豊洲に林立するタワマンとオフィスビルが危うく見える理由

NEWSポストセブン / 2019年6月12日 7時0分

 そのため、本来この街はオフィス街にはなり得ないのだが、現状はオフィスビルが立ち並び、稼働している。街を歩くとビジネスマンらしき人々も多く見かける。また、新しいオフィスビルも建築中だ。

 現在、東京の都心は様々に再開発が行われている。渋谷、虎ノ門、日本橋、大手町……。そういった場所は、ここ10年ほどで街の様相が一変するほどの変貌を遂げている。空は狭くなったが、オフィスの床面積は飛躍的に増大した。

 その一方で、この国はとてつもない人手不足に見舞われている。ここ2年ほど、渋谷エリアではオフィス需要が供給を上回って、賃貸料金がかなり上昇した。その理由は「人気エリアの綺麗なオフィスなら社員募集で人が集まりやすいから」だという。

 都市が膨張する時期には、業務都市も分散する。一時期は多摩ニュータウンや筑波、幕張新都心などに本社機能を移転する動きがひとつの潮流を作っていたが、今はそうではない。むしろ都心回帰だ。

 これだけネット社会が発展したにもかかわらず、人は所詮生身の生き物なのだ。いかに優れた通信機能を使ったとしても、フェイス・ツー・フェイスには勝てない。だから、不便な豊洲のオフィスビル需要もいずれは萎むだろう。

 街の明るい材料としては、2018年10月に築地の市場が豊洲6丁目の新市場に移転したこと。散々すったもんだしたことは記憶に新しいが、新市場が築地並みの集客力を持つ人気の観光スポットになれば、豊洲や対岸の有明エリアの未来も明るい。

しかし、どうだろう。新市場は予想以上につまらない場所に仕上がってしまった。活気ある鮮魚取引の現場はガラス越しにしか見ることができないし、期待の飲食店街は、まるで地方空港のターミナルのような装い。鮮魚を取引している間近で営業しているという臨場感はまるでない。これでは早晩、人を集めることはできなくなるだろう。ただでさえ交通利便性が悪いというハンディキャップを背負っているのだ。

 新市場を取材した後、私は新橋行きのバスに乗った。ゆりかもめの「新市場」駅を利用することもできたが、あれは乗っていてイライラする。グルグルと臨海部を回るので、なかなか新橋に着かない。着いてもJRや地下鉄までたっぷりと歩かせられる。だから、一度乗るとうんざりする人が多い。

 結局、築地市場場外の目の前にある「築地6丁目」というバス停で降りてみると、驚いたことに、こちらのほうがよほど賑わっている。しかも、欧米系のインバウンドや若い日本人が多い。豊洲の新市場を見学していたのは、日本人の中高年と東アジア系のインバウンドが中心だったので、賑わい方が明らかに違う。築地場外のほうが圧倒的に人気は高そうに思えた。

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