1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

両眼性無眼球症の娘を持つ母 30回超の手術に「何が正解か…」

NEWSポストセブン / 2012年6月26日 7時0分

写真

倉本美香・著『生まれてくれてありがとう 目と鼻のない娘は14才になりました』

 両眼性無眼球症の娘を持つ母──。ビジネスコンサルティング会社「OFFICE BEAD INC」を主宰し、日系企業や日本人アーティストのアメリカ進出サポートを中心に活動している倉本美香さん(43才)がこのほど『未完の贈り物 「娘には目も鼻もありません」』(産経新聞出版)を上梓した。美香さんが、生まれつき両眼がない娘の千璃ちゃん(9才)の誕生からつけていた日記をもとにまとめた、家族の壮絶な8年間の記録だ。

 一見、ただ閉じているだけのように見える千璃ちゃんのまぶたの奥には、千璃ちゃん自身のお尻の脂肪組織が移植されている。いずれ顔の骨格がある程度定まった時点で義眼をいれるために、眼孔(眼球がはいっている場所)の大きさを保っておかなければならないからだ。

 そして鼻も、生まれたときは中心にある骨が見当たらず、手術で整えた。生後10か月の時に初めて眼の手術を受けて以来、鼻を含め、千璃ちゃんが受けた顔の手術は30回を超える。美香さんは次のように話す。

「千璃は自分の顔を見ることができません。なのに、顔にメスを入れられるなんて…その意味もわからないだろうし、単に痛くて苦しい思いをさせているだけなんじゃないか、親のエゴなのでは…さまざまな葛藤があります。でも、彼女が社会で受け入れられるためには、必要なのではないか…。とはいえ、いつになったら終わるんだろう、費用はどれだけかかるんだろう。そもそも“完成”って何? 千璃の幸せって?とか…何が正解かなんてわかりません。答えを探し続けているという感じです」

 出産翌日、千璃ちゃんはMRI検査を受けた。その結果を、小児科医は淡々と夫婦に告げた。2番目の宣告だった。

「No eyes。お子さんには、普通の眼球がありません」

 両眼性無眼球症。本来なら妊娠初期に形成されるはずの眼球が、何らかの理由により充分に発達しない障がいのことだ。眼球が小さい場合には、「小眼球症」と診断される。千璃ちゃんの場合は「眼球らしきものがある」とわかる程度の小ささだったため、「無眼球」とされたのだった。

 日本では、「無眼球症」を含む「小眼球症」の症例は約1万人に1人といわれ、851例が報告されている(平成21年度、厚生労働省調べ)。そのほとんどのケースで、主たる原因は不明という。

 そのうえ千璃ちゃんには、額から鼻にかけての一見してわかる形成的な奇形があり、さらには心臓の一部に小さな穴が開いている心疾患も見つかった。医師も「至極稀な症例」という見解だった。

「心疾患は命に直結する障がいです。ただ、幸いにも心疾患は重いものではなかったこと、そしてアメリカでは形成外科的な問題に対して、なるべく自然に近い形に治療していくことが、本人と家族のメンタルな健康につながるという考え方が尊重されている、という医師のアドバイスもあり、まず眼の治療を優先させることになりました」

※女性セブン2012年7月5日号

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング