難病の51才日本人女性が安楽死を選択するまで、彼女の言葉

NEWSポストセブン / 2019年6月13日 11時0分

 2018年時点の会員は1379人。そのうち同年に安楽死を遂げたのは80人ほど。ちなみに日本人会員は、2018年に11人。2019年(4月時点)には17人になった。ただし小島さんが現れるまで、日本人が同団体で安楽死した例は、過去に一度もなかった。

 小島さんは女性セブンの取材時に、団体からの返事がないことに焦燥感を募らせていた。だが、取材の2日後の昨年9月末に同団体から返信がきたという。

 その後、数週間にわたる小島さんと団体側のやりとりを経て、11月上旬に実施候補日が団体から提案され、数週間後の11月28日に決まった。

 恵子さんはあまりに事が早く進むことに対して戸惑いがあった。だが、小島さんに迷いはなかった。恵子さんに向かって、はっきりとこう言った。

「だって、それを過ぎたら私の体が動かなくなっているかもしれないでしょう。断ったらいつになるかわからない」

 同団体の手続きに必要な費用は、約100万円超。営利目的ではないため内訳の大半は施設や火葬の手配などの諸経費だ。一概にはいえないが日本からの渡航費や滞在費などを考えると、200万円程度はかかると宮下氏は言う。

 その費用をどう見るか。宮下氏の取材に、小島さんはこんな思いを口にしている。

「50年生きてきて一生懸命働き、その貯金を全部この死ぬための旅費に使っているかと思うと、ちょっと情けないですね」

 スイス渡航に向けて、急ピッチで準備を進めた。友人や家族との別れも済ませた。家族の1人は、翻意を促したという。しかし、小島さんはこう言った。

「私は思い残すことがないんだよ。行きたいところも行ったし、食べたいものも食べた。だから悲しまないでちょうだい」

 11月24日早朝、小島さんは退院し、日本を発った。

◆「人間なんていつ死んでも今じゃないような気がするの」

 翌25日にスイス・チューリッヒ空港に到着し、バーゼルのホテルに向かった。そこから安楽死に臨むため、医師たちの面接を受ける彼女の様子は、『NHKスペシャル』でも放送された。特に反響が大きかったのは、プライシック医師からの言葉だ。

「(ほう助までの)2日間に気持ちが変わったら言ってほしい」

 同行した姉たちがこのまま妹を旅立たせていいのかと逡巡する場面である。小島さんは「人間なんていつ死んでも今じゃないような気がするの」と語り、姉たちを落ち着かせようとした。それは病床で3年間、生と死について考え抜いた彼女ならではの言葉に思える。

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