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岩井志麻子 女50代、「私の更年期」について考えてみる

OTONA SALONE / 2018年9月25日 21時0分

四十になる前にガツンと重いのが来た人もいれば、軽めのが閉経したときの五十くらいで来たかな、とか。

閉経間際の四十代後半でかなり長引いて苦しかった、などなど。

更年期とは、年齢も症状も本当に人それぞれのようだ。

 

更年期は一体いつ頃から言われ始めたのか

私のように、五十代半ばになっても何もない人もいる。

これはもう、健康に気を使っているとか特別な療法をしているとか、全然ない。

ただもう、そういう体質なだけ。だからうらやましがられるが歳は取っているわけで、疲れは長引くしダイエットしても代謝の悪さで痩せないし、白髪もばりばり、デコ皺もすごい。

絶対、若くは見えない。

 

しかし、更年期っていつ頃からいわれ始めたのだろう。

今でこそ世界一の長寿を誇る日本人も、乳幼児の死亡率が高かったのもあるが、江戸時代以前は平均寿命が三十代よ。

平安時代の長寿の祝いは、四十歳。当時は数え年だから、つまり三十八、九で老人扱い。

平均寿命が五十代を超えたのは、実に昭和二十年代だ。

 

昔話と更年期は関係している?

昔は、更年期を迎える女そのものが少なかったわけね。

今なら更年期障害とされる症状は、老化として一括されていた。

まあ、今でも老化の一種であるのは間違いないが。

それでふと思うのは、昔話に出てくるおばあさんって、もしかしたら実は四十代だったのでは、ということ。

 

昔話が生まれた時代って、七十まで生きた人は滅多にいないもの。

わが故郷に伝わる桃太郎伝説も、おばあさんが川で洗濯してたら桃が流れてきて、そこから桃太郎が生まれたとなっているけど、高齢出産で産んだのを恥ずかしがってごまかした説もある。

そうだよ、四十代半ばとしたら充分に産めるって。

 

更年期の賜物は、昔話のばあさんへの感情移入?

舌切り雀のおばあさんも、雀への八つ当たりぶり、じいさんに対するいらいら不安定さ、宝物を狙いに行く妙な執念、もしかしたら五十くらいで更年期だったのか。

鬼太郎でもおなじみの、砂かけ婆。

彼女は特にひどいことはしない妖怪で、「自分の老いを恥じて物陰に隠れ、ときおり人に砂を投げつけていた」なんて、もろにある種の更年期障害の、不安定な心情の女性を想起させる。

若いとき、子どものときは昔話のばあさんなんか強く感情移入しなかった。

今の私のこのしみじみとした彼女らへの共感ぶりはもしかしたら、更年期の賜物なのだろうか。

 

≪作家 岩井志麻子さんの他の記事をチェック!≫

 

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