岩田寛、小平智はなぜウェブドットコムツアーからのQスクール挑戦なのか?

ParOn.(パーオン) / 2014年11月18日 18時0分

マスターズで2勝を挙げているバッバ・ワトソンも、下部ツアー出身だ

 米PGAツアーは世界中で最もレベルが高く競争が激しく、約200人のレギュラーメンバーを目指す若者は全世界に数え切れないほどいる。シーズンが終了すると、トーナメント勝者、賞金ランキングの上位選手などは翌年のシード権を得られるが、成績不振選手はあらためてQスクールを受けたり下部ツアーでもまれ、再度上昇を目指す。

 米PGAツアーに下部ツアーがつくられたのは1990年、ベン・ホーガンツアーという名称だった。1試合の賞金10万ドル前後・年間15試合はレギュラーツアーと比べれば小規模だが、下積みの選手たちにとってはビッグチャンスだった。その後ナイキ、バイドットコム、ネーションワイドとスポンサーは引き継がれ、2011年から現在のウェブドットコムツアーになった。

 今年、そのウェブドットコムツアーのQスクールを岩田寛と小平智が受験すると聞いて、なぜ下部ツアーなのか? と思った人も多いはずだ。

 下部ツアーの発足当初は、賞金ランキング上位10人だけがレギュラーツアー昇格の特典を与えられたものだが、年を重ねるごとにその実績が評価され、昇格枠も上位25人にまで拡大された。

 下部ツアー出身で最初にメジャー勝利をつかんだのは96年全英オープンのトム・レイマンだ。03年にレフティ初のマスターズチャンピオンとなったマイク・ウィアや、12、14年とマスターズを2回制したバッバ・ワトソンも下部ツアー経験者。今ではツアー優勝者のほとんどが下部ツアー出身である。大学を中心にアマ時代を過ごし、卒業と同時にQスクール挑戦、ツアー勝利を飾るのがエリートといわれた時代は完全に過去のものだ。

 下部ツアーが正当に評価されるにつれレギュラーツアーへの過程も変化した。以前はレギュラーツアーで賞金ランキング125位以内というシード権を得られなかった選手はQスクールへ再挑戦、上位25人が下部ツアーの賞金ランキング上位25人とともに、新人としてレギュラーツアーで戦う仕組みだった。そして今年ついにレギュラーツアーのQスクールが廃止され、ウェブドットコムツアーのQスクールのみになった。

 最近は石川遼、松山英樹が一足飛びにレギュラーツアーで活躍しているので、Qスクールルートを忘れがちだが、あくまでもツアー挑戦の本筋はQスクールだ。それも今や下部ツアーから。コツコツとQスクールから一歩ずつ前進する若い選手を、忘れずに応援したいものだ。

文・岩田禎夫
週刊パーゴルフ(2014年12月2日号)掲載


岩田禎夫(いわた・さだお)
1933年生まれ、神奈川県出身。報知新聞にてゴルフをメーンとするスポーツ担当記者として活躍後、70年にフリーのゴルフジャーナリストに転向。以降、現在まで米PGAツアーを中心に世界のゴルフを追いかけている。

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