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有働由美子「永遠の32歳」があさイチ卒業と同時にやめたもの

OTONA SALONE / 2018年4月6日 21時0分

有働由美子「永遠の32歳」があさイチ卒業と同時にやめたもの

有働アナというと、忘れられないシーンがあります。あれは私が大学生の頃。土曜日の朝のニュースにおじさんアナウンサーと有働アナ(以下、ユミコ)が出演し、ニュースを読んでいました。ユミコは白いスーツに赤の口紅、編み込みヘア、金色のピアスと当時の代表的なキャリアウーマンルックでした。

 

浅草のほおずき市についてユミコが紹介すると、おじさんは「有働さんって、口をパクパクさせてる赤い金魚に似てるね」と言ったのです(ほおずき市では、金魚すくいも開催されるため、そこから思いついたものと思われます)。

 

「金魚に似ている」発言は、その口調からして、ほめ言葉ではありませんでした。一瞬ムッとしたユミコが、次の瞬間悲しそうな顔になったのを、はっきりと覚えています。ちなみにこのおじさんアナウンサーは、別番組でフリーアナウンサーの小谷真生子とも組んでいたことがありましたが、マオコと一緒の時はそんな失礼なことを言わず、終始デレデレしていた。世の中の不平等さを垣間見た気がして、ぶるぶる震えたものです。それがきっかけで、私のユミコ・ウォッチは始まったのでした。

 

今と違って、当時の女子アナは「タレント並みの美貌と、タレントが足元にも及ばない育ちと学歴」を兼ね備えた“高嶺の花”でしたが、その時代にあえてユミコは「自虐して笑いを取る女子アナ」を演じます。誰ともキャラがかぶらないという意味で賢明ですし、他の女子アナがしない自虐をすることで、女性からも注目と共感を集めた。すばらしい自己プロデュース力だと思います。

 

オトコの前で自虐をする意味とは?

が、私はひねくれているので、「自虐する人がサバけている人」だとは思わないのです。

 

自虐は誰にむけてするのかで、意味合いは全然変わってきます。

 

たとえば、女性が女性の集団でする自虐は、「私は自分のことをたいした人間だと思っているわけではないので、攻撃しないでね」という一種の“赤十字マーク”です。

 

それでは、男性に対する自虐は何を意味するでしょうか。

 

有働アナの自虐は、もっぱら「地味」とか「結婚できない」という類の「選ばれないオンナ」自虐を展開していますが、これを男の前でするということは、男の選ぶ権利を尊重していることと一緒だとお気づきでしょうか。つまり、男にマウント取らせているわけで、そういう意味では、自虐は男に対する究極の「オ・モ・テ・ナ・シ」なのです。

 

男に媚びるというと、ぶりっ子を思い浮かべる人もいるでしょうが、あれはある程度の年齢になったら効力がなくなりますし、女性のほとんどを敵に回すのは確実なので、相当メンタルが強くないとできない技です。それに対し、自虐は女を敵に回さず、男に「かわいい女だ」と思われるメリットがあるのです。

 

そもそも自虐は「下の人がする」ものではないのです。

 

学生時代を思い出してください。成績が学年トップの子が「私って頭悪い・・・」と言ったら、周囲は立場がないでしょう。かといってビリの子が同じことをいったら、周囲は「そうだね」と言うわけにいかないので困ってしまう。となると、自虐していいのは、少なくとも下から二番目ゾーンの人。かつ、本当に自分の成績に納得していなかったら、がたがた言わずに勉強するでしょうから、自虐をする人は「現状に満足していない、野心多めの甘えんぼさん」なのです。

ユミコが脱ぎたがるワケとは・・・

ユミコは昨年のバレンタイン近くのあさイチブログに、「性格が悪いから、結婚できない」といった恒例の「結婚できない自虐」をしていますが、上記のルールで考えると、自分を下から二番目ゾーンとみなしていることになります。日本の場合、30歳を超すと結婚率はゆるやかに下がり始め、35歳を超すとがくんと低くなることから考えると、自虐するユミコの脳内年齢は、30歳から35歳の間、だいたい32歳と言えるのではないでしょうか。

 

ユミコ、永遠の32歳説を採用すると、ユミコが脱ぎたがる、見せたがる理由がわかるのです。ユミコは30代のころから、紅白歌合戦の司会を務めていますが、毎年、露出の高い衣装が話題になることをご存知でしょうか。背中べろーん、場合によっては尻の割れ目が見えるんじゃねーかくらいの叶姉妹ちっくなドレスをお召しになり、話題を呼んでいます。

 

「あまちゃん」のロケ地にいった際は、「けなげなプロ根性を発揮して」ユミコが温泉に入り、背中ヌードを撮影しますが、まちがってお尻が映りこんでしまいます。しかし、ユミコは「どうしても見たい人は、メールください」と自分の裸に対しては、自虐をしません。

 

「ウドウロク」(新潮社)でも同様です。紅白の司会の際、着替えの時間がなく、舞台袖にカーテンでしきっただけのスペースで、Tバック一丁で着替えていたところ、谷村新司にカーテンを開けられ、ほぼ裸を見られてしまったと書いていましたが、ここでもノー自虐。「私ってイケてるでしょ」という自意識が透けて見えるのです。

 

ユミコが20代であれば、人より目立つためにビジネス自虐もありでしょう。でも、確固たる地位を築いた今、それは必要でしょうか?女子アナになって、ここまで仕事ができても、女性は結婚しないだけで笑われないといけないのでしょうか?

 

国民がユミコに期待すること

話は変わりますが、昨年「スッキリ」(日本テレビ系)に世界の歌姫、アリアナ・グランデが出演した時のこと。ハリセンボン・近藤春菜のお決まりのネタ「マイケル・ムーアじゃねえよ」にひっかけて、司会の加藤浩次が「マイケル・ムーアです」と紹介します。しかし、アリアナは「あなたは、マイケル・ムーアに似ていない」「あなたはとてもかわいい」と、春菜の自虐ネタをスルーします。

 

この発言は、アリアナのように確固たる地位を築いた人が言うからこそ、説得力があるのですが、公共放送の人気アナウンサーにして、管理職でもあるユミコも、そちら側の人だと思うのです。ユミコにいろいろ苦労があったことは想像できますが、「女性が女性を笑う」ことを管理職がやっていたら、下にいる女性はどうしたらいいのでしょうか。ユミコが自分を笑うことは、本人にその気がなくても、画面の向こうにいる独身女性を笑うことを肯定することにつながっていきかねません。

 

しかし、ユミコは「あさイチ」卒業直前に、変化を遂げます。作家・瀬戸内寂聴がゲスト出演した際、「女性に生まれてよかった」と発言するのです。かつて「婦人公論」(中央公論新社)で「結婚も出産もしていない自分は、人として足りない、負けている」と自虐していたユミコとは思えない発言です。また、「あさイチ」卒業はプライベートを充実させるための降板だという報道に対して、ユミコは「私は結婚していないけど、充実しています」とはっきり言ったのです。これは長年一方的にユミコ・ウォッチングを続けている私にとって、画期的な出来事でした。NHK風に言うと、あの時、歴史は動いたのです。

 

すると、4月3日にユミコがNHKを退局したと発表されました。いろいろな意味で肩の荷を下ろし、だから本心でない自虐をやめたのではないでしょうか。今後もユミコはテレビに出ると思いますが、自虐だけは今後もやめてほしい。

 

なぜなら、私を含めて多くの人が見たいのは「結婚して、出産した女性」でも「欠けている部分がない女性」でもなく、ユミコ、あなた自身なのですから。

 

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