラ。一度は出演を夢見る役者の登竜門だもの、どんなに忙しくても何とかするのだろうな。

 

いい男祭りに終わらせなかった主演女優のど根性

 

誰もが羨むキャスト陣に囲まれて主演を務めたのが葵わかなさん。今回の朝ドラが大役となるのですが、それまで私には保険会社のCMのイメージしかありませんでした。ご、ごめんなさい、どうしても女優さんより俳優さんの青田買いを得意としてしまうので……。

 

加えて前文に上げたいい男祭りである。あまりディスるような表現はしたくないけれど、主役なのに彼らの存在感が大きすぎて埋もれてしまっていたように思う。ドラマ好きや業界人の間では「どうなんだろうねえ(笑)」とやや失笑が漏れていた。

 

でももうほぼ”国民の義務”として朝ドラを視聴し続けている身分としてはそのままで終わってほしくなかった。必ずどこかで起死回生が見られるはずと信じて、懲りずに見ていた第18週あたりから確変は起きた。

 

藤吉を亡くし、「北村笑店」の社長となったてん。ずっと旦那の近くで仕事ぶりを見て、仕事の技を吸収してきた彼女は一流のキャリア女性になっていた。悲しみに浸る間もなく、ずば抜けた才覚を見せる彼女はあきらかに輝いていた。よく夫に先立たれた妻が水を得た魚のように元気になって、長生きするというけれどひょっとしたらてんもその一派だったのかもしれない。

 

この頃から髪型も変えて中年女性を演じ始め葵さん。この辺から一生さまも寄せつけない、女優としてのど根性をめきめきと見せつけてくれるようになった。要は面白くなったのだ。ああ、ここまでの道のりは長かった。

 

それから庶民的な生活ぶりも良かった。これまでの朝ドラでは社長業をこなしているとなると、やや贅沢な暮らしぶりが見受けられたのだけど、てんはいつまでも長屋住まい。これが現代の女性の働き方に似ている。今日日、起業もそんなに珍しいことでもない。なろうと思ったら明日にでもなれる。暮らしは今まで通り、でも仕事は自由に才能を発揮していくことがひとつのスタイル化している時代とリンクしたのかな、というのがスナイパー小林観。

 

そして物語は3月31日(土)に最終回を迎える。愛息を勘当したときも、戦地へ見送ったときも涙ひとつ見せずに何事にも悠然と構えていたてんも戦争にはすべてが揺さぶられた。空襲によって寄席小屋も社屋も自宅も失ったしまった女興行師が見せる笑いの行方とは?

 

≪文筆家、編集者 スナイパー小林さんの他の記事をチェック!≫

 

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