団鬼六賞の女性作家「ネット動画等簡単に得られる快楽浅い」

NEWSポストセブン / 2012年8月22日 16時0分

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団鬼六賞の大賞を受賞した、うかみ綾乃さん

 マゾヒズムとサディズムが交錯した淫靡で巧みな性愛表現で溢れる『蝮の舌』(小学館クリエイティブ刊)。美しい容姿の著者・うかみ綾乃さんはこの作品で官能小説界で権威ある「団鬼六賞」の今年度の大賞を受賞、奇才の称号を得たのである。

 物語の主人公は、伝統ある生田流箏の家に生まれ育ち、両親の跡を継いだ美しく可憐な姉妹。その姉妹への姦計が、筝の世界で権力を握ろうとする2人の男によって謀られていた。卑劣な罠にかけられ、その玩弄の中で姉妹の性の本能が剥きだされていく―─。

 筝という伝統的な世界を舞台に描かれる陵辱と性の解放。江戸時代から続く生田流筝曲家でもある、うかみさんならではの描写が多用される。

「高校生時代、処女の頃から文学の世界での性描写に心をときめかせていました。官能小説ではありませんが、西村寿行や石川達三の猥褻表現に魅せられ、『SMスナイパー』を通して官能小説家の個性や美学にのめり込んでいったんです」

 現在、40歳とは思えないほど若々しく美しい姿。それゆえ、濃厚な濡れ場は実体験を基にしているのかとよく聞かれるそうだが、「あくまでエンターテインメントです」と否定する。

「快楽とは自分の性感をさらけ出せるかどうかがカギ。私は官能小説を書いている時に、一番エクスタシーを感じています。しかし、昨今はネット上で無修整のセックス動画が簡単に観られる時代。簡単なほうに向かうのは文明社会の常ですが、簡単に得られる快楽は浅い。そこをわざわざ文章から想像を膨らませて、淫靡な世界に浸るという作業を経ると快楽が増すこともある。

 女性器ひとつとっても、裂け目、秘裂、陰裂など表現は多彩で、作家は場面や状況で使い分けている。こんな時代だからこそ、字面から伝わるエロさ、官能小説ならではの魅力を伝えていきたいです」

 静かに箏を弾く美しい姿の奥には、生と性の結びつきを深く問う情熱的な素顔が隠されている――。

【プロフィール】
 うかみ・あやの:ミュージシャンとして活動する一方、3年ほど前から本格的に執筆活動を始める。第2回「団鬼六賞」大賞受賞作『蝮の舌』のほか、「日本官能文庫大賞」新人賞受賞作『窓ごしの欲情』(宝島社文庫)などの著書がある。活動の詳細はwww.aja.vc/まで。

撮影■中山雅文

※週刊ポスト2012年8月31日号



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