西川美和監督「どんな夫婦でもある種の共犯関係を結んでる」

NEWSポストセブン / 2012年8月31日 7時1分

 2002年のデビュー作『蛇イチゴ』以来、『ゆれる』(2006年)、『ディア・ドクター』(2009年)と数々の映画賞を受賞し、国内外から高い評価を受けてきた西川美和監督(38才)。9月8日より全国公開される最新作『夢売るふたり』で、彼女は「夫婦」のあり方の謎をテーマの一つに据えることを試みた。物語のあらすじは次のようなものだ。

 ──舞台は都会の一角。松たか子と阿部サダヲ演じる里子・貫也夫婦は、決して大きくはない小料理屋を営んでいた。常連客で賑わう店内、板前の貫也を里子が甲斐甲斐しく支えている。

 ところが物語の冒頭、ふたりの店は一瞬の不注意による火災で焼失。里子は落ち込む夫を笑って慰めるが、貫也は気持ちを切り替えられない。ラーメン店で黙々と働く里子に対して、店主だったというプライドを捨て切れない貫也は職場での人間関係もうまくいかず、劣等感に苛まれるばかりだ。そしてそのことに文句ひとつ言わない妻の存在を重荷に感じ始めたある日、彼は元常連客の女と一夜を過ごし、思わぬ大金を手にすることになる──。

「ねえ、あんたいったい、どんなことしたと?」

 昔の厨房仲間にもらったという夫の嘘を見破り、無表情に言う里子。このとき彼女は、女から金を渡された夫の才覚を見抜いたかのように、夫婦で結婚詐欺をして再出発のための金を稼ぐことを思いつくのだった。

「どんな夫婦にもふたりにしかわからない共通言語や正義があって、法に触れない程度にある種の共犯関係を結んでいるものだと思うんです」と西川監督は話す。

「その関係性をより歪な形で表現したかった。この夫婦のやっていることは犯罪だけど、そのなかで生じる夫婦間の感情の起伏は、どんな家庭にもあるはずだからです」(西川監督)

※女性セブン2012年9月13日号



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