蚊帳を張るだけで2℃低下 古典的「涼感の知恵」を作家指南

NEWSポストセブン / 2012年8月20日 7時0分

 厳しい暑さをどうしのぐか。そういえばエアコンのなかった時代、涼のとりかたは実にさまざまだった。作家で五感生活研究所の山下柚実氏が解説する。

 * * *
 岐阜発祥の都市伝説、「口裂け女」が現れるというお化け屋敷が柳ケ瀬で大ヒット。優れた地域おこしとして話題を集めています。一ヶ月で数千人を集めたこのお化け屋敷、怖さには特徴が。「お化けらしいお化けを出さず、お化けがいるんじゃないか、という怖さを音やカラクリで出したい」と企画者。

 そのポイントは「気配」。ぞぞっとする気配で、鳥肌が立ち、涼感を得る。優れた古典的涼感手法です。

 このように、電気を使わず涼をとる、という古来からの方法をあなどってはいけません。実は私たちの想像をこえて多種多様、実にバラエティ豊かで実質的効果もあり。たとえば--。

*蚊帳
 麻で寝床のまわりを囲う蚊帳。その効果は、蚊を防ぐだけではありません。蚊帳の中の湿度を約50%~60%に調整する作用があるのをご存じ? 内側でおこる気化熱で、なんと温度を2℃程も下がるそうです。つまり、蚊帳の中は涼しい空間に!! 節電の夏、その効果が見直され、通の間で蚊帳人気が復活。

*うちわ
 風速が1メートル増すと、体感温度が1度下がる、と言われます。うちわであおぐと、2~3メートルの風が。体感温度もそれだけ下がるわけ。おそるべし、うちわの力。

*坪庭
 京都の町家などでよく見かける「坪庭」。家の中、部屋と部屋の間にある小さなお庭をのことです。この小さな庭が、涼感を造り出す装置なんです。「坪庭」に水を撒くと、空気が気化熱で動き出し、対流ができ、家の中を渡る風が生まれる。風を作り出す優れた知恵なのです。

*水音の演出
 クーラーなど無かった時代、涼感をとるために「音」が利用されていたことをご存じですか? お客さまがいらした座敷。そのお庭で、「ざあっ」と大きな音をたてて、わざわざ手水鉢に水をあける。「音もごちそうである」という日本人の細やかな感性。涼感を際立たせる、夏のもてなしの仕掛けです。

*透け感の家具
「音」だけでなく、「目」も使います。夏、ふすまや障子をはずし、すだれや葭戸(よしど)、簾戸などに入れ替えます。扉や壁を、涼しげな素材の建具にそっくりとりかえてしまうわけです。透け感がとても涼しげで、空気も通りぬける。西洋建築では考えられない、涼をとる家への変身です。

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