『ドキュメンタル』考 松本人志理論から離れるほど強さ際立つ

NEWSポストセブン / 2019年5月12日 16時0分

 1990年代以降、お笑いはブームを通り越し、一般人の会話にも組み込まれる言語ゲームとなった。日本で暮らす人ならば、松本人志による「お笑いIQ」論や、関西の芸人に浸透している笑いの論理に大なり小なり影響を受けているだろう。少年期にそれらのお笑いをたっぷり浴びて育ったイラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏ももちろん、松本を中心としたお笑い論の影響を色濃く受けてきた。シーズン7に至って、その理屈におさまらない面白さを見せるAmazonプライム・ビデオ『HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル』という笑わせ合いの神髄について、ヨシムラ氏が考えた。

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 4月26日、Amazonプライム・ビデオで『HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル』シーズン7が配信された。自腹の参加費100万円を握りしめた10人の芸人がエントリー、密室で6時間の笑わせ合いに興じる。3回笑えば脱落、最後まで生き残った芸人が優勝賞金1100万円を獲得する。“ルールがない状態で誰が最も面白いのか?”そんな視聴者の要望に応えた『ドキュメンタル』の反響は大きく、新作が配信されるごとに世間を賑わせている。

 毎シーズン異なる芸人が出演する『ドキュメンタル』。今回は宮迫博之(雨上がり決死隊)、たむらけんじ、ハリウッドザコシショウ、小籔千豊、後藤輝基(フットボールアワー)、ハチミツ二郎(東京ダイナマイト)、加藤歩(ザブングル)、ノブ(千鳥)、みちお(トム・ブラウン)、せいや(霜降り明星)と人気者が集った。なかでも特筆すべきはシーズン5の優勝者、ハリウッドザコシショウが再び参加したことだろう。

 過去、複数回出演している芸人はFUJIWARAの藤本敏史(4回)、ジミー大西(4回)を筆頭に数名いるがチャンピオンの凱旋は初。優勝時、最も笑わせて、最も笑わなかったハリウッドザコシショウをいかに倒すのか!? シーズン7は、「打倒、前王者」をキーワードに物語が進行していった。

 そして、今回をもって笑いの密室劇『ドキュメンタル』のフォーマットが完成したようにも思えた。シーズン毎に足されたルールが機能し、芸人も『ドキュメンタル』といったゲームに慣れた感がある。贅沢な面々による攻防戦で常時誰かの顔が歪んでいた。笑っているのか、怒っているのか、苦しんでいるのか、どれともつかない笑いを我慢する破顔。この未分化な表情に『ドキュメンタル』が詰まっている。

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