高田文夫、京マチ子・杉葉子・木村進らをしのぶ

NEWSポストセブン / 2019年6月5日 7時0分

高田文夫が京マチ子らをしのぶ(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、令和になってひと月の間に憧れの銀幕女優、同年代の座長芸人、かつて本の相方だった漫画家が相次いでこの世を去ったことで終わっていく心の文化芸能史についてお届けする。

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 令和になってまだひと月だと言うのに、私の心の中の文化芸能史が終わっていく。

 少年の頃「大映映画」のマークと共に現われた妖艶な京マチ子(享年95)。『羅生門』『雨月物語』『地獄門』などでグランプリ女優と呼ばれました。Hなことで頭の中がいっぱいなバカ少年にはその芝居の奥深さなど何も分かりませんでした。本職に言わせると、演技の引き出しが多くダンサー出身ならではの動きが鮮やかだったそうです。生涯独身というのがなんだか胸にツーンとくる。

 もうひとりの伝説的な女優も。『青い山脈』のヒロイン杉葉子(享年90)。原節子と共演し、堂々とした演技でものすごい人気を博した。米国人と結婚し海外に移り住んだが、一線を退いたあとも『恍惚の人』などに出演した。もはや歴史上の女優さんたちといった感もあるが、こうして書き記しておかないといつの間にか忘れ去られていってしまう。大衆芸能の美人たちは淡く儚いものなのだ。

 高嶺の花ともいえる銀幕女優は想い出のワンシーンと共にあきらめもつくが、年恰好が同じような人たちに逝かれると切なくショックだ。

 吉本新喜劇で看板座長を張り間寛平と名コンビで若くして売れに売れた木村進(享年68)。祖父が初代・博多淡海で父が二代目博多淡海(この人は全国区でもスターとなり、お婆さん役の格好で正座したまま、いきなり1mはジャンプして上の段に着地するなど曲芸のような芸でも爆笑をとった)。

 木村自身も一時期三代目となったが色々あったのだろう、元の芸名にもどった。38歳の時、病に倒れ、以後あまり消息はきかなかった。ボケてよしつっこんでよしの二枚目で、まさに“家業”、芸達者な人だった。惜しい。

 そして時事4コマ漫画で知られた漫画家の小槻さとし(享年72)。『週刊ポスト』先々週号のやくみつるの「マナ板紳士録」で亡くなったことを知った。描いてくれなかったら何も知らずに年をとっていくだけだった。

 小槻さんとは年賀状のやりとりはずっとしていた。あの人には本当に若き日お世話になったのだ。「ビートたけしのオールナイトニッポン」の本のイラストやら挿絵を10冊以上ずっと描いてもらっていた。30代の頃の私の本の相方であった。その後私の駄文に絵を入れるのは高橋春男になり(この男もみかけない)、ナンシー関の消しゴム版画になり、今はご覧の通り佐野文二郎である。佐野クン、長生きして並走してくれや。そして小槻さとしさん永いことお世話になりました。

■イラスト/佐野文二郎

※週刊ポスト2019年6月14日号

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