難病の51才日本人女性が安楽死を選択するまで、彼女の言葉

NEWSポストセブン / 2019年6月13日 11時0分

 最終的に食事も排泄も、自分の力で行えなくなる。現時点で、有効な治療手段はないという。

「情けないのが経済の話。私みたいな病気になると、働けない。でも生活していかなきゃいけない。所持金が100万円だとします。1年と余命宣告されれば、その間100万円を使う計画が立ちます。でも私の病は20年以上生きている人がいる。100万円を20年で使うのか1年で使うのかもわからない」(小島さん)

 病は確実に進行する。この病が怖いのは、その速度が緩慢なことだと彼女は言った。

「2つの覚悟が必要なんです。1つは死ぬ覚悟。もう1つは寝たきりになる覚悟。私は後者の方が怖い。排泄の処理までしてもらっても、ごめんねもありがとうも言えない。その覚悟の話をした時に、姉たちも私の気持ちを理解してくれました」

 小島さんがそう話す横で恵子さんは頷いていた。

 しかし、そこには家族としての葛藤もあるようだった。

「本人でないとわからない苦しみがある。私は当然のことをしているのに、ミナちゃんからありがとう、ごめんね、と言われると逆に悲しい。でもそれすらも伝えられない日が来ることを妹は恐れていた…」(恵子さん)

 昨年9月の取材時点では、スイスの安楽死団体にメールを出したが、返事がこないことを小島さんは嘆いていた。

「私にはもう時間がない」

◆日本人会員は2019年には17人に

 オランダやベルギー、アメリカ・オーストラリアの一部の州など安楽死を容認する国や地域は複数ある。だが、外国人を受け入れる団体が存在するのは、スイスだけだ。小島さんが申請したのは、スイス・バーゼルに本部を置く「ライフサークル」という団体だった。

 同団体の代表を務めるのは、医師のエリカ・プライシックさん(62才)。彼女をこの3年間、何度も取材してきた宮下氏は、こう言う。

「プライシック医師は、死に方を自ら決めることは、人が生まれ持つ権利のひとつであると考えています。どう死ぬかを考えることは、どう生きるかを考えることでもあるというのが彼女の信念です」

 インターネット上での手続きと約5000円の入会金を振り込めば、誰でも同団体の会員になれる。だが、実際に自殺ほう助の対象者として認められるためには、次の4条件が問われるという。

・耐え難い苦痛がある。
・回復の見込みがない。
・代替治療がない。
・本人の明確な意思がある。

 書類審査の上、プライシック医師ともう1人の医師による面接を経て、彼女の病状と意思が確認されれば、ようやく同団体で死を遂げることができる。

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