ネット右翼 外国人に奪われた日本を取り戻すため戦っている

NEWSポストセブン / 2012年8月9日 7時0分

 ウェブ上で圧倒的な存在感を見せるネット右翼。一部は街頭にも進出しているとはいえ、その実態はなかなか掴めない。そもそもネット右翼とはどんな人々なのか。彼らを長期に亘って取材してきたジャーナリストの安田浩一氏が、その素顔に迫る。

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 ネット右翼(ネトウヨ)と呼ばれる若者と接する機会は少なくない。7月末、都内の居酒屋で会った25歳の青年もその一人だった。

「朝鮮人が嫌いだ」と彼は大声でまくしたてた。「朝鮮人は恥知らずだ。犯罪者ばかりだ。日本を貶め、日本人を嫌っていながら、日本に住み続ける。許せない」

 混み合う店内で私は周囲の視線を気にしながら、それでも彼の言葉に耳を傾け続けた。空になったグラスが増えるたびに口調はますます熱を帯びる。矛先は黙って聞いているだけの私にも向けられた。

「なめられっぱなしだってことがわかっているんですか? なぜマスコミは朝鮮人の本当の姿を国民に伝えないんですか? あの犯罪民族によって歴史は捏造され、我々は土地も資産も奪われたんですよ。日本人だって拉致されたでしょう。このままじゃ日本が日本でなくなってしまう。それでいいんですか?」  

 彼にとって韓国と北朝鮮は完全な「敵国」であり、在日コリアンは「侵略者」以外の何者でもなかった。考え得る限りのあらゆる否定的価値が、それらに詰め込まれている。

 憎悪に満ちた言葉を次々と吐き出しながら、それでも話題が他に逸れると、彼はどこにでもいる、あまりに凡庸な若者の姿に戻った。中学時代に不登校を経験し、学校という存在に良い思い出を持っていないこと、転職を繰り返す自分に両親が厳しくあたることなどを、そのときばかりは穏やかな表情で私に漏らした。

 抱えきれないほどの不安と不満と憤りをどのようにコントロールすればよいのか、彼自身も苦しんでいるように見えた。ある意味、それはあまりに真っ当な若者の姿でもある。耳を覆いたくなるような差別と偏見で彩られた言動を除けば――。

 彼が「日本人としての危機感」を持つようになったのは、民主党政権が発足した2009年からだという。それまでは特に政治への関心も興味もなかった。そんな彼を憂国の道に誘ったのはネットの世界である。ネットには民主党政権発足を危惧する言葉があふれていた。各種掲示板で、ブログで、右派系サイトで、日本の危機が叫ばれていた。

 売国奴が政権を握った。外国人参政権が成立するのも時間の問題だ。「在日」が日本に反旗を翻す。売国奴と連携した中国が日本を攻めてくる。日本が日本でなくなる。

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