薬を2~3種から1種に 同じ効果の配合剤で8割安くなる例も

NEWSポストセブン / 2019年6月21日 16時0分

大幅に値段が下がることも

 高齢になるにつれて処方される薬の数は増えていくが、そうなると薬を飲み残してしまう「残薬」が問題になっている。単なる飲み忘れだけでなく「すでに飲んだ」と勘違いしたり、飲むのが面倒になったりするほか、「もう治った」と自己判断で飲むのをやめてしまうなど、その原因は様々だ。

 厚労省は昨年5月末、「高齢者の医薬品適正使用の指針」の中で、薬の種類や飲む回数を減らす方法について取りまとめた。

 そこでは、問題を解消する具体的手段として、複数の有効成分が1つの薬品に含まれる〈配合剤の使用〉や、〈作用時間の短い薬剤よりも長時間作用型の薬剤で服用回数を減らす〉などが挙げられている。

 薬の数が減れば、その分コストを安く抑えられることもある。薬剤師で池袋セルフメディケーション代表の長澤育弘氏が話す。

「例えば、降圧剤の『ディオバン80mg』(91.2円)と『アムロジン5mg』(42.4円)を服用すると2錠で合計133.6円ですが、この2つの成分を合わせた『アムバロ配合錠』にすれば1錠で25.8円と5分の1以下になる。そこまで行かなくとも、これまでの処方の経験でいえば、配合剤に切り替えることで2~3割は安く済ませられる印象です。

 ただし、組み合わせによってはかえって高くなってしまうケースもあるので注意してください」

 同じ降圧剤でも、すべての種類に対して配合剤が開発されているわけではない。

「降圧剤のなかでも、処方されるケースが比較的少ない『β遮断薬』などは、ニーズが少ないので配合剤の開発が進まない。そうした薬が体に合うと判断されて処方されている人は、配合剤の恩恵には与れない。

 また、回数を減らすことが難しい薬もある。高脂血症治療薬は、食事で摂取したコレステロールが体内に吸収されるのを妨げるものなので、食後に服用してこそ意味がある。そのため『毎食後、1日3回』という制約を外すことができず、“1日1回に減らせる薬”は出てこない」(長澤氏)

 薬を切り替えることにより生じるリスクもある。

「『配合剤』の服用で副作用が出てしまった際には、どの成分が原因なのかの特定が難しいため、結果として元の薬に戻さざるを得ないということが起こり得ます」(同前)

 そうしたリスクを理解した上で、実際に薬を減らすには、どのように医師に伝えれば良いのか。瀬戸循環器内科クリニック院長の瀬戸拓氏がアドバイスする。

「主治医に、『配合剤があるようなら替えてもらえないか』『飲む回数が少ない薬にできないか』とストレートに伝えてください。すでに飲んでいる薬で不都合がない場合、医師から薬を切り替えるということはほとんどないため、患者さんから提案してもらうほうがよいと思います」

 

提案が不調に終わった場合は薬剤師に相談する手もあるという。

「医師は普段から“使い慣れた薬ばかり”を処方するケースが多いため、最近発売された配合剤などの存在を知らないことがある。薬局で薬を受け取る際に薬剤師に相談すれば、別の薬に切り替えられないかを医師に照会・提案してくれます。

 今は『配合剤』といえば2つの薬を1つにまとめたものが主流ですが、2016年には利尿剤、カルシウム拮抗薬、ARBの3種類の降圧剤をひとつにまとめた『ミカトリオ』が登場している。

 また、『長時間作用型の薬剤』では、週に1度の服用で済む糖尿病治療薬『マリゼブ』が2015年に発売されています。薬をまとめる選択肢は、今後はさらに増えていくのではないでしょうか」(同前)

 長く飲み続けるものだからこそ、少しでも日々の負担を減らす工夫を考えたい。

※週刊ポスト2019年6月28日号

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