「返信ください」はかなり失礼?敬語・丁寧語、日本語の誤用を防ぐ簡単な2ポイントとは
OTONA SALONE / 2018年9月17日 11時30分
「〇〇を返信ください」「〇〇に参加くださいまして……」「〇〇を利用ください」。
このような誤った日本語が、世の中にはびこるようになってきました。
もともとは20年ほど前からネット上でよく見かけた言葉で、私も、そういう世界の人が、文字数を1文字でも少なくする技として使っているのだろうと思っていたのです。
ところが、ネットが想像以上に普及し、SNSがコミュニケーションツールとして主役にのし上がり、この言葉遣いが当たり前のようになったあたりから、正式なメールや書簡などにも表れ始めました。
言葉は生き物、変化して当然ではありますが、「誤用だ」ということをわかって使っている人がいなくなることには、教育者として危機感を感じます。
回避策1「ご」をつける!
まずは「〇〇を返信ください」ではなく、「返信ください」について考えてみましょう。
これは「返信」が名詞で、それをください。という形ですね。「お茶ください」と同じです。丁寧にするためには、名詞の次に助詞の「を」を入れることが重要。「お茶『を』ください」となります。
そう考えると、この「返信ください」を丁寧にしようと思ったら、「返信をください」になります。これは誤用ではありません。会話文でもよく耳にする言葉ですよね。
- お帰りになりましたら、返信をください。
- 今すぐ、返信をいただきたいです。
さて「返信」に「〇〇を」という言葉がついた場合、これは状況が変わります。「返信」は名詞ではなくなるのです。これはすぐに不自然さがわかると思います。
- お帰りになりましたら、回答を返信をください。
- 今すぐ、回答を返信をください。
そうですね、「を」が連続しておかしなことになっています。「返信」が名詞でなくなった証拠です。そこで、「回答を」を「回答について」「回答の」などに変えることで誤用ではなくなります。
- お帰りになりましたら、回答について返信をください。
- 今すぐ、回答の返信をください。
これで大丈夫です。文法的にはあっています。「回答」の方ではなく、「返信」の方を変化させる方法があります。これがみなさんがよく使う方法ですね。まず「返信」を丁寧にします。「ご返信」です。次のように変わります。
- お帰りになりましたら、回答をご返信ください。
- 今すぐ、回答をご返信ください。
「ご」をつけてこれで大丈夫です。文末を丁寧にし、もっと丁寧な文にもできますね。
- お帰りになりましたら、回答をご返信くださいますよう、お願い申し上げます。
- 今すぐ、回答をご返信いただければ幸いです。
回避策2「して」をつける!
さて「回答を」と着いた場合は少々複雑です。
先ほど名詞ではなくなったと書きましたが、「返信」の前に「〇〇を」ときた場合は、「返信」は「返信する」というサ行変格活用の動詞となります。
動詞ですから、「する」または「する」の変化形になっていなければいけません。「回答を返信する」「回答を返信して」という形なら良いということです。
- お帰りになりましたら、回答を返信してください。
- 今すぐ、回答を返信してください。
ね。正しい言い方は本当にしっくりきます。もちろん丁寧にもできます。
- お帰りになりましたら、回答を返信してくださいますようお願い申し上げます。
- 今すぐ、回答を返信していただければ幸いです。
このように、「〇〇を返信ください」という誤用は「ご」を入れるか「して」を入れるかすればOKなのです。
何も難しいことではありませんので、トライしてみましょう。
普段よく間違いやすい表現
同じように「〇〇を」をつけたら「ご」か「して」をつけて正しい日本語にできる例でよく使われるものを、あと4つ紹介しますね。
× 書類を送付ください。
〇 書類をご送付ください。
〇 書類を送付してください。
× 記事を活用ください。
〇 記事をご活用ください。
〇 記事を活用してください。
× 懇親会に参加くださいますよう……
〇 懇親会にご参加くださいますよう……
〇 懇親会に参加してくださいますよう……
× 当店を利用いただき感謝申し上げます。
〇 当店をご利用いただき感謝申し上げます。
〇 当店を利用していただき感謝申し上げます。
返信する、送付する、活用する、参加する、利用する。
漢字の部分はどれも名詞ですが「する」をつけることで動詞になります。
その場合は「する」に当たる部分をしっかりと書くことが大切なのです。
名詞のままにしたい場合は「ご」をつけ「いただく」「くださる」などをつけて丁寧にしましょう。
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