日本の宇宙技術 税金使い何実現するかの基本ポリシーが必要

NEWSポストセブン / 2012年5月31日 7時0分

 小惑星探査機「はやぶさ」の成功を目の当たりにして、日本の宇宙技術の水準の高さを改めて思い知った人は多いはずだ。実は、有人宇宙飛行システム開発についても技術的基盤が確立しつつあり、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2020年代に運用を開始すべく検討を進めているという。日本の宇宙技術が、今後進むべき道はどこなのか。ノンフィクションライターの松浦晋也氏がレポートする。

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 日本の本格的有人宇宙船構想は、1982年に筑波宇宙センターで検討された有人ミニシャトルにまで遡る。これは、その前年のスペースシャトル初飛行後のシャトル型宇宙船への熱狂の中で、日本でも有人の小型シャトルを持つ可能性を検討したものだった。

 ミニシャトル構想は、その後無人ミニシャトル「HOPE」に発展し、1990 年代には試験機「HOPE-X」の開発にまで進むが、技術的困難と予算逼迫のため2002年にすべての研究開発は中止された。

 次が2001年に、同じく筑波宇宙センターで検討した「日本独自の有人宇宙船構想」である。こちらはアポロ宇宙船と同じカプセル型の有人宇宙船「ふじ」を開発し、H-IIAロケットで打ち上げるというもので、最短8年で開発を行ない、2010年には初号機を打ち上げるとしていた。

 しかし、有人宇宙船開発の機運が盛り上がって予算が膨張することを恐れた文部科学省は、2002年6月に内閣府・総合科学技術会議が内閣に提出した「今後の宇宙開発利用に関する取組みの基本について」という公文書に「有人宇宙活動について、我が国は、今後10年程度を見通して独自の計画を持たない」と記載し、研究の芽までを摘んでしまった。

 2000年代を通じて日本の政も官も有人宇宙活動について積極的に動かなかった。その状況下で日本の宇宙開発関係者が、日本独自の有人宇宙船を開発する道筋を考え抜いた結果が、HTV→HTV-R→HTV-hという技術開発ルートだ。

 2020年代にHTV-hによる日本独自の有人宇宙活動実施という目標を実現するには、2つのハードルがある。

 まず何よりも必要なのは、「わざわざ税金を使って人が宇宙に行くことで、何を実現するのか」という基本ポリシーの確立だ。人が行くことで、人にしかできない実験を行なうのか。さらに遠くの太陽系全域への有人探査を目指すのか。それとも国際的なプレゼンスを確保するだけで良しとするのか。有人開発を国家戦略に組み込んで考える必要がある。

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