「ソニーらしさ」「ホンダらしさ」 今はどこに見られるのか

NEWSポストセブン / 2012年4月22日 7時1分

1980年代から1990年代にかけ、日本の優れた工業製品は世界を席巻したが、今や昔。韓国製品や台湾製品、アメリカ製品にノキア等の北欧製品が世界ブランドとして、多数報道されている。

アップルやサムスン、LG、ノキア、エリクソンらよりも前に世界的に名を馳せていたブランドは、どこだったか。現在の30代中盤世代以降の多くは「ホンダとソニー」を挙げることだろう。

この2社には、常に「らしさ」がつきまとってきた。この「らしさ」というのはハッキリとはことばにできないのだが、ホンダの場合は創業者・本田宗一郎氏の開発魂をベースとしたCVCCエンジン、F1参戦、海外積極展開、ASIMO開発などが挙げられるだろう。

また、「ソニーらしさ」も同様に創業者・井深大氏と盛田昭雄氏の精神を受け継いだクリエイティビティに溢れる製品を国内初のトランジスタラジオ、ウォークマン、ハンディカム、AIBO、VAIOといった形で世に送り出し続けたことにある。

【ホンダらしさが表現された120秒動画を2本公開】

この2社は「らしさ」を今も持ち続けているのか。その一端はホンダが3月12日に公開した120秒動画「試す人になろう 篇」「負けるもんか 篇」に見ることができる。「試す人になろう 篇」では、研究所スタッフが車作りにどのように取り組んでいるのかなど、ものづくりをする現場の様子を撮影したもの。「負けるもんか 篇」では「何度でもやる。さあ、昨日までの自分を超えろ」というメッセージを伝えている。

【ソニーらしい採用――“ルールを変えよう”の波紋】

一方、2005年以降はテレビ事業の赤字が続いていたり、12日には約1万人の従業員の削減を発表するなど、何かと不振が取り沙汰されているソニーだが、今年の初頭、多くの人を驚かせたのが「ルールを変えよう」という採用コンセプトを打ち出したことだ。

ソニーは、「ソニーらしさ」を持った人材を獲得するために重要な採用活動において、13年度採用はそれまでと大きく変えた。たとえば、卒業後3年以内であれば、「新卒採用」扱い。さらに採用対象に商品・サービス企画とソフトウェアエンジニアの採用コースも新設した。

また、“シューカツ≠スーツ”を打ち出した。これはネット上を中心に大きな話題となったが、同社広報センターの今田真実さんは、その意図を「お伝えしたいのは、服装だけでなくマニュアル的な考え方を払拭していただきたいということです。どんな思いで、どんな個性がある人なのか、というところを知りたい。そのきっかけとして、普段の自分らしい服装で来ていただければ、ということです。スーツが自分らしいのであればそれはその通りでも全く構いません。新卒で入ってくる方には『次のソニーを作っていきましょう』ということを伝えたいのです。同じことをやり続けていたら、会社って成長が止まるんですよ。ソニーという会社は新しいことにチャレンジする会社でありたいし、お客様もそうあって欲しいと期待していただいていると思う。そういったことをできる人材を採用したい」と語る。

かつて「ベンチャーの旗手」などと言われたソニーだが、現在の社員の平均年齢は41.0歳。決して若い会社ではなくなっているが、4月から社長が51歳の平井一夫氏に変わった。この影響について今田さんは「マネジメントも若返りますし、より、新しいチャレンジをしやすくなるでしょう。世代によってデジタルやネットワークサービスとの親和性には違いがある。、若いマネジメント層が牽引することで、より新しい発想でのビジネスモデルへの挑戦や意思決定のスピードが速くなります」と説明。

【ソニーらしい商品はデジタル双眼鏡と3Dヘッドマウントディスプレイに萌芽あり】

新体制でいかにしてソニーらしい商品を開発していくか。とかく「最近は目立った製品がない」などとメディアから批判されるソニーだが、同社広報センターの新中さつきさんが「ソニーらしい製品」として紹介したのがデジタル録画双眼鏡のDEV-3と3D対応ヘッドマウントディスプレイのHMZ-T1。

新中さんは「例えばDEV-3は、多くの利益を出す商品ではありませんが、ソニーが集中領域と位置付けるデジタルイメージングを体現する商品の一つで『ソニーらしい』といえるのでは。ソニーは技術もあり、映画や音楽、ゲームといったコンテンツも持っている、というユニークさがあります。そういったところからソニーにしかできない“何か”を出さなくてはいけません」と語る。

ソニーのデジタルイメージング技術については、放送局や映画用カメラ、スマートフォン、メディカルの分野でも使われるもの。DEV-3に搭載された裏面照射型のCMOSセンサーは暗い場所や室内でもキレイに撮れたり、カメラであればフラッシュなしでも撮影が可能だという。

「イメージャーの分野ではかなりリードしているという自負があります。そこはソニーが勝っていける一つの軸です」(今田さん)

HMZ-T1については、新中さんは3D技術の進化は相当進んでいると語る。

「3Dはソニーのメッセージとして打ち出しているものの一つで、。もちろん各社3D対応にしていますが、ソニーは撮るところから、或いは映画制作から入ることができます。3Dのサイトhttp://www.sony.co.jp/united/3D/?j-short=3d全ての世界をソニーは3Dにできるのですね。また、3D機能を搭載したからといって、各製品のサイズが大きくなることはありません。各種製品に“入っていて当然とは”いいませんが、スタンダードな機能として搭載されているとは言えると思います」

【“らしさ”はどうやって作るのか】

このようにみてくると、ホンダ、ソニーはともに「らしさ」復活のために始動をしているように感じられるが、人材コンサルタントの常見陽平氏は「らしさ」を守るためには、「やはり人材が重要」と語る。

「(採用については)ホンダは、大手にしてはかなり早くフェイスブック採用をやったり、ソニーも今年初頭の採用に関する宣言では“自由闊達な工場”といったにおいを感じさせるなど、がんばっている感はありますね。

ただ、人材を採用したうえで、彼らがそれぞれの“らしさ”を学びとっていくためには、ホンダは、ホンダらしさの再定義が必要で、やはり、CR-Zが登場した時みたいにワオ!と思えるクルマが必要です。ホンダらしさっていうのが何なのか、明確な宣言を聞きたいところです。

ソニーの場合は、逆の発想で、どうやったらこれまでのソニーのイメージをいい意味で裏切れるか、ということを必死に考えてみる。次のものを、いかにゼロベースで作れるかが重要だと思います。不振なテレビ事業を売却するのもアリでしょう。そういった大胆な発想で『らしさ』は取り戻されるのではないでしょうか」



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