妻を自社社員にした社労士 ねんきん定期便見て妻解雇の理由

NEWSポストセブン / 2019年6月12日 7時0分

◆妻の「働き方」も重要

 木村氏が次に考えたのは、年下の妻の年金だった。

「妻は当時50代で専業主婦、それまでは3号被保険者だったが、独立の際に私が個人事業主を選べば妻は3号の資格を失い、月約1万6000円の国民年金保険料を払わなければならない。しかし、会社を作って厚生年金に加入したことで、妻も3号を続けられた」

 妻の保険料を余分に払わなくて済む選択をしたのだ。

 政府は厚生年金への強制加入の条件を広げ、今まで夫の扶養家族(3号被保険者)として自分で保険料を払わなくても年金受給の権利を得られたパート主婦をどんどん厚生年金に加入させて新たに保険料を徴収している。しかし、パートの勤務時間や収入を多少減らしても、「3号」に残った方がトータルで得になる。

 もっとも、妻が60歳になれば夫が会社員でも自動的に3号の資格を失う。そうなれば、パート妻は逆に厚生年金に加入した方が年金額が増える。

 木村氏も、妻が60歳になる前に自分の会社の社員にして給料を払って厚生年金に加入させた。ところが、妻に送られてきたねんきん定期便を見て、妻を解雇した。「加給年金」をもらえなくなることがわかったからだ。

 これは年金の扶養家族手当に相当し、妻が年下の場合、65歳になるまで夫の年金に年間約40万円が上乗せされて支給される。

「加給年金には、夫の厚生年金加入期間が20年以上で、妻の厚生年金加入期間が20年未満という支給条件があります。妻は専業主婦になる前に会社員経験があり、ねんきん定期便を見ると、私の会社で働いた期間を合わせると厚生年金加入期間が19年になっていました。このまま社員として働かせると、加入期間20年を超えて加給年金をもらえなくなってしまう。だから仕事を辞めさせたんです」

 夫婦の年齢差が5歳以上あることから、加給年金をもらい損ねるとざっと200万円以上損してしまう。この判断があったから木村氏は65歳になった今年から自分の年金に加給年金を上乗せして受給している。

 もらえる年金は減額なしで最大化し、国に納める社会保険料や税金は最小限に留める――完璧な年金受給プランの実践といっていい。

※週刊ポスト2019年6月21日号

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