日本発祥の“準硬式球”がアジアをつなぐ! インドネシアで日本がASEAN諸国と親善試合

OVO [オーヴォ] / 2019年4月5日 13時41分

友好を深めた参加4カ国の選手ら(2018年11月、インドネシア)

 今から64年前の1955年、インドネシアのバンドンに29カ国のアジア・アフリカの指導者が集まり、有名な平和10原則(バンドン精神)を採択した。米ソ(米国と旧ソ連)陣営がにらみ合う「東西冷戦」の中、相互尊重や平等互恵、平和共存などを訴え、米ソ陣営いずれにも与しない“第3勢力”としてそれなりの存在感を示した。

 そんなインドネシアで「硬式」でも「軟式」でもない第3のボール「準硬式」を使った“準硬式野球”の国際大会が開かれたのも何かの縁かもしれない。

 インドネシアで昨年2018年11月、日本(東都大学準硬式野球連盟選抜チーム)、インドネシア、スリランカ、フィリピンの4カ国計8チームが参加した「第1回ASEAN国際親善野球大会2018・第3回日本・インドネシア友好親善野球大会」が開かれた。


 大会は1958年の日本・インドネシア国交樹立60周年記念事業の一つ。準硬式野球のアジアへの普及とアジア人同士の友好促進を目的とする。

 準硬式球は日本でのみ使用されているボール。軟式野球と硬式野球をつなぐ目的で1949年製造された。歴史は意外と古い。

 この準硬式球を使った「準硬式野球」は日本独自のスポーツとして発展。現在は日本の大学生を中心に広がっている。大学生の競技人口はおよそ1万1,000人。選手の中には高校時代に甲子園に出場した選手も多く、競技レベルは高い。プロに進む選手もいる。

 準硬式野球出身で巨人に入った坂本工宜選手は先日引退を発表したイチローと対戦し見事抑えるなど逸材も育っている。

 準硬式球の特徴をてっとり早くいうと「見た目は軟式、中身は硬式」。表面は軟式と同じゴム製。中身は硬式と同じ作りだ=写真。サイズは軟式球(A号)と同じ直径71.5~72.5mm、重さは硬式球やや軽めの141.2~144.8g。


 準硬式球は表面が皮の硬式球と異なりゴムなので、水を吸わず耐久性に優れる。国際基準である硬式球を使うほど野球が浸透せず雨の多い国の使用に適している、とされる。

 関東の大学準硬式野球部でつくる「東都大学準硬式野球連盟」は、野球がメジャースポーツでない雨季の長いインドネシアなどアジア各国への準硬式野球普及とアジア各国との友好親善を狙いにインドネシアを訪れ、2016年から日イ友好親善野球大会や野球教室を開いてきた。

 18年大会から参加国が増え、大会名にASEAN(アセアン=東南アジア諸国連合)を加えた。大会の試合結果は高いレベルにある日本代表が実力差を見せつけ優勝したが、参加したインドネシアをはじめアジア諸国の野球熱は少しずつ高まっている。


 参加した日本人選手の中には、学ぶ姿勢や身体能力の高さから、そう遠くない将来「ポテンシャルの高い東南アジア諸国に日本が抜かれる」と危機感を募らせる選手もいた。準硬式野球の普及を通じて、今後東南アジア諸国で硬式野球への関心が広がる可能性もある。

 もう一つの目的であるアジア人同士の友好親善はすでに成果を挙げているようだ。トレーナーとして参加した日本人男子学生は「言葉があまり通じなくても、“スポーツ(野球)の力”で、心が通い合ったり、すぐ仲良くなったりした。野球、スポーツは“世界共通言語”であり、世界をつなぐ」と話す。

 ようやく長い「東西冷戦」が終わったと思ったら、近年中東シリアや欧州ウクライナなどで米ロ対立の「新冷戦」がまたぞろ頭をもたげつつある。

 アジアでは、準硬式野球が「世界共通言語の力」を発揮し、「軟弱」でも「強硬」でもない間を取り持つ“相互尊重”の準硬式野球的発想で「アジア人同士争わず」の平和を築いてくれることを願わずにはいられない。


大会の試合風景。


準硬式球の内部構造。


試合を通じて力をつけている東南アジアの選手ら。

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