チェルノブイリ事故の除染 ほとんど効果なく多くは打ち切り

NEWSポストセブン / 2012年7月27日 16時0分

 ベストセラー『がんばらない』の著者で、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏は、東日本大震災の被災地支援のため、たびたび現地入りしている。そして、チェルノブイリの子供への医療支援にも取り組んだ経験を持つ鎌田氏が、被災地の現状と除染の問題点について語った。

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 東日本大震災から1年4か月。被災地から遠い所では、あれほどの衝撃を与えた大震災も風化し始めている。しかし、まだまだ被災地では不安で、困難で、辛い生活をみんなが強いられている。

 先日、まだ足の骨折が回復途上にある僕は、足を引きずりながら、福島の高校で「教科書にない1度だけの命の授業」を行なった。そしていまでも、みんなが深い傷の痛みに耐えながら生きていることを痛感した。

 最近、政府が算出した福島県民の帰還試算の予測値がある。それによると、現在年間20ミリシーベルトを超える地域の住民は、福島県人口の64%に当たる。

 いまから5年後、福島第一原発のある大熊町や双葉町では、大熊町で97%、双葉町では75%、10年後でも大熊町で82%の人が帰還できないと推測されている。20年後でも大熊町は32%、双葉町では18%の人が、実は故郷の実家に帰れないのだ。

 除染が成功すれば、もう少し早く帰れる可能性はあるが、放射性物質は移動させることはできるが、消すことはなかなかできないのである。

 チェルノブイリ原子力発電所の事故で汚染された地域でも、除染が行なわれたが、ほとんど効果は見られず、揚げ句、除染作業は多くの地域で打ち切られた。

 高汚染地域に住居を持っている被災者のことを考えると、“除染”という「希望」が大事なことはよく分かる。が、しかし、常に費用対効果も考え、的確な方針の軌道修整もなされなければいけないと思う。

※週刊ポスト2012年8月3日号



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