「終身雇用廃止」 日本企業にその代償を払う覚悟があるのか

NEWSポストセブン / 2019年6月14日 7時0分

終身雇用の見直しで社員のモチベーションはどう保たれるか

 この春、経団連の中西宏明会長(日立製作所取締役会長)が「終身雇用を守れない」と公言したり、トヨタ自動車の豊田章男社長も終身雇用制の継続について言及するなど、経済界を代表する人物の発言が波紋を広げている。このまま日本的経営の支えでもあった終身雇用の見直しが進んでいけば、「企業にとってデメリットも大きい」と指摘するのは、同志社大学政策学部教授の太田肇氏だ。

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 経済界トップによる相次ぐ「終身雇用は守れない」発言は、経済のグローバル化やソフト化、急速な技術革新といった大きな潮流の中で、日本企業だけが終身雇用を維持し続けることがいかに難しいかを考えれば、その真意は理解できる。

 とはいえ働く人の教育訓練や退職金・年金などの制度、それに各種の保険や住宅ローンなども含め、社会のシステムが終身雇用を暗黙の前提にしていることを見逃してはならない。終身雇用を廃止するなら、そうしたシステムをどう変えていくかを社会全体で考えていくべきだろう。

 さらに働く人の意識についても注目する必要がある。

 株式会社ラーニングエージェンシーが2019年度の新入社員5673人を対象に行った意識調査の結果をみると、「今の会社で働き続けたいですか?」という質問に対し、「できれば今の会社で働き続けたい」という回答がほぼ半数(50.4%)を占める。まして定年まで働くことを前提に生活設計を立ててきた大多数の社員にとって、いまさら「プロ意識をもて」とか、「自分のキャリアに責任をもて」と言われても困るだろう。

 それでも、先ほどの調査では2015年以降、「できれば今の会社で働き続けたい」という回答の比率は年々低下する一方、「そのうち転職したい」「いつかは起業したい」「フリーランスとして独立したい」という回答の合計は増え続け、29.2%と3割に近づいている。

 こうしてみると乗り越えなければならないハードルはあるにしても、終身雇用見直しの条件は徐々に整いつつあるようだ。

◆終身雇用の廃止で企業が支払う代償

 問題は、企業側が本当に終身雇用を廃止したとき、それに伴う代償を支払う覚悟ができているかどうかである。

 周知のように欧米など海外の国々では、会社と個人が職務を限定して契約し、一人ひとりが専門の仕事を続けながらキャリアアップしていく。それに対して日本企業では人事部主導のもとに採用や配属が決まり、本人の希望とは無関係に異動させられていく。そのため社外で通用するような専門性は身につかない。「プロになれ」と言ったところで困難なのが現実だ。

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