あゆのライブや作務衣のラーメン店主にみる“ヤンキー性”とは

NEWSポストセブン / 2012年8月27日 16時1分

「あの人、元ヤン(元ヤンキー)なんだって」

 こんな噂話をすることはよくある。そして、そんな噂をすることでその人をなんとなく下に見つつも、それは必ずしも否定的ではない。昔はヤンキーだったのにいまでは真面目になっている、と聞けば、親近感さえ混じることも多い。

 そんなヤンキーという存在を解き明かした本が『世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析』(角川書店刊)だ。著者の斎藤環さん(50才)はテレビでもおなじみの精神科医。千葉・船橋市内にある診察室を訪ねると、本と雑誌の洪水状態で、雑然とした雰囲気になぜかほっとするものがある。

「最初に断っておきますが、非行とか不良という意味のヤンキーではありません。非行体験や不良体験があるかどうかでもない。あくまでも日本人の中に無自覚のうちに広く浸透している“ヤンキー性”なのです」(斎藤さん・以下同)

 いってみれば、「美学としてのヤンキー」であり、その美学を解くカギとして、斎藤さんは意外なものを次々とあげた。

「ふわふわのムートンやぬいぐるみ、イルミネーションや光りものへのこだわり。ルイ・ヴィトンの財布を持ってしまうセンスもそうなんです」

 ヤンキーとは何の関係もないと思っていた人も、ここまで聞くと、もしかして私も?と思い当たるのでは。これらを一目で見られる場所として、斎藤さんは、数年前に目撃した浜崎あゆみのコンサート会場をあげる。

 ヤンキーを想像させる車高の低い車が、ずらりと並ぶ。そしてそのナンバーには、ゾロ目などの強いこだわりが見える。

 車内には白いふわふわのファーが敷かれ、ファンシーなぬいぐるみが並び、ぴかぴかのラメやシールが貼られ、レイや神社仏閣のお守りもぶら下がっている。この光景こそが、ヤンキー文化だというのだ。

「もうひとつの例として、ラーメン屋さんの店主をあげるとわかりやすいでしょうか。作務衣や漢字のはいった黒いTシャツを着て、頭にはタオルを巻き、腕組みをして、“気合だ”“根性だ”という言葉で人生を語り、はたまた相田みつをなどのポエムを口にする。ここにヤンキー文化が凝縮しています(笑い)」

 ヤンキーは伝統をありがたがる。作務衣もラーメンも伝統だ。

「しかし、そのルーツは浅くて、作務衣にしてもたかだかここ20年くらいのものでしょう」

 と斎藤さんは手厳しい。

 同じくヤンキーが好きな『YOSAKOI』(高知県のよさこい祭りが全国に広まった、踊り主体の祭り。オリジナルの衣装を競ったり、創作ダンスコンテストもある)も、いかにも伝統的なようでいて、実はごく近年になって流行り出したもの。ポエムについては、「文学性はないし、表層だけで、本質はない」といい切る。

  • 前のページ
    • 1
    • 2
  • 次のページ
NEWSポストセブン

トピックスRSS

ランキング