全国で会員約5万人、「一口馬主(クラブ馬主)」の楽しさ

NEWSポストセブン / 2019年6月30日 7時0分

馬主になると楽しさもまた広がる

 今年の安田記念までの平地GI・12レースでは、勝ち馬の半数が、いわゆる“一口馬主(クラブ馬主)”の馬。馬代金や毎月の預託料を共同で負担、口数に応じて賞金を受け取るという日本独自のシステムで、いまでは5万人ほどの会員がいるという。競馬歴40年のライター・東田和美氏が、一口馬主として競馬に加わる楽しさについて考察する。

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 たとえば今年の桜花賞を勝ったグランアレグリアは、1歳時にサンデーサラブレッドクラブから総額7000万円、1口あたり175万円で計40口募集された。会員は馬代金のほか、月々1万~3万円程度の預託料(維持会費)や保険料や会費などを支払うかわりに、獲得した賞金から調教師や騎手への進上金、税金や事務経費などを差し引いた額の40分の1を受け取ることができるのだ。賞金1億円(別に付加賞金などがある)を獲得した場合、1口あたり手取りでおよそ140万円が支払われる。

 1人で1頭を持つのは、馬主資格取得を含めてハードルが高いが、大勢で持つならば可能というわけだ。口数にしてもクラブによって40口から最高1万口まで多彩。システムの詳細や収支の概略については、各クラブのHPを参照されたい。

 募集する側にしても、出資者が多ければ多いほど、高額でいい馬を揃えられるし、頭数や勝利数が増えれば育成場などへの設備投資もできる。厩舎サイドとしても、預託料などのやりとりがビジネスライクにできるし、多くのファンに支えられている事実は励みになる。なかには「馬主の顔が見えない」と敬遠する調教師もいるが、もはや日本では、クラブシステムなしに競馬を施行していくのは不可能だ。

 平成元年のオーナーランキングのベスト10でクラブ馬主は社台RH(社台サラブレッドクラブ)だけだった。3年になると「マイネル」でおなじみのサラブレッドクラブ・ラフィアンがランクイン、新馬戦で強さを見せて勝ち星を増やしていくようになる。その後も日高の牧場を中心にしたユニオンオーナーズクラブ、外国産馬を積極的に導入した大樹レーシングクラブなどが続々台頭、近年ではノーザンファームの馬を中心にしたサンデーR、キャロットクラブ、シルクホースクラブなどが上位に君臨、昨年はベスト10に7つのクラブがランクインしている。今年の安田記念では7頭のクラブ所属馬が出走、1着から3着までを独占した。

 今年も1歳馬の募集が始まっており、競馬雑誌などではさかんに広告が出て、人気種牡馬の産駒や活躍馬の弟妹を揃えていることをアピールしている。競馬好きにとってはラインナップを見ているだけでも楽しいものだ。

 社台サラブレッドクラブ、サンデーサラブレッドクラブ、GIサラブレッドクラブでは、この時期募集馬を実際に見るための牧場見学ツアーが何度か行なわれ、毎年1000人以上が参加。広々とした北海道の牧場で、お目当ての馬を熱心にチェックする光景はなかなか壮観だ。

 下は1000万円(1口25万円)から、上は1億2000万円(1口300万円)まで。1口とはいえ、決して安い買い物ではないにもかかわらず、人気の馬は希望者が100人を超え、抽選や過去の出資実績次第となる。そのため、第2、第3の候補まで考えておかなければならないから、何頭も記憶しておかなければならないようだ。

●ひがしだ・かずみ/今年還暦。伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。

※週刊ポスト2019年7月5日号

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